第28話 1年後…

施設の様子は…

権力のある子が違うホームに行って

ホームの感じが凄く変わった…

A子ちゃんも、あと少しの辛抱だったのに…

と、ふと思った…


それから…目まぐるしく月日は流れ…

A子ちゃんが亡くなってから、もうすぐ1年を迎える時…

私は、A子ちゃんの命日に勤務になってないことにホットしていた…

でも、事情が変わり…シフトが変わった…

そのシフト表を見た時…

涙が止まらなくなった…

私は泊りで…しかも…

あの日に一緒にいた、2人の上司も

一緒の勤務だったからだ…


勤務前なのに…

涙が止まらない…

私は、この気持ちを…感情を…

どうしたらいいのか…分からなかった…


何とか…勤務に入ってから

心理の先生から、たまたま電話があったので相談してみた。


すると、次の勤務に入った時に

またシフトが変わっていて…

上司から配慮が足りなくてごめんなさいと謝られた…

その日の勤務は休みに変更されていた…

心理の先生が、園長の奥さんに掛け合ってくれていた。


私は、心理の先生に

あの時のA子ちゃんの顔が忘れられない…

と相談をしたことがある。

その時に先生は…

「どうせだったら、笑顔のA子ちゃんが出てくるようにしてあげて」

と言われた。


私は、もっともだと思って…

なるべく笑顔のA子を思い出すようにした…

それでも…あの日のA子の顔も…

忘れないのだけど…


それから…

C子のお父さんが亡くなった…

C子は姉妹でホームに来た子…

そして…A子とも仲が良かった子…

よく相談に来てくれた子…


母と父は離婚をしたけど

児相が父と連絡を取って…

父が親権を取る裁判をして…

親権は父になって、名前も変わった。

そして…父とも交流を重ね…

このままいけば、いつか父の元に帰れると思っていた矢先だった…

父は自殺だった。

突然のことで、誰もが驚いた…

急遽、姉妹は葬儀に向かった。


C子が葬儀から戻ってからは

父の話もよく聞いた…

父の遺書らしきものが、父の携帯に残っていたこと…

自殺現場の話や、自殺の方法、写真などを

誰にも見せられないけど…

と言って、見せて来た。

正直、キツかったんだけど…

それでも、その子の気持ちを考えると…

聞いてあげるしかなかった…


そして2月…

突然、長男から電話があった。

「母さん、明日時間ある?」

と聞かれたから

「明日、泊りなんだよ。どうかした?」

「下の子が病院で検査したら、頭に腫瘍みたいな物があるって…」

「明日、転院するんだけど先生から説明があるらしくて」

「上の子を預かって貰えないかな」

私は、明日泊まりだから変わりもいないし…

「ごめん。休めない…何とかなりそう?」

「伯父ちゃんに相談してみる」

そう言って電話を切った。


翌日…

兄嫁に上の子を預けて、説明を受けた長男から連絡があった。

大きく説明すると…脳腫瘍だと…

明日、緊急手術をするらしいと…

下の子は、まだ2歳なのに…


翌日、泊り明けで長男の家に行った。

長男が、病院に行っていて

家にはお嫁さんと上の孫がいた。

9時過ぎから手術が始まったらしい…

私が行ったのは13時…

まだまだ掛かるらしい…

夕方になっても長男からの連絡はなかった。

そして、18時半過ぎてから

ようやく長男からの連絡があって…

手術は成功したと聞いた。


良かった…

でも…これからまだ…

抗がん剤の治療が始まる…


これから、長い入院生活になって…

長男夫婦の大変な生活が始まる…


2回目の人生も、もう54年生きて来た…

私が57歳になるまで、あと3年…

まだ…帰れないのか…

いったい、いつ帰れるんだろう…

それとも…このまま、いつか死んでしまうのかな…

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