「香り」を含む小説

「もちろん見たわよ。どこに行っても、その話で持ち切りじゃない」街はずれの喫茶店。女子大学生の2人組は他愛のない時間を過ごしていた。珈琲の香りが漂う中、ベストを着こなした初老のマス…

男は、紫陽花が咲き乱れる海辺の公園で、雨に濡れた女と出会った。 辺りでは、海と、五月雨が孕んだ緑緑しい香りが混ざりながら漂い、男の心を、少し可笑しくさせた。 だから、きっと、 …

「お腹すいたなぁ……。最後に食べたのはいつだっけ……」 　少女は空腹だった。 　奴隷狩りに捕まり、奴隷として売られる直前で逃げ出してきたのだ。 　街中では、あちこちから良い匂い…

通学に使う無人駅で、その出会いは訪れた。

御歳88歳、平家で一軒家、一人暮らしのおばあちゃんに会いに行きます

「うちの妻が人質？身代金が３億？安く見られたもんだな。一昨日きやがれ！」 　頑固一徹な、喫茶の店主が放った言葉に、ムキになった誘拐犯が次に要求したのは身代金ならぬ、身代品だった…

夢を見まくる主人公、ゆん。 夢の中で食べたもの全て夢グルメノートなるものに綴る日々。夢なのに、味、香り全てを感じ、それをレシピ化している。 そんな日常が、ある一つの夢によってで大…

海の見える街で、ふたりが一緒に過ごした数日間のお話です。 最後に彼らを繋いだのは、たったひとつの同じ香りでした。

大好きな優しいお兄さんとバレンタインのお菓子をつくる雛ちゃんのお話。

心を揺さぶる3月の黄昏時の香りに負けそうになって、思わず彼女に連絡した。 文字にするのが苦手な僕と、言葉にするのが苦手な彼女。 真剣な話の途中で、急にテレビがついた。

春風が吹いた。 ほんのりと甘い花の香りが流れてくる。 去年の春もこの香りがした。 懐かしいような新しいような。 頭の奥の記憶を呼び起こしてくれるような。

薔薇の香りの彼女 映子。 僕の前に急に現れた。 さり気なく近づく彼女。 彼女のさっそうとした姿。 僕は恋に落ちていく。

　奄美の霊媒師であるユタの血筋の小春。霊が見え、話も出来たりするのだが、周囲には胡散臭いと思われるのが嫌で言っていない。ごく普通に生きて行きたいし、母と結託して親族には素質がない…

引っ越してきたばかりの僕にとって散歩はちょっとした冒険だ。近所を歩くだけだといって侮るなかれ。運命の出会い、それは第六感で嗅ぎつけたおいしい香り。

彼女は、大変くたびれていた。 なんとか終電に乗った帰り、誤って１つ前の駅で降りてしまう。 夜中の道を歩いていくと、空きっ腹に沁みる、いい出汁の香りが……！ 神社の境内に、ぽつ…

ある日、俺はいつものようにただオムライスを作っていた。 その香りにつられてやってくるかのように少女は突然姿をあらわし、世界征服をするだのなんだの言い始めたのだった。 初めは勿論信…

　第六感を駆使して、事件を解決する名探偵「シックス」。 　そんな彼は、今日も事件の香りを嗅ぎ取って現場に向かう。 　しかし、そこで衝撃の真実に直面する。