第22話 児童養護施設のルール

子ども達は、朝は6時半に起こされる。

なかなか起きれない子もいるけど…

何回も行って起こすしかない。

そして朝ごはんは、一斉に食堂に行って食べる。

土日祝だけはホームで食べるから、職員が大変…

体調が悪い子は、職員がホームに持って帰って部屋に持って行く。

ご飯は、食べる前に職員に申し出て、ごはんを減らしたり

おかずは欲しい子がいたらあげても良い。

ふりかけは、お代わりの時のみ使用OK。

残ったご飯は、職員が持って帰って欲しい子にあげる。

たいてい、おむすびにしていた。


部屋は3人~4人部屋。

各部屋には、引き戸の扉があるが…上の空間は空いている。

勝手に人の部屋に入ってはいけない。

これは盗難防止でもある。

物の貸し借りも禁止。

はさみ等の危険な物は、職員の部屋で預かる。

大事な物やゲーム、シャンプーも職員が預かっている。

爪切り、耳かき、綿棒等共有の物も職員の部屋にある。

職員の部屋は外からは開けられないようになっている。

だから職員は常に鍵を持っている。

鍵を持って出るのを忘れて、困ったことがあるのは…

職員あるあるだ。


グランドで遊べるのは、平日は15時もしくは学校から帰ってから17時まで。

休日は、10時から11時半と15時から17時。

外出は、小学生は一人では行けない。

通院や散髪も職員が着いて行く。

中学生は、月に1回外出できる。

中学生の通院や散髪は、自分で行ける子は一人で行っても良い。

お小遣いは決まった額が月に1回支給される。

それを管理するのは職員。


月に1回~2回、自分の家に帰省できるが…

みんなが帰れるわけではない…

児相が良いと判断した子だけ…

最初は、親と外出も出来ない子がほとんどだ。

児相が子どもと会って話したり

親の状況を見て判断をする。

最初は外出から始めて…それを繰り返してから

帰省できるようになるけど…

そこから完全に家に帰れる子は、ほんの少しだ…

親からの電話も児相の許可が出ないと出来ない。

出来る子でも週に1回で10分のみ。


男子ホームと女子ホームは分けられていて

間の扉は、22時になったら職員が扉を閉める。

男女交際は禁止。


高校に行かない子は、よその施設に移ることになる。

高校を卒業したら、施設を出て一人暮らしをするか…

会社の寮、もしくはグループホームに入る。


まだまだルールは沢山ある…

よその施設はどうか分からないけど

私のいる施設はすごく厳しかった。


きっと…私が施設に入らなければいけない状況になっていたら

キツくて毎日泣いていたかもしれない…

母が亡くなった時、もう中1だったし…

父は、ちゃんと面倒を見てくれたから…

でも、ここにいる子は、同じ状況になっても

父が養育困難になって…来ている子もいる。


ルールの愚痴を聞いてあげることは出来ても…

変えてあげることは出来ない…

それでも、話を聞いてあげることは出来るから…

仕事の合間に

「先生、話を聞いて」

と言われれば、時間を作って話をしていた。


でも…17人もいたら…

自分から声を掛けられない子のことまで

気が回せないのが、悩みの種だった。

勤務の日は、1人1人に必ず声は掛けるが…

悩みを打ち明けてくれる子は少ない。

それとなく「困ったことはない?」

と話しかけても…

「ない」と言う子がほとんだ…


親が音信不通という子も多い…

手紙を書いても返事もない…

職員が電話をしても電話に出ない…

そんな子も沢山いた…


幼児の頃からいる子は、ここの生活に慣れっこだが…

突然、中学生で来なければいけない子にとっては

苦痛でしかない…


そんな状況の中でも、楽しいこともある。

野球観戦、サッカー観戦、バスケットボール観戦等招待される。

みんなで散歩に行って、無邪気に遊ぶ子ども達を見ていたら…

自分も楽しい気分にいる。

私は、先生と呼ばれるのが嫌だったから

本当はいけないのだけど…あだ名で呼んでいいよと言っていた。

私の事を好きだと言ってくれる子がいると…

本当に嬉しかった…

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