第24話 A子を助けたい…

私は、仕事には慣れてきたけど…

来月にある監査の書類のことで追われていた。

やらなきゃいけないと思いながら…

まだ手を付けてない書類が沢山あった…

それをやらなければいけないのだけど…


私は、1回目の人生で後悔していることがあった。

これから…

私の人生の中で一番かもしれない…

衝撃な出来事が起こる…


出来事を変えない方がいいに決まっている…

それは、分かっているのだけど…

何とかならないかと考えた…


これまでの事を考えると…

出来事を変えてしまう行動を取ったら…

その出来事は、1日早くなってしまう。

それは…困る。

それは…私の泊りの時に起こる…

でも、その行動は当日じゃないと出来ない…

事前に行動を起こしたとして…

1日早くなれば…

それは私の泊りの時ではない…

他の誰かに私の受けたことを負わせるわけにはいかない…


その出来事は…

みんなが運動指導に行っていた間に起こった…

もし、早くなってしまえば…

他の子ども達に影響が出ることになってしまうかも…

それは阻止したい…

どうすれば…A子を助けられるのか…

色々な影響の恐れを考えたら…

私には、どうすることも出来ないという結論になってしまう…


これまで、人の気持ちを変えるのは難しいと悟った。

いくら考えても…

後の影響のことを考えたら…

私には、どうすることも出来ない…


このまま…何もせずに耐えるしかないのか…


事前にA子のことを気に掛けるだけでも

影響が出るのかな…

それは困る。

どうしたらいいんだろう…

考えても…考えても…

何もしないで耐えることしか考えられなかった…


そう考えながら月日は流れてしまった…


ある日、私は泊りの勤務に向かった。

そして引継ぎで、A子と怖い先輩とのトラブルがあって

2人を呼んで話をして和解したと引継ぎを受けた。

A子の様子を聞いたが、理解した感じだったと…


それから、昼になり食堂に行きご飯を食べた。

その時に、A子が元気がないって感じたのに…

私は、これからやらなければいけない書類の山を

今日中になんとかしなければと…

そのことばかり考えていた。

だから、せめて声を掛けたかった…

でも…それをして出来事が早まったら?

そう思うと、どうしても声が掛けられなかった。


「パスタ沢山あるから、お代わりしても良いからね」

「はい…」

「でも、今日のパスタあんまり美味しくないね?」

「そうですね…」


とA子は苦笑いした…


ホームに戻ってから、私は洗濯したカーテン付けをするように

引継ぎで言われていたから…

そのカーテンを、ホームの子に手伝って貰ってやっていた。


その時…上司の人が、みんなに集合を掛けていた。

私は行かなくていいかってカーテンをひたすら

全部の窓に付けて…

それが終わったら、ゲームを渡したり…

その合間に書類をやって…


すると…

ある子が「A子が部屋にいないんだけど、勝手に部屋に入れないから先生見て来て」

と言われ…見に行った。

でもA子は部屋にいなかった…

その子が、そばにいたから「A子いないね…どこに行ったんだろう?」

と二人で話した…


それから、みんな運動指導に来るように放送が掛かった。

私は、みんな行っただろうと思って…

書類を作ろうとしていた。


でも…

私は、どうすることも出来ないのか…

苦しかった…

何とかしたい…

そう思ってA子の部屋に行ってみた…


A子の部屋に入ろうとしたら…扉が重い…

え!?もしかしてもう…


本来なら、もっと後の時間に運動指導の職員から

「A子が来ていないんですけど」

と電話が入って…

部屋を見に行って…

倒れているA子を…私が発見するはずだった…


やっぱり、早くなっていた…

間に合わなかった…

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