いや、異世界救う前に俺を救えよ

高橋創将

1章 ニコラス王国編

1 なんで俺入れ替わってんのぉぉぉぉぉぉぉ!?

★★★

――人は異世界というものを信じるだろうか。

ついでにもう一つ。

――人は入れ替わりというものを信じるだろうか。

まぁ信じない。そういうのはアニメや漫画やラノベの世界だけの話だ。信じるわけはない。いやね、ラノベとかアニメとか漫画は好きですよ?異世界だってあればなー!とか入れ替わりしてみたいー!などと思いましたよ!?そりゃ誰でも思う。だけどさ!本当になったらマジ最悪だよね!?……言おう。うん。


「なんで俺女になってんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


その声はこの洞窟の中に響き渡った。


★★★

風が気持ちいい。

春に吹く風は、四季の中で1番気持ちいいと思っている。理由は気持ちいいから。いや、理由とか言われても理由が無い場合どうすんの?え?嘘でも答えろと?

今、学校の屋上でのんびり寝転がっている。今は昼休憩中。まぁ昼食は食ったし時間はまだある。

太陽が眩しくない。

なんで曇るかなー?いやさ、普通はさ、晴れるよね。俺が屋上で寝てんだからさ、雲もさ空気読んで欲しいよね。ちちんぷいぷい晴れになーれ。……なるわけないし。そんなんでなったら、ちちんぷいぷいハーレム状態になーれ、って言ったら俺今頃下半身暴走中だぞコノヤロー(棒読み)。まぁ曇りのおかげで風が倍に増してるけどさ。チラシが顔とかいろんなところにひっかかるのは気のせいだよね。っで、どんどん濡れてる気がするんだけど。まだ目は開けてないからね?ね?さっき寝ちゃってさ、今から起きようと思ったんだけどさ、なんかおかしいんだよね。周りが。なんかブンブンブンブン言ってるし。ゴミがいっぱい当たるし。風強いし。よし、3、2、1で目を開けよう。わかったか?行くぞ。


3、2、1!


目を開ける。まぁ……風気持ちいいね。っておい!

「なんで台風になってんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

ついさっきまで晴れだったよね!?天気予報晴れだったよね!?近くに台風なんてなかったよね!?なんでいきなり!?おい!ビチョビチョじゃねーか!ふざけんなよおい!

チラシやらゴミが当たる。痛い痛い痛い。

もうこんなところで怒っていても仕方ない。着替えよう。というか!誰か起こせよ!

そのままびちょびちょになりながら、男子更衣室に行く。

この学校は、自分の更衣室にある程度の物を入れておくようになっている。地震などの災害時、それを使えるからだ。

更衣室に着いた。途中誰にも声をかけられなかった。いや声ぐらいかけてよー。「なんで濡れてんの?」「どうした?(笑)大丈夫か(笑)」とか。そんぐらいしてよ。寂しいじゃん。うぇーん。

ロッカーを開け、もう一つの制服と下着を取り出す。制服と下着を脱ぎ、洗濯機にぶち込む。そう。洗濯機も付いている。ちょー便利。スタートボタンを押すとウィンウィンウィンウィンと回り出す。これで完璧。今スッポンポン。下着をはき、制服を着る。春と書かれたボタンが首の襟にくるのを鏡で確認する。


「よし」


その声と共に昼休み終わりのチャイムが鳴る。


★★★

[今年もランキング発表の日がやって参りました~!]

【おー!!】

今年もやってきた。このランキング発表日。

生徒全員が盛り上がる。

[では早速!

筋肉界代表!元原栄治もとはらえいじ!]

【マッチョマッチョマママッチョォォォォォ!も、と、は、ら、マママッチョォォォォォ!】

元原栄治と呼ばれた男が、パン1で出てくると生徒の1部(多分元原栄治の応援隊)が大声で叫ぶ。

「ん!」と筋肉を見せびらかす。そこまでして何がしてーんだよ。てめぇの筋肉剥ぎ落としてやろうかコノヤロー。

[ブサイク界代表!飯田将星いいだしょうせい!]

【飯田と言ったらブサイク!飯田と言ったらブサイク!っブー!】

飯田将星と呼ばれた男が恥ずかしそうに出てくる。まぁ恥ずかしいだろう。てか恥ずいだろ。

[天才界代表!仙材翼せんざつばさ!]

【1+1=2!ツバっちです!】

仙材翼と呼ばれた男は、「ハァ……」とため息をつきながら出てくる。だってイチタスイチハイチとか小学1年レベルだからね!?誰でも知ってるもんね!


[正直すぎる界代表!]


げっ。


爆颶蓮雄ばぐれおん!]

【おいおい。正直すぎんだよ。頭大丈夫かよおい】

おい俺の時だけただの悪口だよな!?掛け声でもなんでもねーよな!?なんでそんなに息ピッタリなんだよ!?

そう思いつつ出ていく。

ほんと、なんで俺が正直すぎる界代表なんだよー。本当の事言ってるだけじゃないかー。ひどいよー。

ただ嘘がつけないというだけである。隠し事もほとんどできない。

あーライトが眩しいわ。

[美女界代表!西母魔李にしもまりん!]

【マーリン!マーリン!マーーーーーーーーーーリン!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉほい!】

ほんと魔李ちゃん可愛いから。なめんなよおい。そんな掛け声じゃダメだぜ。

西母魔李が出てくると、こける。

かわえええええええええええええええええええええ!もう「きやっ!」という声と「いたた……」と制服のスカートをはらう仕草がちょーかわえぇ。

俺の隣に立ったよ。興奮すんじゃねーか。やべースカートめくりてぇ。ヒラってね。ヒラって。

どうせならこのまま倒れるフリしてオッパイ揉みたい。てか揉もう。うん。

まぁそんな勇気ないけど。横目で見るだけにした。

[そして!今年もやはりこの男!イケメン界代表!運動界代表!優しい界代表!雅里郁魔ちさといくま!]

【きゃぁぁぁぁ!】

歓声はこれだけだ。いや、これしか言うことがないのだろう。3つの界の代表。去年もそうだった。

雅里郁魔は堂々とでてきた。俺こういうやつ嫌いなんだよな。

スポットライトがあたる。まぁイケメンだ。イケメンだからなんだよ。どうせそういうやつは心はブサイクなんだよ。

[変人界代表!禰津幽香ねづゆうか!]

「イッパイオッパイおマ★ぴー!」

歓声ではなく、禰津幽香自身が大声でヒワイな事を叫んだ。もう先生も手が付けれない。ようはもう怒る気力もない。禰津幽香は怒られないため、自由だ。もう変人どころのレベルではない。

まぁランキングはこんなところだ。ところで……。

春義丘高等学校はるぎおかこうとうがっこう。生徒数568人と少なめ。一学年3クラス。学力的には普通の学校。中学校が名前を変えたみたいな感じな学校で、基本的自由な学校だ。厳しい規則もない。そんな中発表されるのがこのランキング。毎年5月に発表される。ほんと人によっては不のランキングだよねこれ。もちろん俺にとっては不でしかない。正直すぎる界って意味不明だわ。ぜってぇ俺を吊るしあげるために作られたよなこれ。

今回、ほとんど去年と変わらない。

筋肉界代表、元原栄治。柔道部部長。3年B組。成績普通。顔ごっつい。アソコでかい。

ブサイク界代表、飯田将星。科学部部員。2年A組。成績理数系はトップクラス。国文系はダメ。ブサイク。アソコちっちゃい。アフロ。

天才界代表、仙材翼。テニス部副部長。2年B組。成績ヤバすぎる。顔まぁまぁイケメン。アソコ普通。

正直すぎる界代表、爆颶蓮雄。帰宅部部長(笑)。2年C組。成績普通。顔普通。アソコ普通。これ俺な。

美女界代表、西母魔李。吹奏楽部部長。2年C組。成績アウト。顔神。胸は……俺の予想だとEカップ。予想ね。予想だからね!

イケメン界代表、運動界代表、優しい界代表、雅里郁魔。サッカー部部長。2年C組。成績すごい。顔フッ。アソコフッ。調子にのんなよゴラァ(棒読み)。

変人界代表、禰津幽香。帰宅部。3年C組。成績普通。顔カワイイ。胸は……Fカップぐらい。予想ね。予想。

まぁこんなところ。去年はもっとあったのだが、今年はなぜか少ない。

と、1人1人紹介しているうちにどんどん進んでいっていた。

[ではこれでランキング発表を終わります!]

どうやら1人1人の一言は、俺を飛ばしたらしい。イジメだよねこれ。

自分の列に戻る時、魔李と肩が当たった。

「す、すまん!」

「ご、ごめんなさい!」

声が重なった。当たっちゃった。やば。ちょー興奮する。

しばらく沈黙が続いて、俺は何も言わず戻ることにした。なんか酷いことをしたように思えるが、これが普通。

今日も帰ってアニメ見るか。午後、台風の中濡れて帰るのを覚悟した。


★★★

最後の授業。まぁ6時間目という意味だよ。

「お前、異世界って信じる?」

俺の前の席の神喜俊将かみきしゅんすけが授業中にも関わらず話しかけてくる。当然無視。

俊将がしばらくこちらを見つめる。いやーキモイからやめて。そして

「お前、異世界って信じる?」

この人2回も聞いてきたよ。答えてくれないから2回も聞いてきたよ。可哀想。こういう人にはならないようにね。って誰に言ってんだ俺。

しょうがないで答えてやるか。

「信じねーよ。異世界もののラノベは好きだけどな。ほらこのラノベ異世界ものだから」

机の中から『いや、異世界救う前に俺を救えよ』というタイトルのラノベの本を見せる。これあんまりだけど。面白くないけど。マジつまらんけど。他に読む本ないから仕方なく読んであげてる。ほんとだよ?面白くないよ?

「だよなー。なんでみんな信じないんだろう……」

「いや、厨二病のやつしか信じねーから。ほとんどの人は信じねーから。中には『異世界』という単語すら知らねーやついるから安心しとけ」

何を安心すればいいのか自分でもわからん。勝手に口が動いただけだもん!

「話変わるけどさ、俺異世界に行ってみたい」

「うんほとんど変わってねーよ。……たしかにな。あったら俺も行ってみたいわ」

「だよなだよな!」

大声で喋ってはない。大声で喋ってたら先生に怒られちゃうから。先生黒板しか見てないから静かにしときゃーバレないんだよね。

「俺、オッパイ揉み放題の異世界行ってみたい」

「それならそこらへんの商店街にあるから行っとけ。もう戻ってくんな」

「お前揉みたくねーの?」

「いや……それは……」

「え?なになにぃ?」

にやけてるぞこいつ。てかヤバイ。

揉みてーに決まってんだろ!男なら誰でも揉みたいわ!特に魔李ちゃんの!

でもさ、そういう店入ったら捕まるんだよね。それは嫌なんだよね。

ところで急にこいつどうしたんだよ。頭おかしくなったかおい。授業中に話すことじゃねーだろ。放課にしろよ放課に。

「揉みたくねーよ」

「お前魔李一筋だもんな。あーつまんないの」

「何がつまんねーんだよてめぇ!」

思わず机を叩きながら立ってしまった。しかも大声で。

「爆颶。放課後職員室へ来なさい」

「いや、これには……」

そこでやめて座る。もうダメだ。あー。この先生ほんと嫌だ。


★★★

放課後。先生に言われた通り職員室に行った。帰り遅くなりそうだわ。

職員室に入り先生の机に行く。先生座ってコーヒー飲んでた。美味しそう。飲みたいな。

「おー来たか爆颶。帰るかと思っていたぞ」

「そんなことしませんよ。っで説教ですか」

「あーそうだな」

「って言ってもどうせ――ひっ!」

先生がグーで頬の横を殴ってきた。当たってないけど。すごい迫力。怖い。

「さて説教を始めるか」

尾澤陽おざわはる先生。女。数学担当。俺のクラスの担任。暴力&たまに厨二が入ってくる教師で有名。授業中少し喋っただけで説教。胸ペッタンコ。Bカップぐらいじゃないかな。年齢永遠の500歳。いやどうせなら20歳にしろよ。500歳って徳川家康見たことあんじゃねーか。戦国時代かゴラァ。実年齢30前半なんだろうな。かわいそう。誰か結婚してやってくれ。俺が結婚直前に別れさせてやるからよ。アニオタでも有名だ。説教中たまーにアニメの話になる。同じアニオタの俺としてはありがたい。アニメみないやつにとっては鬱陶しいだろうな。かわいそうに。だからこの先生の説教は楽しみもある。

と、言っているうちに説教が終わる。いつも説教聞かずに心の中で先生について語ってる。

「まぁ許してやろう」

「ありがとうございます」

何に対してかわからんけど。

「ところで爆颶。ランキングまた入ってたな!」

「喜ぶランキングに入ってませんよ」

「何を言っている!素晴羅死良ランキングに入るということ自体が喜ぶところだ!」

「なんか横に変な漢字とルビが見えた気がするんだけど!?……年間不の占いランキング入ってるのも喜ぶことですね――ぐわっ!す、すみません悲しいことですね」

不の占いランキング。あらゆる不のなかでも、今年1番不幸になる人ランキング。尾澤陽、堂々たる1位獲得。おめでとうパチパチ。

腹にいれられた。痛い。ちょ、休憩。次叩かれたら内蔵すべてでちゃう。

「ほんと悲しいよ……でも、だ。人間前向きが1番だと私が言っている」

いやお前かよ!普通、『誰か』とか個人名だすだろ!何自分はプロテスタントみたいに言ってんだよ。カトリックなめんなよおい。

「そうですか……僕は前向きとか興味ないんで。前向きすぎると逆に気持ち悪いんで」

「そんなこと言うなやー、昔酒を交わしたなかじゃないかのぅ」

「いつの時代の喋り方だ!てか昔っていつだよ!酒飲めねーよ!」

いつの時代というかおばちゃんの喋り方。

地味に声のトーン下げてる。プププ。

「先生、僕帰っていいですか。習い事あるんですけど」

「帰るがいい!エデンの園へ!」

「死ね」

俺はそう言ってもうダッシュで学校を飛び出した。


★★★

疲れた。なんとか家の前までは体力は持った。これが帰宅部の限界だ!帰宅部なめんなよおい。

家に鍵がかかっていたため、インターホンを押す。


ピンポンパンポン。ただいま爆颶蓮雄は性欲処理をしています。


「おい待てゴラァ!クソジジイ!何改良してんじゃあ!」

玄関ぶっ壊して中に入る。

辺りを見回すと、奥からクソが現れた。

「おかえり蓮雄。処理は済ませたか?」

「済ませねーよ!ふざけんなクソジジイ!」

「っておい!何俺が改良した玄関壊してんだよ!」

「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんだあのインターホン!インターホンじゃねーだろ!ただの息子イジメだろ!」

「何を。俺の大傑作だぞ」

「あぁ。親父の頭の中が大傑作だわ」

爆颶斬炎ばぐきえん。俺の親父。アソコでかい。職業『なんでも機械直し屋 爆颶屋』社長。社員0。機械の知識は異常。なんでも改良したり直したりすることができる。ただ、機械を作ることはできない。家の物をなんでもかんでも改良するのがこのクソジジイ。ほんと迷惑。

玄関に飛びついて直す親父を背に、自分部屋に行った。妹の部屋の前を通っても反応はしない。いや、普通はしないから。そんな通るたびに「俺の可愛い妹よ、部屋からでてきてくれないか」とか「ただいま妹、私は今帰ってきたぞよ」なんて言ってたらただの変人だから。シスコンやろうだから。キモイから。引かれるから。

部屋に入ってカバンを投げ捨ててベッドに寝転ぶ。帰ってきてからのこの行動は、青春時期の俺らにとって決まっている行動だから。半分ぐらいのラノベはこの行動することが多いね。知らないけど。

しばらくして起き上がり、リビングへいく。喉渇いたから飲み物を取りに行ったのだ。

「蓮雄帰ってきてたの?」

「あぁ。てか玄関壊したのに気づかない母さんはすごい」

「あら、そんなに褒めてもご褒美あげないわよ。ウフフフフ」

「誰も褒めてねーよ!クレヨ★しんちゃんか!」

爆颶氷花ばぐひょうか。俺の母さん。胸Dカップぐらい。職業『不明』。自分の親なのに職業も知らない。というか教えてくれない。超絶天然。超絶おバカ。まぁ美人だからいいけども。

両親共39歳。そう若くして俺を産んだのだ。どうせ1回ヤったらできちゃったんだろうな。だって想像がつくもん。親父が機械使って――これ以上言ったらマジヤバイからやめておく。

「何か用?」

「いや、喉乾いたからお茶飲みに来た」

「あらそう。なら座ってて。私の特製お茶を入れるわ」

なんか嫌な予感したんすけど!したんすけど!

嫌な予感をしつつ椅子に座る。するとお茶が入ったコップが出現した。退治しないと。

「飲んでみて」

ゴクリとツバを飲み、コップに手を差し出す。覚悟をし、一気に口の中へドーン!

「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

すべて吐き出した。

マズ!いやマズ!なんだこれ!変な味すんぞこら!

「あら?やっぱりお茶に『斬炎さんの脱ぎ捨て靴下からでてきた汁』を混ぜたのは間違いだったわね」

「間違いすぎるわ!何入れてんだよ!マズいどころの問題じゃねーぞ!俺の口が死ぬわ!」

なんで親父の靴下入れたんだよ!?頭大丈夫かおい!くそかおい!ふざけんなよ!口がマジ死ぬわ!てかどうやったらそんな発送が生まれてくんだよ!俺1回親父と母さんの脳みそ見てみたいわ!

「ごめんね蓮雄。次は『斬炎さんの履く前の靴下の汁』を入れるね」

「そういう問題じゃねぇ!……たくもう!」

自分から動き、冷蔵庫の中にある安全なお茶をコップに入れ、その場で一気飲みをして流し台にコップを置く。はぁ……ほんと疲れる。

「はぁあ。さっきからうるさい。何騒いでんの?発情期で母親でも襲ってるんですかー?」

ここで俺の妹、爆颶萌愛ばぐめあ登場。中学3年生。コンピュータ部だが、ほぼ幽霊部員。運動はかなりできる。頭もまぁまぁ。胸ぺちゃんこ。

リビングに現れた妹は、ものすごいエロい格好をしていた。なんというかもう見えそう。

いくら家族とは言え、もう少し考えてほしいものだ。見れないことはない。てか、兄が妹に恋愛感情を持ったら即死亡だぞ。

妹、かなりの変態です。

「何にもしてねーよ。ただお茶が不味かっただけだわ」

「え?お茶に精力剤入ってたって!?」

「誰もそんなこと言ってねーよ!」

「め、萌愛の初はお兄ちゃんに譲らないからねっ。もう決めてるもんっ」

「なんでその話になった!?てか誰もお前の初なんて興味ねーよ!……ってえ?もう決めてる?え?ちょ誰?」

「え?明智光秀」

「この世にいねーじゃねーか!」

「萌愛の心の中にはいるよっ!」

「勝手に言っとけ!」

これで中3かと思われるようですが、安心してください、中3です。もうね、こいつと関わるとろくなことないんで関わらない方がいいと思いますよ。うん。ほんと。

というか、ほんと変態ですよね。すみません。多分教育ミスですわ。こんな親だもんで。

「……もう部屋戻るわ」

「夕食準備できたら呼ぶわ」

「なになに?お、なに?」

「お前1回死んだ方がいいと思うぞ」

そう言い残して自分の部屋に戻った。


★★★

ドサァァァ。

え?何この大量の古本。

部屋のクローゼットを開けると、古本が大量に落ちてきた。押し込められていたらしい。ていうか俺こんなの入れた覚えないんですけど。てかこんな古本誰が読むんだよ。と、いいつつ気になるので1つ本を手に取ってみた。

どうせ昔の言葉で読めないだろう。そう覚悟しながら本を開ける。

すると!俺は謎の光に包まれ俺は目を閉じた。

目を開けると、そこは洞窟だった。展開はやっ!

どうやって来たのか、どこから来たのかわからなかった。別に驚きもしない。どうせ夢オチだからな。

辺りを見回すと1人男が倒れていた。

これはこれは。と思い、話しかける。反応はない。

うつ伏せで倒れていたので、反対側を向けた途端。俺は死んだのかと思った。いやだってさ、目の前にいるの俺だもん。

「すいませーん」

と声を上げた途端、またまた死んだのかと思った。いやだってさ、その声女の声だもん。え?俺ってこんな高かった?そう思いつつ、自分の服装を見る。ドレスだ。ピンクの。

えええええええええええ!?

女装の趣味なんてねーよ!?え?なに!?って待て!俺にアレがついてない!逆にオッパイがあんぞ!?てか顔女じゃね!?っておい!

おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!?これしか言うことがねぇ!?ちょ待て。落ち着こう。な?俺落ち着こう。ヒーヒーフーヒーヒーフー、あー産まれるぅ!じゃなくて!はぁ!待て!落ち着け!俺落ち着け!ヒーヒーフーヒーヒーフー。落ち着いてきた。

待て。状況を整理しよう。

あれは俺。俺は誰?ん?あれは俺の体だよな?で?この体は?誰の?ていうか俺幽体離脱してんの?ならこの体はおかしいよね。待て。多分これ入れ替わりだ。うん。まぁ夢にしてはすごいな。この体はそれでいいとしよう。それで、ここは?あれだよな。多分異世界だ。うん。そういうことにしておこう。

ところで、

――人は異世界というものを信じるだろうか。

ついでにもう一つ。

――人は入れ替わりというものを信じるだろうか。

まぁ信じない。そういうのはアニメや漫画やラノベの世界だけの話だ。信じるわけはない。いやね、ラノベとかアニメとか漫画は好きですよ?異世界だってあればなー!とか入れ替わりしてみたいー!などと思いましたよ!?そりゃ誰でも思う。だけどさ!本当になったらマジ最悪だよね!?……言おう。うん。


「なんで俺になってんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


その声はこの洞窟の中に響き渡った。

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