2 2とか言ってるけど、本当はこっちが始まりだから。1とか前置きとかそんなもんだよ?勘違いしないでね?

★★★

――人は前置きが長いと飽きてしまうのだろうか?

ついでにもう1つ。

――人はその前置きに重要人物が出てきちゃうとつまんないのだろうか?

ついでにもう1つ。

――というかそもそもあれは前置きと言えるのだろうか?

ついでにもう1つ。

――というか……わら。

ついでにもう1つ。

――というか……わら。

ついでにもう1つ。

――というか……爆颶蓮雄って、いらなくね?

「いるわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

爆颶家リビングにてニューヘル・ゴルンこと優凪ヘルは紙芝居をしていた。そう、紙芝居だ。昭和的な紙芝居だが、今でも幼稚園や保育園で紙芝居という伝統は続いている。だが、ここは幼稚園でも保育園でもない。爆颶家リビングだ。なぜこの優凪ヘルが紙芝居をしているか、というと、先日たまたま通りかかった公園で、おばあさんが紙芝居をしていたのに気付き、優凪ヘルが楽しく聞いているうちにはまってしまったのである。今では自分で絵も書いてやるほどだ。案外絵が上手い。案外とか本人に言ったら殺されるから言わない方がいいよ♪

ところで、なぜ男が紙芝居しているのに名前が優凪ヘルかって?え?何言ってんの?

声を上げたのは爆颶蓮雄である。しかし、声は可愛らしい女の子。そう、手術したのだ♪ムスコも切り落とし、顔も整形し、胸もシリコンいれました♪声も変えて、マルホンの女の子になったのだ♪

「おい誰だ手術とかクソ言いやがったのは。聞こえてんぞコノヤロー!」

あ、バレてました?すみません冗談です。

実は、この爆颶蓮雄と優凪ヘル、体が入れ替わってしまったのだ。え?知ってる?すみませんでした。

てなわけで、ドタバタしているのである。何が?

「なんで2回もというか……わら。って言ってんだよ!1回で十分だわ!てかそもそもいらねーし!」

「何言ってんだ貴様!これこそ紙芝居だ!」

「こんなん紙芝居でもなんでもねぇよ!主人公の存在否定すんな!」

「……え?貴様主人公とか何言ってんの?え?自分が何かの話の主人公とでも思ってんの?自意識過剰じいしきかじょう厨二病ちゅうにびょう?」

「厨二病ですね!すみません!」

蓮雄は普段アニメしか見てないので、たまに主人公とか作者とか設定とか話とか厨二病的なことを言います。

「ところで私の紙芝居はどうだった?」

「うんクソだった」

「何だとゴルァ!」

首を絞められる。痛い痛い痛い痛い!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬって!苦しい!くるくる苦しい!

と、死ぬ直前のところで弱まる。た、助かった……。

「ゴホッゴホッ!」

「ところで私の紙芝居はどうだった?」

「ゴホッゴホッ!」

「ところで!私の!紙芝居は!どうだった!?」

「ゴホッゴホッ!」

「おい貴様殺すぞ」

「お前がこうしたんだろうが!ゴホッ!」

「知らんな」

「嘘つけ!ゴホッゴホッ!」

あーもうこの人嫌だ。誰かこの人抹殺させて。

「ところで、貴様、私の胸揉んだか?」

「は?」

「揉んだら……」

ヘルがジェスチャーで死ねとやる。あ……この人本気ですわ。

そんな約束もあったもんだな。確かに殺されそうだったから揉まなかったけど……ほら?俺やっぱり嘘つかない優しい子だし、約束は破ったらいけないって小さい頃から言われてたからね。部屋に閉じこもって堪能しよう。

「おい貴様……鼻血でてんぞ」

そう言って鼻をこすると血がついてた。あ……想像しすぎた……。

「貴様……何を考えてるのかなぁ?」

怖いです……ヘルさん怖いです……え?……ちょ待って……へ、へ、ヘル様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


鬼、でした……。死ぬかと思った。この人を怒らせたら死ぬよ。怒らせないようにね。ん?どうすればいいかって?話さなければいんだよ?

「すいませんでした」

「よろしい。……ところで貴様……そ、その……け、怪我は……だ、大丈夫……か?」

ツンデレぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?てかこれツンデレなのか!?絶対なんか企んでるよな!?なんでモジモジしてんだ!?

「だ、大丈夫……だけど」

なんだこの空気はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?急にどうしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!?キャラ変わってんですけどぉぉぉぉぉぉ!?

「そ、そうか……」

「うん……」

なんだこの空気はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?誰か助けて!ヘルが壊れたぁぁぁぁぁぁぁぁ!

「その……なんだ……この前はすまなかったな……」

「……」

「それ、でな……お詫びに……と思って……」

ヘルが箱を出してきた。え?まじで言ってんの!?ちょ大丈夫か!?

とりあえず受け取る。ここで受け取らねー馬鹿はいねーだろ。

それでも、爆発物が入ってる可能性がある。ヘルのことだからな。

「あ、開けてみろ……」

俺は恐る恐る開けてみる。が、中に入ってたのは可愛らしいハートの形のクッキーだった。え?これ夢?

「て、手作りで作ったんだぞ……感謝しろ!」

ヘルはそっぽを向いた。マジかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?おい雨と雪と雷と台風と地震と津波が同時に起こるぞ!みんな逃げろ!

まだ毒が入ってる可能性がある。1つパキッと折ってみる。問題なし。

そして、恐る恐る口の中に入れてみる。

――なにこれ美味しいんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?

かなり美味しかった。ヤバイなにこれ!あっという間に全部たいらげてしまう。

毒なんて入ってなかった。

「ヘルありが――ドグワッ!」

「う、うるさい!」

そう言ってヘルは2階に上がっていってしまった。

俺は思いっきり蹴り飛ばされて壁に埋まってますけど何か?問題でもあります?


俺は壁から抜け出すと自分の部屋に戻った。

そしてあることを思い出していた。懐かしいあの昔の時間を――。

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