「風情」を含む小説

能の「砧」（きぬた）は遠く離ればなれになった夫婦のお話し。都へ行った夫を妻は故郷で秋の夜長に、砧を打ちながら待ち続けます。風情たっぷりの世阿弥の名作を、こちらでは夫婦のお話しでは…

貴族が絶対の国、メロロ王国。ミラナリアは国防のために国一体に結界を張る仕事を行っており、日夜メロロ王国を魔物の被害から守っていた。 いや、正確には無理やりさせられていたのだ。も…

パリ18区にある坂の街、モンマルトル。 下町の風情が残る魅力的な界隈を歩きつつ、有名どころや土地にゆかりの人物を取り上げます。 内容的には19世紀末から20世紀初頭のベル・エポッ…

時は第一世界対戦後の倭ノ帝國。大正末期と明治の入り口によく似た世界 軍事帝國主義と男尊女卑の鬱ろう世情の街にて 若い懶怠者（懶怠者）と四人の精錬人形達が身を寄せ合い愛欲に溺れ 人…

古来、清らかな清流には、水神（ みなかみ ）と呼ばれる神が棲む、と言われます。 そんな水神伝説が残る田舎へ、仕事と家庭に疲れた涼子は、１人娘の千早とやって来ます。 無邪気な８歳の…

詩腸鼓吹　-しちょうのこすい- 「詩腸」は、詩情のことで、詩ができそうな雰囲気。「鼓吹」は、笛や太鼓を鳴らすことから、鼓舞し、かきたてること。 世俗から気持ち離れて、人生の箸休…

私が訪れたのは江戸時代の風情が色濃く残る温泉地。 観光協会主催のまちあるきイベントが開催されていた。 指定された場所を回ってゴールできれば宿泊代が無料になるらしい。 さっそく参加…

　かつて、世界が今より4回りは小さかった時。 　世界は既に万を数える危機の中で最悪の状況に陥っていた。 　誰が作ったかも分からないルールの元で現れた1000年に一度の災厄、それは…

これはまだ私が少女と呼ばれる年齢だった頃の話だ。私は両親に連れられて、もう今となっては亡くなって久しい祖父母が暮らす山梨にある小さな集落を、年に二回ほど、訪れていた。父親の運転す…

桜…それは春の象徴とも言える風情のある花。 誰もが見惚れそれぞれに思うことは違えどほとんどの人が綺麗だと思うだろう。 しかし、季節に関係なく現れる桜があるという。 それは誰もが見…

拝啓 　これは、私の償いの話です。 　私の実家はとある田舎にあります。そこは盆地で、夏は猛暑に冬は豪雪、そんな地域です。静かな場所で、猛暑に扇風機という風情もあるので、毎年の夏…

虎猫、鯖猫それぞれの、縄張り巡る争いの、その行き着く先はさても一体どのような末路。虎猫を率いる大将は、どこかで聞いた名前の虎次郎。柴又の御仁とは虎違いだがどこか似通うその風情。対…

日常的に怒鳴りまくるヒステリックでDVな母親と、仕事のためにほとんど家にいない父親を持つナツ（夏実）は、まわりからみれば「普通の家庭の子」だった。 そんなナツはある日、遊んでいて…

　ある朝、独り静かに珈琲店を営む老人の元に、一人の少年がやってきた。高潔な風情とは反対に、多感な時期を迎え人生に悩む少年は、老人を前に自分の心を一杯の珈琲に吐き出す。 　これは…

日本には四季があるって言いますし、口を揃えて「いいものだ」といいますよね。実際にそんな事はなくて大体が微妙。風情なんて知ったこっちゃなくてもっと快適に過ごせればいいのだと考える。…

華やかなイベントばかりが花じゃない。 風情ある日本由来のイベントも大事にしていこうとする人たちが確かにいる。

ある日突然職を解かれ、自暴自棄になりあてもなく旅をしていた主人公。砂漠の中にぽつりとある沙覇丘という小さな町に辿り着き、そこで妙な覆面の女と出会う。 西域風情あふれる美しい砂の町…

「丘と、魔法と、月と。――第二回“描写”短編小説杯」の企画に参加させていただいた短編です。 よろしければ是非ご一読ください。 また、設定は過去の短編のものをそのまま使っていますが…

母の一言で始まった一人旅。 時間をかけて歩くうちに、忘れていた事実が徐々に浮かんでくる。 間違った思い込みを背負ったまま近道をするよりも、 一旦、頭を真っ新にして無駄だと思うなん…

「早く大人になりたい」と願う少年『佐久間七海』は、高校の卒業式当日、誰にも告げることなく一人、鎌倉の街へとやってきた。 　そんな風情溢れる鎌倉のとある海岸沿いで、彼は一人の少女に…