第19話 社会福祉士国家試験

それから…

私はパートを辞めて、家事が済んだら夕方まで勉強するという生活を送った。

国家試験まで、あと1か月…

ひたすら過去問をやった。

社会福祉士の試験は19科目あるので覚えるのも大変だったけど

大学の小テストが、結構役に立った。

今まで、こんなに勉強したことない…というくらい勉強をした。

あの人も、驚くほどに…


そして…試験当日…

日曜日だったから、あの人に試験会場に送って貰った。

試験会場に着くと…

すごい人…

でも若い人が多い…

午前中の試験で、もう心が折れそうだった。

正直、分からない問題も多かった…

昼休憩に、近くの公園に行って昼ごはんを食べて

寛ごうとしたけど…それどころでなない…

公園では、受験していると思われる若い人が楽しそうにしている。

私のことは、どう見えてるのかな…

そう考えながら、早々に試験会場に戻った。

午後からも試験…

試験問題は持って帰って良いので

自分の解答を写して帰った。

なんとか最後まで、解答は書いた。


迎えに来てくれたあの人が

「お疲れ様…疲れたね」

と言ってくれたのだけど…

「疲れた~」

「多分、ダメだと思う…難しかった…」

と言った。


夜になり…

各学校で解答速報がある…

私は、自分の書いて帰った解答と解答速報をチェックした。

試験の満点は150点

その60%程度取れていたら合格基準となる。

その年の問題によって誤差はあるが…

各学校によって解答が割れる問題もある…

その問題は別として…


ん?95点以上ある…

もしかしたら受かってる?

といっても、年によっては合格基準が95点になったこともある。

解答を間違えて書いていたら…

微妙だな…と思いながら…

発表を待つしかない…

発表は、1か月以上先だけど…


その間に、就職先のイベントがあったり…

2月からは、就職前実習が始まったりした…

2月は日勤の実習のみ。

お金もちゃんと出る。

私は、面接で一緒だった子と4回ほど行った。

日勤だと、子ども達と触れ合う時間は、ほとんどない。

朝行くと、もう学校に行ってるし…

夕方、子ども達が帰って来てから子どもと遊べる。

それまでは、掃除や制作物、洗濯物を取り込んで畳む程度だ。

そして…17時には帰る。


そして…3月に入ってからは、泊まりの実習となる。

私は、どうせ4月になったら嫌でも泊りの勤務をするのだから…

と思い、2回しか入れなかった。

男子ホームに1回と女子ホームに1回…

なかなか時間が経たなかった…

泊まり勤務はシンドイ…

実習の人は「お姉さん」と呼ばれる…

でも、お姉さんではないんだけど…と思いながら働いていた。

小学生は、男子も女子も懐いてくれる。

中学生以上は、難しいな…と感じていた。

先輩になる人も年下ばかり…

先輩の話では、どこのホームの担当になるかは

4月1日に発表されるらしい…


そして…

合格発表の日がやってきた。

ネットで合格を見れる…

結果は…合格だった。

97点…合格基準は88点だった。

1回目の人生でも合格だったんだけど…

試験ばかりは、正直…問題を覚えてないし…

その時の実力だから…

落ちたらどうしようかと思ったよ…

良かったー!

過去を変えることにならなくて…

本当に良かった…


そして、大学も最後のレポートの合格を貰い、無事に卒業となった。

卒業式は出れなかったけど…

立派な卒業証書が送られて来た。


これから…

私は、就職する。

1回目の人生は…

希望に満ちていた…


もし…「大変なこと」が済まないと戻れないとしたら…

私は、まだ戻れない…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る