第32話 警察からの電話は…

警察署から電話?

私は、あの人に何かあったのかもしれない…

と思いながら電話に出た…


「はい」

「○○警察署です。○○○○さんってご存じですか?」

と後妻さんの名前を言った。

「はい、知ってますが…」

「実は、後妻さんのマンションの方からの連絡で、後妻さんが亡くなっているかもしれないんです。マンションの管理の帳簿にあなたの名前が書いてあったので電話をしました。それでマンションに入りたいのですが…」

驚いたけど…父の3周忌依頼、連絡も取ってないし…


「私は、父が亡くなって以来、付き合いがないんです。確か…息子さんがおられたので息子さんに連絡をした方が良いと思います」

と言った。

「では、息子さんに連絡を取ってみます。また連絡をするかもしれません」

と言われたから

「分かりました」

と言って電話を切った。

―――後妻さん、孤独死したのかも…

本当に、衝撃的だった…

息子さんとも連絡を取ってなかったのかもしれないな…


それから数日後、兄の元に警察から連絡が入り…

後妻さんが亡くなっていたこと、息子さんが兄と話したいと言っていると言われた。

息子さんから、どうしていいか分からないと相談されたらしいが

兄は、マンションの名義も後妻さんに変更したし…

僕らが出来ることは無いんですと、言ったそうだ。


9月に、後妻さんの事を思い出して

ポストを見に行った時は、まだ生きていたのかな…

なんか…急に思いたって見に行った自分のことが怖いかも…

死因とかも、もう分からないけど…

結局…寂しい終わり方だったんだな…

と悲しい気持ちになった…


それから、翌年になって

私も、二男も就職をした。


私が就職した所は、不正ばかりの会社で…

毎日、あの人に愚痴ばかり言っていた。

それがいけなかったのか…

あの人の気持ちも不安定で…

しかも、なかなか就職できなかった二男に対してもイライラしていて…

喧嘩ばかりしていた…


「別れたい。もう一緒にやっていけない。二男と一緒に出ていけばいい」


と言われたこともある…

私も、あまりにひどいことを言われるので

もう…別れるしかないかも?

二男と一緒に家を出ようか…

と思ってしまったこともあった。


1回目の人生でも、そう思っていたけど…

翌朝になると…

あの人の言うことは本心じゃないと思い直して…

自分から謝るようにしていた。

そんな時は、あの人も反省してると言って謝ってくれる。

今回は、これからの事が分かっていたし…

あと少しで…穏やかな日々になることが分かっていたから…

同じように、翌日には仲直りした。


会社も、他の人と私に対する態度が違うって事が続いたり…

理不尽なことで怒られたり…

人間関係もぐちゃぐちゃで…

素人ばかりで作った会社だったから

子どもに対する想いなんて無くて…

どんどん不満が溜まっていった。

不正も、ひどくなっていって…

これ以上ここにいたら、いつか私の資格も剥奪されるかもしれない

と不安に思い…退職した。


あの人は…

「良かった…もう愚痴を聞かなくて済むよ」

と嫌味を言った。


私は、いったいいつ戻れるんだろう…

私が過去に戻ってしまってから

随分経った…

次から次へと悪いことが起きて…

なかなか落ち着かない…

でも…私の記憶では、これから悪いことは起こってないはず…

私は来年、57歳になってしまう…

このまま…時が過ぎていくのか…

それとも…

死んでしまうのか…

そんな事を毎日、考えながら過ごした…


そして…

翌年の3月…

B子から

―――卒業したよ。

とラインが来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る