第148話 もしかして?

私と侍女様が湖を中心に西の方を散策し、護衛騎士と兄は東側を散策することに。


お昼ごろに湖に集まってみんなでお昼を食べようと約束して別々の方向に進んで行った。


ーーーーーーーー


うっそうとお生い茂る森の中を、小さな獣が通ってできたであろう小道らしきものを侍女様と二人で進んでいく。


侍女様と改めて二人っきりになって話すことと言えば、カカオ一択なんだけど、今回はなぜか侍女様が護衛騎士のことを話て来た。


満足していないわけでは無いけど、なんとなく腹立つことが増えてきたと、いつもと同じことなのに、時々無性にイラっとすることが増えてきた、そして無性に不安になってくることや、本来であればこのようなことを話すタイプでもないのに、なぜか私には話してしまうと。


それはあれじゃないですか?


「ねぇ?この頃今まで好きだった匂いがきつく感じることない?」


「そうですねぇ、たまにウッっと来るときがありますね」


まぁ、間違いないんじゃないかなぁ?匂いに敏感になって、気分の浮き沈みがある。本当に気づいていないのだろうか?ただの偶然なのか?思い切って聞いてみようかどうするか・・・


「ねぇ?もしかしてだけど、赤ちゃんいる可能性ない?」


「どこに赤ちゃんいますか?」


「いや・・・あの・・・・・侍女様のお腹の中に?」


思わず疑問形で行ってしまったけど、まさかこの森の中に居るわけないじゃないの!侍女様の発想がびっくりしたわ。


侍女様が一瞬固まり、え?って顔をしてお腹のあたりを手で触りながら、だんだんと目を凝視してお腹を見ている。


何がそんなにびっくりするのかよくわからないのだけど?逆に私がびっくりしますけど?


じわじわとだんだん嬉しそうな顔をしたり、疑問に思う顔をしたり、侍女様の顔がとても忙しく変化していく。


喜ぶかと思ったけど、喜びの向こう側にとても不安そうな影が目の奥に見えている。


「大丈夫?」


と声をかければ


「はい・・・ちょっと不思議で・・・」


と言ってくる。何が不思議なのかと聞いていいのか、侍女様の過去を考えればおおよその察しはつくけども、いつか話してくれることを期待して今は侍女様の側に寄り添うことに。


木の木陰に一緒に座りながら、おやつを食べながらお互いしゃべることなく無言で過ごしている。


森の中から聞こえる鳥の鳴き声、木々や草のささやき、虫の音、生物すべてが奏でる音を聞きながら、座っていると私は眠たくなってきた。


今はとても良いシーンだと思うんだけど、所詮私なんてそんなものだ。


「今度街に行ったときに病院に行こうと思います、一緒に行っていただいてもいいですか?


「ん?護衛騎士ではなくて私と行くの?」


「そうです・・・ちゃんとわかってから伝えたいと・・・」


「いいよ一緒に行こうね、もしおなかに赤ちゃんが居たら、ストレスが一番よくないから、私に話せることは何でも話してね、あとしばらくカカオは禁止ね!」


「なんでですか!?」


「前世では大量に接収すると赤ちゃんに良くないと言われていたよ、この世界ではまだそおゆう話や研究などは聞いたことが無いけど、そもそもヴェルト国にはカカオそのものが無かったからね?ほんの少しなら3日に1回ぐらい摂取しても大丈夫だと思う。けど毎日は絶対やめておいた方がいいよ。ここは私を信じて!前世でもサラの時も子供は産んだことは無いけど!なんだったらドリーさんにも聞いてみて同じこと言うと思うよ?」


「そうなんですね・・・」


少し不安そうな顔をしているけど、もうすでに母親の顔になってる気がする。母は強しと言うけども、侍女様ならきっと素晴らしい母親になるだろう、あまり厳しく暗部の事とか教えたらだめだよと思うけど。


「今日はこのままのんびりして、湖の方に戻ろうか?」


「そうですね・・・ここで強い魔物が現れても、今は心が乱れてしまって居るので対処できるかどうか」


「大丈夫だよ!光魔法で見えなくはしているから、よほど運が悪くなければ出会わないと思う」


だといいんですけど・・・ってすっごい不安そうな顔をしながらこちらを見てくるじゃないの?侍女様らしくないなと思うと同時に、母として守りたいものが出てきたら強くもなるし弱くもなるのだろ。


それにお腹に一人の子供を宿すと言うことは、普通じゃない。みんなこうして生まれてきてるから当たり前と思って居るかもしれないけど、当たり前じゃないんだよ。


きっと侍女様は多くの命を見てきて、思う所があってあれだけ表情が変わっていたのかな?私が王宮で監禁されていた時に侍女として働いてくれていた時のように、とても無表情になってしまっている。


思わず眉間に指をあててむにむにとほぐしてしまい、侍女様もハッっとした顔をしている。


「良いことを考えると胎教にいいんだよ、不安なことがあっても無理やり笑顔でいると脳が勘違いして幸せの分泌物を出してくれるんだよ」


「いってることが全く分からないのですが、それは前世の知識ですか?」


「そうだよー前世のことわざにね、笑う門には福来るって言葉があるの、どんなに辛くても笑顔で居ればいいことが向こうからやってくるよって意味なんだ。そうやってね笑顔でいると、運が味方をしてくれるって言われてたよ」


「運が味方・・・」


「そうだよ、侍女様はもう駄目だって思うことあった?死んじゃうかも?ってことあった?」


「何度もあります・・・」


「不思議なことに助かったってことは?」


「それも数回あります・・・」


「それが運なんだよね、きっと女神さまが助けてくれたんだよ」


「女神さまが・・・」


実は侍女様は結構女神さまが好きなのを私は知っている。ずーっと前に首元に女神さまのペンダントみたいなのが見えことがあった。


首にはチェーンなどが巻かれてなかったから、きっとブローチを服の内側に付けていたのだろう、たまーにほんの少しそのあたりが不自然に浮いてる時があった。


表立って女神様好きを見せるのは抵抗があったのか、恥ずかしかったのかは私には解らないけど、かなり女神様好きということは認識していた。


だから今まで見たことの無いとても穏やかな微笑みを見せてくれている。初めて見る顔だから、だんだんと侍女様が心を許してくれているだろうし?もしかしたら赤ちゃんが居るかもしれないと思うと、私も嬉しさが止まらなくなってきて、思わず抱きしめてしまった。


次に街に行くのが楽しみでしょうがないというより、明日すぐに街に行こうと提案し、待ち合わせの場所に入念に光魔法で姿を隠しながら、今来た道を戻ることにした。


少し早く戻ってきてしまったけど、今は大事な時期だからあまり激しい動きもどうなのか?って所だし、こちらの世界のことはよくわからないけど、きっと似たような物だろう。


湖のほとりにたどり着き、湖に足を浸けてぶらぶらしてようかなと思ったんだけど、なんか水面に面影が見えて、ん?あれは?


いや、ダメだ、名前を出してはいけないあの人達かもしれない・・・見なかったことにしよう、もそう言えば前世の記憶をたどると・・・うーん思出せない・・・けど入口と出口違った気がする。


だからすべての湖はあの水龍族の村と繋がってると思った方がいいのかもしれない?えっそれは井戸とかも当てはまるのだろうか?川は?え?もう関わりたくないから大きい湖には近づくのやめておこう。


何も気づかなかったふりをして、侍女様と一緒に護衛騎士と兄を待つ。カカオは3日に1回までという新ルールを適用して、なぜか私まで巻き添えで3日に1回のカカオになってしまった・・・


私が結婚することがあれば、侍女様にも同じことをしてもらうぞ!と心に誓った日だ。一杯誓った日があってどんどん忘れて言ってるけど、カカオだけは忘れない自信がある。


護衛騎士と兄が戻ってきたので、突如閃いたかのように我儘を言う。


「ねぇ、散策しないで街のふかふかベッドで今日は寝たい!今から町に行こうよ!侍女様も一緒に行こう?みんなで離れた場合あの緑の地がどうなるかも気になるじゃない?次にきてと言われた日はまだ先だけどさ、いろいろ実験してみないといけないと思うの!だから今から行こうよ!」


と突然の我儘を言って見た。兄はいいぞと言ってくれて侍女様と護衛騎士はえぇ!?って顔をしている。明日行こうって言ってたのが今日になってしまったからね、驚いた顔をさせたかったから作戦はうまく言ったと思う。


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