6 おにいちゃん……
★★★
蓮雄達がホリスモ王国を攻略し始めた頃。
そう、これが本当の都茂龍架だ。龍架は『いじめ』により、本性を表にだせないでいるのだ。今までの重い龍架は作り者。まぁいわゆるツンデレキャラ的な感じである。その龍架が今までに初めて心を許せる者ができた。それがこの爆颶蓮雄という男だ。女と体が入れ替わってるので外見は女だが、本当は男。前、過去を覗いたときこの男が地球の者ではないことを知った。だが、そんなことは関係ない。蓮雄は蓮雄なのだから。
ところで、家の前に立ち尽くすこと30分。龍架はようやく決心がつき、インターホンを押す。が、反応はない。残念だが、留守らしい。ま、まぁそんなこともあるよね……。龍架は肩を落として家を背に向けた。すると、そこに意外な人物が立っていた。その男は、
「
「やぁこんにちわ」
優しい声音で喋る男。
「いきなり先輩つけてくれないとは……とてもイケナイ子だね」
意味がわからない。なぜこの先輩がこんなところにいるのだろうか。爆颶蓮雄になんかようがあるのだろうか……。
「おやおや無反応かい?ごめんね、初めて会ったばっかりだもんね」
「……なぜここに?」
「いや、この前ヘルちゃんに迷惑かけちゃったからね。お詫びにって思って」
迷惑?何かしたのだろうか。何も聞いていないが……。
「そうですか……今留守みたいですよ」
「そうみたいだね。ずっと30分ぐらい考えていたのにね」
「!?」
この先輩見てたの!?ちょマジすか!?……超恥ずかしいんですけど……むちゃくちゃ恥ずい……。
「ハハハッ……その顔可愛いね」
……死ねバーカ。そういうのいいんだよ。気持ちわりーんだよ。
「おや?逆に機嫌損ねちゃったかな。ごめんごめん」
「……では私はこれで」
特にこの先輩とは関わりないので、その場を立ち去ろうとする。が、
「都茂龍架」
急に名前で呼ばれて立ち止まる。
「君は何か知っているんじゃないか?」
「な……に……?」
「例えば……爆颶蓮雄とニューヘル・ゴルンは入れ替わってる……とか」
「な……!あなた何も――」
振り返ると目先には剣先が迫りよっていた。剣の持ち主は智哉先輩だ。
「動くと危ないよ?」
「あなたは……一体……」
この男、何者なのだろうか。確実的に地球の者ではない……。
すると、智哉先輩は、
「神の僕……さ」
その言葉と同時に後ろの空中に船が現る。一気に風が吹き、智哉先輩の服が靡く。
最後に智哉先輩はこう言った。
「ようこそ〈異賊暴〉第1使徒〈神炎〉へ」
★★★
この子……なんなの……?
今、俺にある女の子が抱きついている。後ろから。だが、背が小さいので兄弟の妹が兄に抱きついているようにしか見えない。
え?なぜこんな状況かって?そんなん俺が聞きてーよ。なんか急に「お兄ちゃん!」って言って抱きついてきたんだから。しかも力強くて剥がそうにも剥がせない。手切ったろうかな。
ヘルと地獄の破壊神さんはこれ見て笑ってるし。おいマジ殺したろうかゴルァ。何が面白いんだよ。
ねーこの状況どうすんの?ホモに囲まれて謎の女の子に抱きつかれるとか。はぁ……
「ねー君。放してくれないかな」
「んーやだっ!」
なんだこの子。なんか俺したか?
「じゃあなんではなしてくれないのかな?」
「だってそうしないとおにいちゃんほられちゃうもん!」
「ほられねーわ!てか小学校低学年でそんなの覚えちゃダメだろっ!」
無理矢理剥がそうとする。ナニコレ力強ーい。
「だってそうしないと、おねえちゃん……じゃなかった、おにいちゃん――」
「おい今なんでおねえちゃんって言った!?なんでだ!?なんでだ!?」
「うるさいっ!これいじょうしゃべるとせなかのほねぐちょぐちょにしちゃうぞ!」
「ギヤァァァぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
強い!強いって!ヤバイヤバイ!死ぬ!死ぬって!骨砕けるってぇぇぇぇ!
「わ、悪かった!わかったから!わかったからはなしてくれ!」
「ふん、いぬが……」
「てめぇーのペットじゃねーよ!」
緩まったがまだ抱きついたままだ。俺はロリコンの趣味はねーよ。ロリには興味ねぇ!
「し、質問を変えよう……なんで君は俺に抱きついているのかな?」
「さっきとおなじしつもんじゃん……」
「うるせぇ!」
確かにそうだけれども!言葉変えただけですけれども!
「……だから、おにいちゃんがしんぱいだってさっきからいってるでしょ!」
「微塵も言ってねぇ!?」
「うるさいっ!……おにいちゃんは、わたしのおにいちゃんだもん!ほかのひとにはわたさないもん!」
「なんだこの子ォォォォォォォォォ!?」
なんだこの兄に対する愛着は!?近親相姦なのか!?そうなのか!?……ごめんなさい今の撤回します。忘れてください。訴えないでください。やらないでください!
あ、やべ……オナラでそう。え?ちょ待って!我慢しろ俺!尻にはこの子の顔があるぞ!今屁をこいたら殺される!くそっ!我慢だ俺!
「あのーちょっとほんとに離れてくれません?」
「ブハ!ブハ!ブハハハハハハハハハハ!貴様こんなチビに負けてやがるー!」
「何に負けてんだ!?てかてめぇーは黙っとけ!」
「ブハ!ブハ!ブハハハハハハハハハハ!蓮雄殿がチョース!してるー!」
「意味がわかんねーよ!クソ情報屋は黙っとけ!」
「ブハ!ブハ!ブハハハハハハハハハハ!おにいちゃんほられてるー!」
「掘られてねーよ!てかてめぇーはいい加減離れやがれ!」
あー!もう!なんだよ!俺の周りのやつらの脳内を見てみたいわ!てか早くどいてくれ!もう屁がでちまう!主人公なのに小学生低学年の顔に屁をぶちかましてしまう!こんなのダメだ!主人公としてあるまじきことをしてしまうっ!
「蓮雄〜貴様ロリコンだったのか〜」
「違うわ!」
「出しちゃいなよ〜その子の顔にぶちかましちゃいなよ〜」
「な……!」
こいつ……気づいてやがる!?まさか俺が屁を我慢してるのがバレてるだと!?それをこの子に出せと……?何言ってんのこの人。主人公がそんなことしていいと思ってんのか!てか主人公ってなんだよ!?何の主人公!?俺厨二病!?……どうする俺……出すのか?出さないのか?……出したら逃げるよな。うん、出そう。
「ヘルありがとう。俺は……出すぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「貴様正気か!?」
「ブッッッッッッ!」
【……】
え?何この空気。何その目。なんですか?何か僕おかしなことしましたか?……いやしましたね!?え!?何!?したらだめ!?なの!?ていうかさっさと離れろこのクソ女――。
「キヒ、キヒ、キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
女の子が不気味に笑う。
「蓮雄殿の屁に『キヒ菌』が!」
「なんだよその菌は!?」
「キモイとヒドイが混ざりあったった菌です」
「意味わかんねし!?」
てかマジ離れろ!このクソやろう!
「おにいちゅわん……ヒック……もっと……もっとへをもってこいやゴルア……ヒック……」
【なんだこの子ォォォォォォォォォォォ!?】
見事に俺とヘルの声が重なる。
「貴様の屁に何が入ったらこうなるんだ!?」
「俺が聞きてぇーわゴルァ!」
「まさか『屁ガコール』が入っていたのか!?」
「なんでアルコールみたいに言ってんだよ!」
「それを吸うと異常に屁に執着し、酔っ払ってしまう!」
「なんでだ!?」
「ヒック……オナラヒック……」
「まさか『オナラ』が入っていたのか!?」
「あぁそうだよ!俺が出したのはオナラだからな!?」
「違う。オナラが、鳴っちゃう、ラララララ」
「アメンボ赤いなあいうえお、みたいに言ってんじゃねーよ!」
「違う!俳句みたいに言ってるのよ!?」
「何逆ギレして口調変わってんだゴルァ!言っとくけど姿まだ男だかんな!?」
「ブブブッ!オナラブー……ヒック……」
「もういい加減黙って離れてくれませんかね!?」
「うるせぇなゴルァ!……わたしはまだしょうがくせいなんだよ……ヒック……」
「おいもう1発だすぞ――グワッ!」
「あははー!ひっかかったひっかかったー!」
女の子が離れてワイワイやっている。あのクソォォォ!カンチョウしやがってぇぇぇぇぇぇ!ゆるさねぇぇぇぇぇ!
「でもほられるよりはマシでしょ?おにいちゃん?」
「う……」
だがなぜだろう。この子を見てるとなんかモヤモヤしてくる。
――あれ?俺ロリコンに目覚めたんじゃね?
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