2 なんで俺入れ替わってんのぉぉぉぉぉぉぉ!?★2
★★★
ある部屋の椅子。その椅子は階段の上にあり、その周りには火玉が飛んでいる。薄暗く、何か不気味である。その椅子にある男が座っていた。
「さて。また始まりますか」
その男は人間の形、顔をしているが、雰囲気はまるで違う。――あきらかに人間ではない。
男は部屋には誰もいないのに、1人静かに呟いた。
★★★
「ちょっと?起きてくれる?ね?ね?」
なんだか自分に話しかけるって照れる。声女ですけれども!
しかし、一向に起きてくれない。多分起きたところで夢終わって、自分の部屋にいるだろう。いや、いるはずだ。いなきゃだめだよ。いなかったらどんだけ~。
て、いい加減起きろ。俺何もできねーじゃん。じゃんじゃん!……いや起きてください。お願いしま――
「ぐわっ!」
「ウウウ……」
痛っ!いきなり起きるな!いや起きろとは言ったけれども!顔が当たったんだよ!痛いよ!
目の前にいる俺はスッと立って、座っている俺を見る。その瞬間。
「あ?起きたか?」
「え?」
反応薄っ!え!?普通ぎゃぁぁぁぁぁ!とかきゃぁぁぁぁ!とか気絶とかあるだろ!は!?なぜ無表情で逆に怒ってるように言ってくんの!?何?あなたビルズ様ですか?あ、俺か。
なぜか目の前にいる俺は腕を組み出した。
「貴様よくも私の部下を殺してくれたな」
「ちょえ?」
身に覚えがねーよ?え?何部下って?誰?俺起きたら誰もいなかったよ?俺と俺しかいなかったよ?てなんか俺と会話してんだけど!気持ち悪っ!あ、今思ったけどさ、俺の声気持ち悪いわ。
実際身に覚えはない。
「とぼけたとは言わせんぞ!この人殺し悪魔っ!」
「いやいやいや!覚えてません!本当ですっ!」
「嘘つけ!」
「嘘じゃないです!」
「は?何を言っているかなぁ?」
「怖怖怖!いやマジ覚えてないって!俺なんかした!?」
「な!まだとぼけるつもりかっ!私の体も奪っておきながら!」
「いやそれ言ったらそれ俺の体だかんな!」
「だからなんだ。切り刻むぞこの体」
「いや待て待て!」
急にナイフを取り出し俺の体に突きつける。え?どこから出したそれ。俺そんなの持ってなかったぞ。てか普通持ってねーよ!道端でナイフ持ってるところ見られたら警察に尋問されるわ!
誰か俺を起こしてくれぇー!萌愛よ!俺を起こせっ!そうだ!この為にあの呪文があるんだ!
そして俺は呪文を唱える。
「ちちんぷいぷい
【……】
え?何この沈黙と洞窟に響き渡る俺のちょー可愛らしい声は。恥ずくね?普通に恥ずくね?てか俺絶対顔真っ赤だよね?ね?
そんな中、俺の体が喋り出す。
「貴様。その呪文私にも教えてくれぬか?」
「え……」
食いついたぁ!?何こいつ!幼稚園児かこいつ!俺の体の中身幼稚園児が入ってんのかゴラァ!許さんぞ!今すぐ殺してやる!って俺の体じゃん!どうしやーいいんだよ!どう返せばいいんだよ!やり方教えるんか?あ?「ちちんぷいぷい」ってつけるだけで君はもう僕の仲間入りさ!うふっ!……気持ち悪。
「何?教えてくれんのか?」
「いや!これにはちょっと修行というものがありまして、もう何年もかかっちゃうんで」
「そうか……ならば仕方ないな」
俺は何を言ってるんだぁ!?ちちんぷいぷい言うだけで何年もかかるわけねーだろ!気付ぇ!
ちょ逃げたい。逃げたいけど俺の体がほしい!いや!変な意味じゃないからね!
「どうやら本当に貴様、記憶がないらしいな」
俺の体の中身のやつがようやく信じてくれた。よかったー。ってなんで信じてくれたの!?意味不明!あ、まさかちちんぷいぷいの呪文が言えるだけで信じてくれたの?え?そんなんで信じてくれたの?え?え?
ちなみに、未だに俺は座っていて(お姉さん座りっていうの?)俺の体の中身のやつは腕を組んでいる。超上から目線なんですけど。しかもそれが俺の体だから妙にムカつく。
「しょうがない、話してやろう。なぜこうなったのか――」
数十分前。
本を開け、謎の光に包まれたあと。
目を開けた瞬間にこの女とぶつかり、倒れた。
そこに女の部下らしき人が追ってきた。なぜ追ってきたかはほっておこう。
「ニューヘル女王!」
「戻りますよ!さぁ!」
部下が言うとニューヘル女王は起き上がり、言葉を放つ。
「あなた達のペ★スを切り取ったら戻ってあげるけど?」
「女王であろうあなたがそんなはしたない言葉!ダメです!」
「もうこうなったら奥の手っ!」
「まぁそれしかない!許可は取ってある!」
「いけぇ!『
ちょっとは名前工夫しろよぉぉぉぉぉぉ!と言いたくなるほどの名前だ。その銃から放たれた光は、蓮雄ごとニューヘル女王を包んだ。え?全然ネットじゃなくね?とツッコミをしないのは、まだ俺は気絶しているからである。
そして、光終わったと思うと、ニューヘル女王も倒れていた。あれ?ネットもなくね?
「ちょっと?これほんとに『
「あれれー?あれれー?違うのかなー?アハハー」
カタコトで喋る部下。恐る恐る銃を見てみる。
あれ?
【全然ちげぇー!】
全くの別物だった。
「ちょこれ『対象の物同士の魂を入れ替える銃』じゃん!」
「間違えたぁぁぁぁぁ!」
銃の名前ながっ!てか説明がそのまま名前になっただけだよな!?名前付けるのめんどくさくなったんだろ!?
てことはつまり、今ニューヘル女王とこの汚い男の魂が入れ替わってしまったということだ。
「ちょやばくね?」
「俺ら殺されるパティーンじゃね?」
パティーンとはパターンをちょっとカッコよくしたものだ。
とそこで、ニューヘル女王の体が立ち上がる。
部下2人はビクビク震えた。
「あのぅ?ニューヘル女王?」
「いやいや待って?」
ニューヘル女王の体が、片手を部下に向ける。それと同時に男の体も立ち上がる。
片手に魔法陣が出てきたと思うと、その魔法陣から炎が放たれる。
部下は炎に飲み込まれ、そのまま焼けた。
その光景を見ていた男の体は呆然としてしまった。
ニューヘル女王の体が倒れる。残された男の体。
「え?ちょえ?私の作戦は最初、銃を入れ替えて私と何かを入れ替えて、その後『冗談でしたー!』って言って銃もう1発撃ってドッキリ大成功!ってなるはずだったのに!?なんで銃ごと消えてんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!おい!この入れ替わりを戻せるのはあの銃しかないんだぞ!どうしてくれるんだ貴様!」
倒れて動かない。反応無し。
そして眠くなって寝てしまった。
というわけらしい。ほとんど意味不明だが。まぁ確実的にわかったことがある。
――もう戻ることはできない。
――夢のクオリティたけーなおい。
後者は置いといて、前者はぼぼ確実的だろう。
ちょ待て。なんで俺は急に立って部下を殺したんだ?よし、聞こう。
「ねーねなんで俺部下を――」
とここで頭がクラクラしてその場に倒れる。ゲームのクラクラではないよ?というツッコミとともに、頭が真っ白になった。
★★★
はっ!と目を覚ます。そこは自分の部屋だった。
やっぱり夢だったのだ。そう夢。短かったけどクオリティ高かったよ!
と起き上がり横にある鏡をチラっとみる。チラッと。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ま、まさか!?嘘だろこれ!?
鏡にしがみつく。
おい!おい!嘘だっと言ってくれぇぇぇ!
そう。鏡にうつっていたのはあのドレス着たニューヘル女王の姿だった。て、思ったけどさ、部下魚みたいな顔だったのにニューヘル女王って俺ら人間とそっくりだよな。
「嘘だと言ってくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「嘘ではないぞ」
そこで、後ろから俺の声が聞こえる。え?
振り返ると、俺がいた。いや、俺の体の中にいるニューヘル女王がいた。
「現実だ。さっき倒れたのでお前の部屋に連れてきてやった。ありがたいと思え。ところでこっちの世界はいいな。空気がおいしい」
なんで俺の部屋だけでわかんだよ!てか嘘だと言ってくれ!
「信じれるわけないだ――」
俺の体の中にいるニューヘル女王が俺に手を向けた途端。何も喋れなくなった。
「これは事実だ。現実だ」
その言葉が何度も何度も頭の中で繰り返される。ヤバイ。なんだか強制的に信じ込まされるぅ……。
そして俺は、強制的に信じ込まされた。
「貴様。名は?」
そういえば俺名乗ってなかったな。かっこよく自己紹介でもするか。
「へっ!俺の名は――」
「おうそうか」
「まだ最後まで言ってねぇ!……
「ほう。ふざけた名前だな。私の名前はニューヘル・ゴルン。ニルバナ王国の女王だ」
「ニルバナ……王国……?」
「あぁ。貴様らから言うと、異世界と言ったほうが妥当か?」
「いせ……かい……」
「めんどくさい。信じろ」
強制的に信じ込まされる。さっきからなんだよ!おい!
「っで、だ。これからどうする?このままじゃ」
「そんなこと言われてもよぉ。俺学校行かなきゃならんし」
「学校?」
「そう。ん?異世界にはねーか。学校って言うのはな――」
俺は学校についても、この世界についてすべて話した。と、話しているうちに夕食の時間がきた。
母さんに呼ばれたのだが、でていけない。この格好だからね!
そこでニューヘルが記憶を変えた。え?何?そんなことできんの?チートやチート。
で、夕食には参加できているものの。気まずい。マジ気まずい。てかこいつのんきに夕食食いやがって!ったくもう!少しは驚きとかねーのかよ!
★★★
「どうも、
なぜか俺は、爆颶蓮雄の知り合いとしてこの学校に転校させられた。転校って言っても俺元々この学校だから。俺が転校したのは体な体。しかも、この名前偽名。
もう最悪だわ。なぜこんな目に……。
ていうか1つ言っていい?
――展開早くね!?
そう思ったらリツイート。とか言っちゃいそうだわ!ツイッターやってないですけど!
「では優凪さん、蓮雄の隣で」
で、よりによってニューヘルと隣。もうヘルと呼ぼう。ニューヘルとか言いにくっ。まぁ隣の席になれたのは好都合かもしれない。
なぜ、兄弟とか親戚とかにしなかったというと、ただたんにヘルが嫌だと言ったからだ。ほんと自由だわ。
バレるのは1番ダメだ。死ぬ。なんとしても俺が蓮雄だと隠さなければならない。むっちゃめんどい。
机に移動すると、ヘルが話しかけてくる。
「学校って面白いな!」
「いやまだ始まったばっかなんですけど……てかいつまでこれ続ける気?」
「わからん」
どうやら長いこと、もしかしたら死ぬまでこれで過ごさなきゃならないかもしれん。最悪。マジ最悪だわ。
――蓮雄とヘルの入れ替わり生活が今始まった。
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