私と生まれたドッペルゲンガー【🍊】

ヨタロウノスケ

第一章 二人編

【ドッペルゲンガー】

この世界には“ドッペルゲンガー”がいる、他の人には絶対に違いがわからない、気付くことが出来ない、いつの間にか入れ替わっているもう一人の「自分」それがドッペルゲンガー。私はそれと出会った

-数時間前-

「私は家に居ないって言ってんじゃん!」


耳に当てているスマホに向かって怒鳴った。


『はぁ、ふざけるのも大概にしなさい....部屋、入るわよ』


私の母は呆れたようにそう吐き捨てた、私はふざけてなど居ない、本当に部屋に居ないのだ”今“夜の公園に居る、そう告げようとすると、


『居るじゃない』


その声がスマホから離れていく。一瞬心臓が止まったかと思った、小さくなっていく声に聞き入っていると 私の声が聞こえた。


「え?」


よくわからなかった、もしかしたら私の声じゃないかもしれない、そう思って言ってみる。


「...ドッキリでもしてるの?」


返事はなかった、いつの間にか電話は切られてた、私には よくわからないことが起きているとしか思えない、家に帰って早まっていく心臓を落ち着けるため、歩くには遠い 自転車では短い距離を走って帰る、因みに私は一軒家に住んでいる、そこで親としょうもないケンカをして家を飛び出してきたのだ、まぁ どうでも良いけど。


鍵は持っているから家には入れる...けど怖い、いや 入って確かめなければいけないことがある、私は誰ともすれ違わず、休み休み走って 着いた家に、私はバレないように鍵を開け 入る いつもと変わらない雰囲気が漂う2階の階段を上がり、近くて遠い扉に手をかける 開けたい...無理、よくわかんない、意味わかんない、なにが扉の向こうにいるの?怖い、扉にかけたままの手が動かない.....動いた。


動いた!?やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい、向こう側が開けてくるとは思わなかった、誰が出てくるの?母?それとも私?


私から離れていく扉の向こうに居たのは



だった、私は呼吸も心臓も止まったかと錯覚するほど静かで短く長い時間が流れたと思ったけど、私にそれを壊される


「オリジナルじゃん、どうしたの?」


...は?オリジナルってなに??なんで普通に話してるの???


「ちょっと来て」


と言われ私の部屋に、私は私に手を引かれ連れらていかれる、同状況なのこれ、私は怖いと言う気持ちが薄れていつの間にか敵対心が芽生えていた。


「あんた誰よ」と言って手を払う


「え?」


「あんた誰って言ってんの」私は私の正体を暴きたい、ただそれだけだったがちょっと楽しくなってきた、なんだかドラマの中に居るみたいで、


「私?私のことわからないの?」


うん、わかんない、そう言いたいけど声には出ない 黙って見つめていると


「私は、あんたのドッペルゲンガーだよ」


この時の私は都市伝説なんて信じてなかったが、聞いた事ぐらいはある、ドッペルゲンガーなんて想像上の存在だと思ってたけど違うのかもしれない、現に目の前に居る。


心臓が動き出して止まらない私が絞り出せる言葉は「なに言ってるの?」が精一杯だった


「私はあんたのドッペルゲンガー、信じられないと思うけど、ほんとだよ」


確かドッペルゲンガーに会うと死んじゃうんだっけ、とか考える、怖い怖い怖い、シンプルに怖い なにコイツ 私は死ぬの?


「......ドッペルゲンガーに会うとほんとに死ぬの?」


「...どうやって死ぬと思う?どうして死ぬと思う?」


私が目の前まで迫ってくる、私はそんなこと知らない、でも怖くてこんなこと言えない


「アッハハハw死ないよw」


なんだコイツ、いきなり笑いやがった、それより私ってこんな感じなの?こんな風に笑うの?やめてくれない?気持ち悪い


「...なんで私になったの?」


私は急に笑うのをやめて黙った、きみがわるい様な雰囲気になる


「勘違いしてるね、私は、何かが私になったんじゃないの、私は生まれた時から私なの、ドッペルゲンガーってそうゆうものだよ」


私は生まれた時から私、馬鹿な私にはよくわからない が、多分コイツは ある日、突然、私の形をして生まれたのかも、


「どうして生まれたの?」


「どうしてだと思う?」


いや、知らないから聞いてるんだよ、質問を質問で返しちゃいけないって知らないのかな


「...私は、あなたが要らないから生まれたの」


...正直なにも言えない、笑えない。ここまで読んでくれた人は“私”がどんな人かわかるだろうか、私は今、高校に行っていない 行きたいけど行けない、気持ちではわかってるけど体がそう動かない、逃げてるだけかもしれないしただの言い訳かもしれない、私は卑怯者なのかもしれない あと年齢は言いたくない


「嘘だよwなんでなんだろうねww」


ムカつくぅううう!!!私のしんみりした気持ち返せよ!!!てか私の右腕がコイツの顔面目掛けて飛んでいくのをよく自制出来たな私!


「あんた、これからどうするの?」


ずっと私の部屋にコイツは居るのか?それに私が2人いる所を誰かに見られたらどうしよう


「ずっと居るよ、ここに」


「え!?でも誰かに見られたらやばくない!?」


「大丈夫だよ、ほら」


とアイツは私の後ろの扉を指差した、ドアノブが動いている


あや、さっきから何1人で話してるの?」


親だ、親が来た私が2人居るのが見られてしまった、どうやって言い訳しよう


「かっ母さん!これは違うくて...えーっと...」


「さっきからずーっと話し声が聞こえたけど、ネットでの友達?」


え?母さんにはアイツが見えてないの?私の後ろで見えないとか?いやそれは無いだって大きく手を振ってるもん、見えない訳がない。

そう思っているとアイツは私の方を向いて微笑んだ


「見えてないでしょ」


「どうゆう事なの...母さんはあなたの事見えてないの?」


「母さんから見たらあなたが1人で話してるように見えてるの、ドッペルゲンガーってそうゆうものだよ」


「え?」


やばい、ヤバいやつだと思われた、と思い母の方を向くと、死んだ目で見られている


あや、疲れてるのよ、今日はゆっくり休みなさい......」


やばいやばいやばいやばい、言い訳を考えないといけない、そんな時に私が話しかけてきた


「どうやって誤魔化す?別の話を出して有耶無耶にしたら?」


別の話って...何にもいい事思いつかないよ...

母に背を向けて黙って俯いてると


「謝ったら?」


「え?」


「謝ったらいいじゃん、だって今日の喧嘩は...いや、いつも私が悪いじゃん、今日だって私が母さんに八つ当たりしただけじゃん」


「そうだけど...」


「母さんはサンドバックじゃないよ?」


うるさいなぁ...そんなこと...しってるし


「表面上でもいいの」


どうゆうこと...


「今だけ謝って、そのあと落ち着いたら心の底から自分1人で許せばいいだけだよ」


...


「...じゃ、おやすみ、あや」と後ろから母さんの声がする


「お母さん...行っちゃうよ?」


言わなきゃごめんって、謝らなきゃ、嫌だ、はずか...いや、言え!今!!私!!!頑張れ!!!!意地張るな!!!!!


「...母さん!!!!!!」


やっぱ無理だ、汗が...口が...手が...心臓が...


「ごめんなさい」


あ 「ごめんなさいっ!!!」


謝れた?...下げた頭を上げるのが怖い、母さんはどんな顔をしているのだろう

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