第159話 再会

その水辺に居た人がこちらに気づき、その場から動くことなくこちらに顔を向けて、その人物は顔にピタリとくっつくように水魔法で自分の顔に水を纏った。


ーーーーーーーー


とても見覚えがある光景に一瞬クラっとするも、私が今回も女神様の愛し子だと悟られてはいけないと必死にこらえてその人物の傍まで行く。


近くに行くと湖の側にいた人物が話しかけてきた。


「こんにちは、私はフェリシアと申します」


えっ!?フェリシア?え?見た目全然違うけどこんなだったっけ?え?別人じゃない?


「女神さまの命によりこちらの地に湖を作らせて頂きました」


「「命・・・」」


「どちらがローラ様かは存じ上げませんが、女神さまには一切かかわるなと言われているので、これ以上の接触は致しません。ただこちらの水路がとある場所に繋がってることだけは伝えろと言われたので、私がやってまいりました」


「とある場所・・・」


「どこ?」


「場所は申し上げられません、申し訳ございません。この湖は枯れることは無いので、この地はこれより発展していくことでしょう。私はこれにて失礼いたします」


突然そんなこと言われて、え?何がどうなってるの?命ってまさかあの連絡手段みたいなので伝えられたの?って色々考えたたら


「それと私事ですが、サラ様、私の無知が招いた結果、お許しください」


と目に涙を一杯称えてそうな顔を一瞬して、湖の中に消えて行った。無言で湖を見つめ続けていると、侍女様が肩に手を置いてくれて我に返る。


幼くて子供だったフェリシアは大人になり、いろいろと学んだのだろう。もし今出会っていたら、お互いに良い関係を気づけたかもしれない、あの時はお互いに無知で幼かったし怖いもの知らずだった。


最後は苦しくなかったしとくには恨みに思ってることは無い。でもまた関わりたい種族かと言われるとそれはちょっとね?


「もしかして、先ほどの者は水龍族ですか?」


「うんそう、前回私の事を殺しちゃった子みたい。見た目も変わっちゃってて全然わからなかったよ」


「なるほど、納得致しました。この世界に居る民族のどれにも当てはまらない容貌をしていますね。今後関わらないと申していましたが、もし関わってくることがあったらどうしますか?」


「うーんわかんない、今のフェリシアなら分別もありそうだし大丈夫そうだけど、若い時のままなら遠慮したいかな?」


「ならば後からくる二人にもそのことは共有しておきましょうね」


少し気遣うような感じで接してくる侍女様に申し訳ない気持ちになるも、気にしないでもう過去の事だからと伝えてこの話はいったん終わり、たださ、問題があってさ?緑の地全部湖になってない?


私ここまで湖になんて考えてなかったというか・・・井戸みたいなさ?それかちょっとした湧き水程度のことをイメージしていたんだけど、これは大規模すぎませんか?


「水湧きすぎじゃない?」


と一言申せば


「ですね、かの種族は加減と言う物をご存じでらっしゃらない?」


「うん、たぶん、だからあまり関わらない方がいい・・・また緑の地を作るか」


兄と護衛騎士が付くまでに、種っぽい物を水の中から拾って自分が持っていた種も使って緑の地を広げる作業をする。私が作った緑の地はほぼほぼ水没している。


何がどうなってるかは解らないけど、平らだったはずの土地はへこんで水が溜まってるように見える。泳いでみる?危険な生物は確かいなかったはずだしな?


そう思って、侍女様にどれぐらい深いか見てこようと思うと伝えると侍女様も泳ぐと言うではないか!


あまり深く潜るとだめだよと伝えてから二人で泳ぐことにした。まって!?今この時!!!湖が出来たと言うことは!そういうことであるのでは!?


私はいそいそとビーチチェアを出しておく。それを見た侍女様も私の作ったビーチチェアを横に置いている。荷物はここに置いといて、今なら盗む人も居ないだろうし?


女神さまの緑の地成長付与をしてから植物が育つのには時間がかかるし、私と侍女様はその間湖で遊ぶことにした。


私は頑張って水の中に潜ってどの位深いのか調べることにしたけど、思ったより深くなかったけど、一か所だけ水龍族の土地に繋がってそうな深い場所があったぐらいで、特には何もなく、生物もまだ住んでないようだ。


ここでお魚が釣れるようになったら最高だなーそうなるかなー確かあの湖に生物は居なかった気がするなぁ・・・どうだったかなぁ・・・ちょと覚えてないなぁ・・・


その先の洞窟のような場所に引き込まれるような水流も無く、安心して湖では遊べる感じだなと。


そしてざばーっと湖からあがり、ここからがお楽しみのまったりタイムだ。私は収納靴下からいそいそとドリンクやフルーツを先ほど一緒に出しておいた簡易机の上に置き始める。


それを見た侍女様も察したのだろう、自分が食べたいものを机の上に出していく、そして・・・


私はゴロっとビーチチェアの上に横になり、おもむろに机の上に置いてあるジュースに手を伸ばし、一口ごくりと飲む。


はぁーーーーー最高。


侍女様も私の真似をして、至福な顔をしている。最初このビーチチェアで太陽を浴びたいと言った時には理解できなかったようだけど、今まさに、ビーチチェアの虜になってる侍女様をみてつい


「最高でしょう?こうやって太陽を浴びるって最高の贅沢だと思わない?」


「ですね、説明された時はまったく理解できなかったのですが、体験してみるとわかります、この椅子は作って正解ですね、大正解です!」


ほんの少しの贅沢だと思うけど、このビーチチェア1つだけでこんなにもゆったりとした気分になれるぐらいには、いろいろとあって疲れていたんだなーって。こういう贅沢を少しづつ増やしていきたいね。


流れる雲をただぼーっと見ながら侍女様とくつろいで数時間経ったら、兄と護衛騎士が帰ってきた。湖を見て目をぱちくりしてびっくりしているし、私と侍女様のビーチチェアを見つけて、二人ともすぐ真似してビーチチェアで寝そべっている。


「何してたの?」


の何となく聞いてみれば鈍い返事が返ってくる。ふぅーん?護衛騎士を見ると侍女様と楽しく会話をしていてこちらの会話に入ってこようとしない。


・・・・・・・・・・


「ちゃんと本当のことを話して!隠されてばかりだと信用できなくなる!」


その言葉に反応した兄が、渋々レオンに頼んでドレ国に行って魔物を売ってきたのと、カレーともろこし爆弾を買ってきたと言うじゃない。


まぁ・・・それならしょうがないかな?何も隠すこと無いじゃないの?と言えば、あいつのことは一切情報を耳に入れたくなかったと言うし、気分が悪くならないか不安だったと言う。


それはあるかもしれない


「毎晩夜来てるんだって?」


苦々しい顔をする兄、侍女様も険しい顔をしているし、護衛騎士に至っては表情が抜け落ちている。みんながそれぞれ思う所はあるのだろうけど、ここはひとつ私の意見を言っておこう。


「あのね、レオンと一緒になる事は絶対に無いから。普通に毎晩私の部屋に不法侵入して見に来たりして感動する人居ないから。ますます気持ち悪いと思って絶対私の前には現れないで欲しいと思って居る。


接触してくれてるのを隠してくれてありがとう、でも今日みたいにドレ国に連れて行ってもらうとかそういうのは報告して欲しい。美味くそこは付き合って行けばいいと思う。


けど私の事は別、絶対に無いから。はっきり言ってもらっていいよ、気持ち悪いなおさらないわって言ってたって、勝手にもほどがあるしね、これが分別のない貴族とかなら私拉致監禁されててもおかしくないわけでしょ?ないわーまじでないわー気持ち悪すぎるよ」


と大演説を繰り広げ、どう対処していいから考えていた兄と侍女様と護衛騎士は、私がこうやって宣言したことにより、方針が固まったようで、ほんの少しほっとした顔をしていた。


ただのきもい人じゃない、わかってないよね。寝顔見に来てるって私なら貞操の危機を感じるわ。ないわー


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