16 調子に乗ってふざけすぎました。すみません

★★★

『ったくふざけやがって』騒動から2日。蓮雄とヘルは学校を休んでいた。蓮雄は体がボロボロなため休養しているが、ヘルはピンピンしている。だってゲーセンで遊んでたんだもんな!さすがにヘル1人は心配なので、ヘルも休みにしてある。先生には『爆颶蓮雄が体調不良で優凪ヘルが死亡(精神的に)』で言ってある。……おい俺だけなんで死亡(精神的に)になってんだよ!よく先生もOKしたな!?

あとで聞いたことなのだが、都茂龍架も休んでいたらしい。

そしてニコラス王国のことなのだが、住民が誰も残っておらず異世界No.9ニコラス王国を消す、らしい。これは異世界No.3ニルバナ王国で決めたらしく、俺も反論はなかった。だが、ニコラス王国魔王リヴェルトンがどこかへ消えたため、それも追いかけているらしい。ニコラス王国ん消すのは魔王リヴェルトンが捕まってからになる、とのことだそうだ。しばらく異世界No.9ニコラス王国は入界にゅうかい禁止になった。ゴーストの生き残りが数十体いたらしいが、そのゴースト達は異世界No.4に送られることになっている。異世界No.4は何か?と聞いてもヘルは答えてくれなかった。別に深く知りたいわけではないし、何せよ他の異世界とかどうでもいいから。

俺らが学校に行き始めたのは『ったくふざけやがって』騒動から3日経ってからだった。ちょうど龍架も来た日だった。

朝来て早々魔李ちゃんに「精神的に大丈夫っ?」とニコニコで聞かれた。うん可愛い。キャラ元に戻ってる!やっぱゴーストの仕業か……殺すぞゴルァ!ってもういないか(笑)俺は「うん大丈夫ー!」と答えた。もうヘルの声にも慣れてきた。

先生には何も言われなかった。少しぐらい心配しろよゴルァ!

と、お久しぶりの神喜俊将が近づいてきた。

「ヘルちゃん俺と付き合ってくれ」

と教室で言い出す。こいつほんと死ねばいいのに。

「ご、ごめんねぇーそういう冗談は言わない方がいいと思うよ?他の人達に勘違いされやすいし……」

「俺は本気だ。俺と付き――」

「ごめんなさい」

「俺と付き――」

「ごめんなさい」

「俺と――」

「ごめんなさい!」

「お――」

「ご・め・ん・な・さ・い」

「ぉ――」

「いい加減あきらめろよ!」

慌てて口を押さえる。そして「テヘペロ♡」とやる。こうしときゃー大丈夫。

てか俊将って馬鹿なの?アホなの?アホだね!いい加減諦めろや。何回断ってると思ってんだよ。てか俺は男と付き合うわけねーだろ!って、俊将に言っても意味無いか……。

俺は空気が最悪だったので、逃げるように教室を出た。それを追いかけてくる俊将。え?ちょ。

俺は全速で校内を逃げる。それを全速で追いかける俊将。いや待てててててててて!ストーカーじゃん!あいつ完璧ストーカーじゃん!俺の親友(仮)がストーカーだなんてぇぇぇぇ!誰かぁぁぁぁぁぁぁぁ!助けてぇぇぇ!という心の叫び声は誰にも聞こえるわけがなかった。

チャイムが鳴るとさすがの俊将も追いかけるの諦め、教室に戻った。いや、最初から諦めろよ。

1時間目の休み時間。

2時間目が先生がいなく自習時間。それもあってなのか、俺とヘルと龍架は屋上に来ていた。鍵はかけてある。ついでにあのストーカーは串刺しにしてきたから来ることはない。集まったのは他でもない、龍架のことだ。

「っで、私はいつ殺されるのでしょうか?」

「殺される?なんで?」

「私はリヴェルトン魔王と手を結んで、この世界をぶっ壊そうとしていたのですよ?」

誰に対しても敬語の龍架の顔は笑ってなどいなかった。

「あぁ確かに?」

「それで、私の見たところではヘルさんの世界は、他の世界を救うこと、らしいじゃありませんか」

「ほう?よくそこまで」

「私は陰陽師の子孫です」

龍架の他人の素性をみる能力は、俺もびっくりさせられた。だって記憶まで戻しちゃうんだもん。

「……それで?」

「それに歯向かったのですよ?反逆者、は殺されるべきでは?」

「そうだ、貴様は殺されなければならない」

「それはいつでしょうか?」

「今、すぐ!……と言いたいところだが、その命令はくだらなかった」

「え――?」

そう。命令をくだすのはヘルではなく、この世界と同じく『裁判所』でくだされる。くだす者の意見を聞いたりして決めるわけではない。数々の周りの情報に基づいてくだされる。つまり、周りに左右されやすいのだ。

そんな龍架が殺されずに済んだのは、

「このアホが頭下げて頼みに行ったんだよ……どうか都茂龍架を殺さないでください、ってな」

そう、蓮雄があの後殺されると聞いてすぐさま『裁判所』へ行ったのだ。そしてそこの裁判長に土下座してお願いしてきた。あの、蓮雄がだ。5時間、ずっと土下座していた。それから12時間後、また『裁判所』へ行き4時間頭を下げ続けた結果、なんとか殺されずには済んだ。

龍架の目が見開き、目線が蓮雄へうつる。蓮雄は背中を向けていた。

「そ、そんなの嘘に決まってるじゃないですか!こんな、こんな私の為に誰かが動くことなんて、ありえるはずがないのです!」

「それがあるんだよ。このアホは貴様の為に動いたんだ」

「そんなわけ――」

「言ったろ?俺は必ずその『闇』から解き放って『光』を取り戻す、と。だから俺は言ったことを守っただけさ」

「う、うるさい!そんなのもう遅いんです!」

「遅くなんかねぇ!――てめぇはもう俺が救ったんだからよ」

蓮雄は龍架に顔だけ見せてニコリと笑った。

龍架の目に涙が溢れる。え?こんなで女子って泣くの?え?何も感動しなくね?

「お前にはもう、俺らがいるだろ。黙って俺について来い」

グサリ。

「ちょっとヘルさん(カタコトで)?何をしてらっしゃるのかな(カタコトで)?」

「あん?貴様の言った通り、突いただけだが?」

「いやつくってそっちの突くじゃねーよ!」

蓮雄に剣がぶっ刺さっていた。

「あん?なめてんのか貴様!」

「なめてんのはてめぇーだろ!」

そんな2人が喧嘩してるのを見て、龍架は涙目で笑った。

龍架のその笑顔はとても可愛らしいものだった。

――私もこのバカどもの仲間ですか。

龍架は心の中でそうつぶやいた。


★★★

そんな感動がラストシーンになるわけはなく。いやなれよ!ここで終わりでいいだろ!(うるせーな蓮雄も。少しは黙っとけ)。おいてめぇ!(なんだとあん?)。いえ、なんでもねぇっす。

1人で喋っている蓮雄は放課後、3人揃って先生に呼び出された。うん、休んだ件ですよね。

尾澤先生はいつものようにパソコンをいじっている。

「あのー?何かしゃべってくれません?」

呼び出されてからもう30分何も喋っていない。パソコンのカチカチ音が聞こえるだけ。

「あぁごめん忘れてた」

「……っで、休んだ件ですか?」

「いや、それよりもこれを見て欲しい」

そう言ってパソコンの画面をこちらに向ける。何やら動画だった。

その動画はあの大量殺人デパートにゴーストが襲ってきた時の動画だった。動画、というか監視カメラの映像。俺がゴースト達を剣で殺している映像、龍架と俺が対決している映像、ヘルが天井から落ちて死体を踏む映像、が順番に流れた。

「実はな、先日警察がきて、これを私と校長に見せに来た。そして君達に会いたい、と言われたのだが、あいにく君達は血跡けっせき

おいなんか変な怖い漢字とルビが見えた気がするのだが。

「また来る、と言って警察は帰っていった。多分、明日ぐらいには来るだろう」

おいまさか俺ら逮捕……!?

「だから、その前に君達にこれの話を聞きたいのだが……説明してくれるか?」

俺らに拒否権はなく、答えた。

次の日、警察が洗いざらい聞いていった。正直に答えるのにもいかず俺らは、『あの映像は合成で、テロリストの仕業。僕達は何も知らない、被害者である』と答えた。警察は案外納得してくれた。

警察の話によると、通報を受けてデパートに行ったらデパートはボロボロだったが、血痕や死体などの犠牲者の確認はなかったという。つまり、ただたんにデパートが荒らされただけ、と警察は判断した。それにこの嘘は通用するものだった。とてもありがたい。だが、1つ疑問が残る。――血痕や死体はどこへ消えた?そして、誰が消した?

そのデパートにいたゴーストは全員俺が殺したはず。生き残りなどいるはずがない。では、誰がやったのだろうか?ヘルに聞いても「知らん」、龍架に聞いても「知りません」の一点張り。つまり、ニコラス王国の者やニルバナ王国の者ではないということになる。他の者がやった、そう考えるしかない。

俺らはニルバナ王国の者に調査を依頼した。その洞窟の帰り道。あることを思い出す。

「あ、ヘル。胸揉んでいい?」

ドゴン!

即死でした。

爆颶蓮雄高校2年生男子。○月○日胸を揉もうとしたところ、アッパーされて天井に激突。即死。

そんなニュース嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!

自力で天井から抜け出す。

「おい貴様……揉んだらどうなるか……わかってるなぁ?」

「は、はいぃぃぃぃ!」

とヘルの笑顔がとてつもなく怖い。助けて。

ヘルは歩き出す。それに続き蓮雄も歩き出す。

いや〜で〜も〜俺は嘘をつかない、言ったことはやる、という設定だからさ〜やらなきゃだめなんだよね〜。揉まないとなぁ〜!

自分の胸に手が伸びる。手先が震える。おいどこのエロ漫画だ、というツッコミをいつもならしているが、そんな暇はない。今は揉むことに必死なんだ。

そして、手が胸に触れるその瞬間。がっしりと胸を鷲掴みにされ、そのまま地面に叩きつけられる。

「おい貴様……」

ヘルの手がもう片方を鷲掴みにする。痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!力強すぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

「そんなに揉んでほしいなら揉んでやるよ……!」

目が完全な男になっていた。

そしてヘルが手を思いっきり動かし始める。

ちょ待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ひぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!む、胸がぁぁぁぁぁあ!ちぎれるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


★★★

地獄だった。で、でも……ウフ……揉まれるのも……イヒヒ……気持ち――とかいうどうでもいいことは置いといて。

今は5月。風が丁度気持ちいい時期だ。というのも、本音。というかほんとに気持ちいいから!なめんなよ春の風!

今、授業で語句調べをしている。各自でやらされていて、ほとんどがネットで調べて書いている。基本的に携帯を授業中に使うのは禁止で、見つかると没収される。とか言ってもほとんどバレはしない。

今、目の前には『シリアス』『ネガティブ』『ポジティブ』『ブログ』と並んでいる。いや、せめて漢字にしろよ。ていうか誰でも知ってるよな!?

とは言っても、俺は心配なので調べる。

『シリアス』検索、っと。ズラぁぁぁ!とでてきて、1番上をクリックする。当たり前だがウッキーだ。

1★きわめてまじめなさま★本格的なさま★事態などの深刻なさま等の意味。

ほうほう。なんか見たことあるような。

2★真剣なという意味

うん上と同じだね。

2.5★てめぇーは真剣じゃねーと思うがな!

うるせぇぇぇぇぇ!なんだこれ!?どっかでやっぱ見たよ!?

3★俺は……試験に受かるんだ!

頑張れぇぇぇ!

4★俺は……また救えなかった……

誰を!?

4.5★布団を……

それオネショな!?てめぇが救えなくしたんだよ!?

5★俺は……あいつみたいになりたいんだ!

さっきからシリアス風にセリフ書いてるけど、全然シリアスに感じないからな!?

6★俺は……父さんみたいになりたいんだ!

おう!なれよ!父さんを目指せぇぇぇ!

7★俺は……パンツになりたいんだ!

勝手になっとけよ!下ネタぶち込ましてくんな!

8★俺は……パンツになりたいんだ!

2回も言わなくていいわ!

9★もうシリアスとかどうでもいいわ

じゃあ書くなし!

10★やっぱオッパイの方がいいわ

この腐れ変態野郎が!黙れ!

10.5★オッパイについてはこちらをクリック!

誰がクリックするかボケぇぇぇぇぇぇぇ!

と、編集者欄を見る。

編集者、高橋創将と書いてあった。またてめぇかよぉぉぉぉぉぉぉ!

ウッキーではなく、ハッシーだった。うぜぇ。もうこいつの見ねぇからな。

と、プリントの『シリアス』欄に真面目なさま、本格的なさま、事態などの深刻なさまの意味。と書いて、次を検索する。『ネガティブ 意味』と。ズラぁぁぁ!とでてくる。上から2番目をクリックする。1番上はどうせハッシーだろ。

1★マイナス思考

だよね。

2★消極的、後ろ向きという意味

だよね。やった、これハッシーじゃないわ。

3★もうそろそろ止めたほうがいいと思うよ……

あぁ確かに……?

4★もう俺はダメなんだ……

あぁネガティブな人ってそう言うよね。

5★もう死ぬんだ……

いや、死なないから。

〜ネガティブ日記〜

おいなんか始まったんですけどー!?

★1日目★

石につまずいた。誰かのいじめだ。(いやネガティブすぎんだろぉぉぉぉ!?

★2日目★

自殺した。(展開早ぁぁぁぁぁぁ!おいまさか石につまずいたぐらいで自殺したのかこいつ!?というかなんで!?

★3日目★

天国へ来たのはいいのだが、誰もいない。誰かのいじめだ。(いやだから違うって!

★4日目★

天国で自殺したら、地上に帰ってきた。(なんで!?チート!?チートなのこいつ!?

★5日目★

どうでもいいけど睡眠薬飲みたい。(誰か止めてぇぇぇ!こいつ自殺する気だぁぁぁぁ!

★6日目★

………。(いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!

★7日目★

そして現在これ編集してます。(1日で何があったぁぁぁぁぁ!?

てかてめぇの日記かよぉぉぉぉぉぉぉ!

編集者、高橋創将。ハッシーかぁぁぁぁぁぁい!

もういい!ほんといい加減にしてくれ!もう調べない!もう調べん!

と、横からつんつんとヘルがつついてきた。

「おい、『異世界 ハッシー』て調べてみろ」

はぁ?と思いつつ、『異世界 ハッシー』と調べてみる。するとスマホの画面が光り、そのまま蓮雄を覆いつくした。

パッ!と目を開けると、そこは自分の部屋だった。

「あ?起きたお兄ちゃん!」

と元気のいい萌愛の声が。

「あれ?俺……」

「何も心配しなくていいよっ!」

そういった瞬間、萌愛の拳が目の前に迫ってきた。

うわっ!となると、そこは屋上だった。

「起きたかゴルァ」

と、ヘルの声が。

うまく状況が読み込めない。

「え?お、俺は……」

「夢を見せられていたんだよ。龍架にな」

と、前を見ると龍架が呪符を持ってこちらを睨んでいた。

「ゆ、夢を見させられていた……?」

「あぁ。どこからかな、貴様がなんかカッコぶったところらへんからかな」

「え?じゃあ龍架が仲間になったのも?」

「なんだそれ。そんなことあるわけないだろ」

「な……!」

つまり、今までの行は無駄ですね、はい。

「なんで俺はこんな目に……」

「後ろ向いてたからだバーカ」

ん?え?

「もういい。蓮雄、帰るぞ」

俺は何もかもがわからないまま、引っ張られて家に帰った。帰るといつもの馬鹿親が。

ピンポーン、爆颶蓮雄と優凪ヘルが★★★して帰ってきました!

ドゴン!全力でぶっ壊す。

「なんで壊すんだよぉぉぉ――ブホッ!」

全力でぶっ飛ばす。

ペッ!とやると、リビングに入る。その瞬間、パンパンパンパン!とクラッカーが鳴る。そして、


【ドッキリ大成功!】


ビキビキ……ビキビキ……。

ウェーイ!とみんなが盛り上がる。みんなと言っても、元からいた家族とヘル、そしてあとから入ってきた龍架だけだ。

「引っかかったな。ふん」

「おい……」

「眠らされてたとか嘘だからー!」

「おい……」

「ちゃんと龍架は仲間になって――」

「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!」

その後、蓮雄はズタズタになってベッドで寝ていた。ちょっともう待って。いい加減ふざけすぎ。話の内容まったくわかんないんですけど。いい加減にしないとほんとに読者減んぞコノヤロー!

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