「藩 武士」を含む小説

江戸時代末期。 九州の小さな平賀藩には武士の子供たちが通う藩校があった。 藩主の息子と机を並べることになったのは、藩校始まって以来初めての女子。 恋と剣術に励む子供たちは、激動の…

＝あらすじ＝ 　田村祐之進は十三歳。とある小藩の家老の息子だ。江戸詰めの父と共に父の小姓見習いとして仕えていたが、体を壊し渋々と田舎へ下女の浜路と下男の文吾を伴い療養にやって来…

東国の某藩家訓 一、嘘や悪口を言わない。（下品だ） 一、己の利益を追求しない。（ひたすらに藩家領民のために尽くせ） 一、礼儀作法を正す。（敬意は態度で示せ） 一、発言、約束を違え…

内外の時勢が風雲急をつげる幕末。 先天奇形という不運を背負った藤太は、出羽国久保田藩で生まれた。 いなかった者として幼少から長らく幽閉されて育つうち、剣術というものを知り、ただひ…

　幕末、東北にある松坂藩の武士、斎藤基一は亡き父の跡を継いで剣術道場を営んでいた。 　道場では年若い武家の少年たちに正道一刀流剣術を教えているが、実は一子相伝の秘剣術の達人でもあ…

番頭の赤沢太兵衛に嫁して八年。初（はつ）には子が出来ず、婚家で冷遇されていた。夫に愛妾を迎えるよう説得するも、太兵衛は一向に頷かず、自ら離縁を申し出るべきか悩んでいた。 その矢先…

さらなる剣の道の高みを求め、江戸留学を希望した武次郎であったが、向かったのは国の外れにある豊かな自然に囲まれた農村だった。 思いがけぬ出会いのなかで、武次郎は己を知り、人と剣の道…

月尾藩家中島崎与十郎は、身内の不義から気を病んだ父を抱えて、二十八の歳まで嫁の来手もなく梲（うだつ）の上がらない暮らしを送っていた。年の瀬を迎えたある日、道場主から隔年行事の御前…

　太平の世、千住藩の城下街で、夜な夜な武士を狙う辻斬りが現れた。 　見回りに出ていた二刀流の侍は、その辻斬りに遭遇する。年端も行かない辻斬りが持っていた長刀は、彼に見覚えのあるも…

文久元年、奥州二本松藩に、十を数えたばかりの姫君がいた。 家老大谷彦十郎の嫡男で、文武に秀でた二十八歳の大谷鳴海は、妙な役替えを申し付けられる。 十歳の姫君の護衛という名の傅役が…

時は幕末、鳥羽・伏見の戦いで大敗を喫した幕府軍。第十五代将軍徳川慶喜は江戸城への帰投を決定する。「上様、お待ちください」そう言った松平容保はこう続けた。「北海藩の到着をお待ちくだ…

時は幕末。東北地方の小さな藩、天道藩の下級武士である青葉蝶次郎は怠惰な生活を送っていた。上司に叱責されながらも自分の現状を変えようとしなかった。そんなある日、酒場からの帰り道で閃…

青海藩剣術指南役、斎兵庫の道場をひとりの武士が訪れた。 「腕の立つ男を探している」 ちょうどその頃、斎道場で剣を交わす武士がいた。「無様ですね」嘲笑われた男、板野喜十郎――。…

時は幕末。小藩に仕える武士、軍平は若くして窓際の冴えない青年。祖父から謎めいた妖術の伝書を受け継いだものの放置したままだ。ところが突然、腹黒家老たちの陰謀に巻き込まれ、因縁の相手…

　江戸時代後期、武士である丸山　正はある日突然、職を失い浪人となった。理由は藩の財政難による人員削減。元よりそこまで財のある藩ではなかったが、新当主の女遊びが多額の借金を作り、財…

人が夜空にみる星の光とは、往古に放たれた光であるという。 畢竟、人は今放たれた光を知らず、後世の夜空にはじめて知る。 新撰組であるッ―― 会津藩御預新撰組、副長助勤二番組々長…

銭で人を殺す始末屋稼業を営む次郎八は、心に負った傷から目を逸らす為、阿芙蓉（アヘン）と酒に溺れる日々を送っていた。 そんなある日、次郎八は武士の一団に襲われる親子連れを助ける。父…

もしも大政奉還後、日本が諸藩主導の地方分権制を取ったとしたら。 或る国は開国し、或る国は鎖国をする。 また或る国は戦にて勢力を広げ、或る国は声高に中立を主張し束の間の平和を謳歌す…

何事も程々にできる藩士、与之介。 そのせいか、気位の高いばかり高くなる自分に嫌気がさしていた。 そんな時、彼の習う京家一刀流に秘伝の型『天つ風』があると聞いて、道場は大騒ぎに！ …

江戸初期、松前藩のお家騒動に取材。 流刑先に赴く藩菩提寺の住職柏巖和尚と同行の武士たちの葛藤。 日本海を望みながら北上する一行の思いは？