「村の怪異」を含む小説

ある日、僕の父を訪ねて一人の女性が寺までやって来る。 僕と彼女は夏の短い期間に何度か会って話をした。 そして、僕は黒い魚の群れを見た。 全四話構成。

　九州北部、某県と某県の狭間、内陸地に位置する地方都市、香ヶ地沢。 　その北端の山間部という、これまた辺境の地に位置する村落、朽無村。 　良く言えば自然に囲まれた、悪く言えば…

とある山間の村で、行方不明者が続出した。 神隠しを揶揄していた村人達は、ひと月後、天井からぶら下がるそれを目撃して恐怖に駆られた。 民家の天井からぶら下がり、降ってきたのは、…

「因習村座敷牢人外青年祭」参加作品。 魅鬼と呼ばれる化け物がいる。集落で長らく飼われている獣は、誰もを魅了し、愛されていた。尽きぬ餓えを抱える獣と、彼を愛することをやめられない人…

囚われの獣に魅入られた青年の話

　拝啓。海道くんへ。そっちは何かとバタバタしているんだろうなあ。だから、たまには田舎で遊ぼうよ。なんて……でも、今年は絶対にきっと、楽しいよ。 　死んだはずの中学時代の友達から…

ここはおかしな村。土からドーナツが生えてくる。花ははちみつと砂糖菓子でできているし。元カレをドーナツにして食べてしまいたい私に、この村の謎のおじいさんは恋の芽生えを語りだす。

ランドンのシャロン・ホルスト探偵事務所を訪れたのはスコルチ地方の名士、マクファーラン家の長女、キャサリンだった。彼女が言うには、この頃マクファーラン家の周りに住む家で続々とバンシ…

激しい雨の日に現れる『人食いの村』。 その怪異に飲み込まれたのは、サトリに取り憑かれた薬師の深と、山彦鳥の縁。 土砂降りの中、一夜の雨宿りを頼んだ宿で、一人と一羽は無事に村から…

　首都圏はずれにあるハイキングコースの遊歩道にて、通行者の足元に突如として穴が空き、そこに落下して行方不明になる事件が発生し、その捜査に訪れた『怪取局』捜査一課の水卜班は、流音が…

民話の収集で村を訪ねた私は、「いまも」という怪異を知る。土地の老人と共に、「いまも」に縁の深いという峠のほこらに向かった私は、そこで現実離れした出来事に遭遇する。

　とある山中の盆地に存在する集落にはその外れにある洞窟に住まう『暗闇様』へ定期的に生け贄を捧げる風習があり、元は別の場所に住んでいたが生まれ持った霊力による不幸を心配した両親が騙…

山奥の村に魚の顔を持つ村人がいた。

とある人物が集めていたのは、Q県にあるLという村に関する記録だった。そこには信じられない出来事の数々が記されていた。持ち主の意向で長らく隠されていた記録だが、その人物が逝去したの…

「ウフフ、静江って云うの……」 水戸は仏間の隅で妖しく燃える蝋燭の声を聴いた。蝋燭に憑かれてしまった彼の辿る運命とは。 物云う蝋が届ける御舟村が怪異が一つ『燃憑く蝋』。

これは失踪した父の手記である。 祖手引ダムに沈んだ村にまつわる怪異。 生々しく、凄惨で、信じがたい話。 ――ずっと、ずっと呼ばれている。 私を呼ぶ友の声がずっと、絶え間なく聞こ…

ネットで目にした場所を目指して、無人駅で降りた吉野は長井老人に出会う。 秘匿された渓谷には何があるのか……。