「短編 夏」を含む小説

　とある夏の高校野球県大会決勝。 　山取東高校の三年生投手、渡正仁は同点の四回からマウンドへ上がり、対戦高校の北東学園高校のスコアボードに「0」を刻み続ける。 　九回表。山取東高…

　百香の家族は、夏が近づいてくる時期に九州にあるおばあちゃんの家へと向かう。 　おじいちゃんの命日があるからだ。 　けれど百香は、おばあちゃんの家には行きたくなかった。あの古い家…

真夏の暑さと退屈な仕事に日々忙殺されている男は、ある日自宅のアパートの玄関で一足の靴を見つける。 なんの変哲もないただの靴。しかしそれはそこにあるはずのない、あってはいけない靴だ…

大学の帰り道、色気のある駄菓子屋に立ち寄る。 知る由もない「あの頃」を彷彿とさせた。 店を出ると、駄菓子と睨み合いをする学生が目に入った。 ——冷たい夏の風が吹く。

　地元を象徴する大きな山と、透き通るような青を映し出す水田。 　でも、みんなが想像する田舎と、リアルは全然違う。 　本当の田舎はゲコゲコ、ミンミンうるさいし、バスも一本逃すだ…

夏のある夜、ふと立ち寄ったアンティークショップで入手したランプ。 それに明かりを灯すと、何故か涼しくなるという――。

幼馴染の雨実は、俺の兄貴に恋をしている。 たぶん、本人が自分の気持ちに気付くよりも早く、俺はそれに気がついた。 兄貴に彼女が出来て、内心ほっとしたと言う雨実は── ※もともと…

その男、人にあらず。 時の術者に封じられてからというもの、力は削がれ、己の身も地に縛られてしまった。 口惜しや、と。妖力を取り戻すため、今宵も美味な馳走に舌なめずりをする。 そ…

　河合真人は高一の夏、たまたま入ったミニシアターで『ローマの休日』を見て、恋をした。『ローマの休日』という映画そのものに。 　高校卒業後『MTMここてい』で働きながらひとり、人形…

登場人物 主人公…スペックは軒並み中の上。 誰からどう見ても順風満帆だが…。 眼鏡女…国民的美少女には１００％なりえないが、マニアから密かな人気。

受け継ぎたいのは味だけじゃない。 やがてくる日のために、季佳美は祖母から生き方を学ぶ。

「人間との恋なんて、俺には縁遠い話だ」 小さな町に暮らす魔法使いの俺は、師が遺した少女の面倒を見ながら穏やかに暮らしていた。 だが、そんなとき「娘を助けてくれ」と血まみれの男…

彩也夏と僕は幼馴染みだった。 そして長い間続いた片想いは姿、形を変え今日結末を迎える。 二人の行く先は。 これはそんな話。

植物学者のカツミは、大学生の時からの友人かつ想い人であり、同じく植物学者でもあるサキの訃報を聞いて彼の研究室へ向かう。そこにはサキと同じ姿をした何者かがいた。サキの遺した日記によ…

　何年も味わってきた夏の寂しさから、もう解放されたい。その一心で、彼はあの夏を目指した。

熱い夏に一瞬で燃えた恋。 その勢いに燃え尽きるのも早く。 私が用意した「秋」は通り過ぎる。

「僕」は不思議な遊園に迷い込み、メリーゴーランドの整備点検を担う少女と出会う。 綺麗に掃除と整備がされた回転木馬。カゴが等間隔にぶら下がった巨大車輪。怪獣が住んでいるらしい湖。兄…

８月が舞台のお隣さんコメディ。 洗濯物を届けたら、納品したVTuberそのまんまのフルアーマーが出てきた。 ひょんなことからお隣さん兼ママ兼フォロワーとなった木っ端イラストレータ…

　夏休みの宿題として、イルカの絵を描いていた娘。それを見て父親が声をかけると……。 （「小説家になろう」「エブリスタ」「Prologue」でも掲載しています）

恋人の美波から突然別れを告げられ、沖縄へ帰ってきた嵐。 しかし島中をさがしても、美波のすがたは見つけられない。 そんなとき、美波の三線と、とある曲の譜面を目にする。 島ですごした…