第29話 長男の生活
長男の生活は一変した…
治療は、1年くらい掛かるかもしれないと説明を受けた。
これからお嫁さんは病院で付きっ切りになる…
上の孫は、幼稚園…
誰が面倒見るのか…
仕事はどうするのか…
考えなければいけない事は、いっぱいだった。
長男は夜勤のある仕事をしている。
夜勤は無理でも、日勤だけでも出れないかと考えた。
でも上の孫を見る人がいない。
兄嫁が週3回なら面倒を見れると言ってくれたらしい。
それで、長男は私に週2回見れないかと言って来た。
でも、私の仕事はシフト制でおまけに曜日固定で休むことは出来ない。
泊りもあるし…
それは難しいと言うしかなかった。
役所にも相談に行った。
幼稚園の送り迎えと、帰ってから長男が帰るまで
面倒を見てくれるボランティアの人はいないかと聞いてみたけど…
すぐの事にはならないと…
色々調べたけど…他にもあてもなく…
児童養護施設の一時預かりもあるけど…
預けっぱなしになってしまう…
長男は、それをしたくないようで…
結局…
幼稚園から保育園に変えることにした。
次は近所の空いている保育園を探したが…
これまた、すぐの事にはならない。
翌月の申し込み期限までに、申し込み書類を揃えて
提出してから決定まで待ち…
決まれば翌々月から、やっと入園となる。
長男は、とりあえず有給で休んでいたが…
会社にも相談をした。
1年まで休職出来る制度はあるけど、その間は無給となる。
だから、介護休暇を取ることになった。
ハローワークにも行って、給付金の相談もした。
とりあえず困るのは生活費だ…
あの人が…
入院が済むまで援助してあげようと言ってくれた。
私が家に入れているお金と貯金から、毎月援助をすることにした。
その間、お嫁さんと長男で交代で付き添った。
コロナの関係で、付き添いは1人と決められていた…
面会も出来ない…
孫の様子は写真のみ…
2歳の孫は、髪の毛もなくなって…
痩せていて…
お嫁さんも疲弊して…
見ていられなかった…
その間に…施設の子ども達は受験をして…
今年の受験生は4人…
私は、またお守りを渡した…
志望校に行けなかった子もいたけど…
全員合格して…2人ホームを出た。
1人は、すごく頭が良くて、しっかりしている子。両親は2人とも自死で亡くなっている。
そしてもう1人はお父さんが自死で亡くなったC子だ…
C子は、手紙をくれた。
―――――まずは2年間本当にありがとうございました。
ホームの中で誰よりも相談しやすくて、相談した時は適当にあしらわず親身になって相談に乗ってくれて、ありがとうございました!すごく助かりました。
私がお母さんやお父さんのことで、いざこざがあって相談しにくかったことでも、いつも最後まで話を聞いて肯定してくれてありがとうございました。お父さんの時には特に助かりました。
そして、どもってばかりで、いつも落ち込んでしまう私を慰めてくれてありがとうございました。
先生には感謝し切れない程、感謝しています。本当にありがとうございました。
施設に来た始めの頃は、暴言が絶えず情緒不安定で頭がクレイジーだった私ですが、どんなに先生に暴言を言おうが泣こうが、いつもなだめて少し落ち着いたら、いつも通り話しかけてくれる先生のおかげで、少しは落ち着いたかなと思います。
みんなが先生の事が一番好きというのも、先生が物分かりが良くて優しいからだと思います。
その優しさは多分ずっと続けると疲れると思うので、時には休んで下さい。
本当に色々なことがあって楽しくて充実した2年間でした―――――
孫の心配もある中で…
この手紙には救われた…
本当は仕事を辞めて、長男の手助けがしたい…
そう思っていたけど…
私の存在が子ども達の役に立つなら…
この時の私は、そう思っていた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます