第152話 条件

一通り大笑いして、いまだにぶっって漏らしながら話し合いと言うより相手の一方的な要望が述べられていく。


ーーーーーーーー


この国に留まって欲しいこと

王家や貴族はなるべく関わらない様にする

1年に1回王様に会うこと

生活費などは国が用意すること

それ以外は自由に過ごしてもらって構わないこと

私がやることは法律に触れない限り一切関知しないこと

できれば王太子がたまに遊びに行くのを許して欲しいこと


めっちゃ関わってくる気満々じゃないの!私がとても嫌そうな顔をしていると、宰相様が険しい顔をしている。これはもう絶対関わっちゃいけない奴だな、なんで「うん」と言わないんだこのド平民が!って顔をしている。


しかし私はド平民の転生人だ!この場では空気を読まないことにする!


「お断りします、別にこの国に住まなくてもいいし、そこの宰相様の目を見ればわかります、うまく利用しようとしていることを、この条件を聞いて一見自由に見えるし、楽しく生活できそうだけど、リケーネ国と言う大きな囲いの中で自由にしていいよってだけで、それ以外は自由ではないですよね?思惑が透けて見えてますよ飼いならそうとしていることは」


肩にあった兄の手にぐっっと力がはいり、護衛騎士が私に対して殺気づいている。私悪くないもんね!


「私はこの国で生まれてこの国で育っております。身分制度のこともある程度理解はしておりますが、前世の記憶を持ち合わせていますので、貴族と言う生き物がどおゆう生き方をしどのような存在か存じ上げております」


兄がとてもビクッっとしている、私がこうやって丁寧に話始めるととても怒ってる証拠だったりもする。話が通じない人と話しても意味ないんだよね。


宰相様の顔が苦々しい顔になっている、貴族ってもっと顔の表情をとりつくろえるものなんじゃないの?全部顔にでちゃってるけど?顔に出しても何不自由なく暮らせるポジションで、それだけ自由に何でも思い通りにしてきたのかもしれない。


「そのようなつもりはなかったのだかが、そう受け止められてしまってはしょうがない、どうすればこの国に留まってくれるだろうか?」


監視しない

干渉しない

関わらない

私に会いに来ない

1年に1回王様に合わなくても良い

居場所をわかるようにしない

この国に拠点を置いてもいいこと

他国に旅行に行くのは自由

住民板は普通の人と同じものを

私たちは普通の平民として扱う事

私の仲間にも同じ条件を

それと私の両親がこちらにくるので両親は何も知らないから絶対に接触しない様にすること


とにかく関わらず放っておいて欲しいことを伝える。


「それは難しいかな」


ほぉーん、それならこの国には住めないなと考えていると


「この国の住民板にはすべて位置がわかるように仕組まれている、これは誰も知らないことなんだけどな」


「殿下!」


宰相が悲鳴にも近い呼びかけをする、これ国のトップ機密なのでは・・・?私も兄も護衛騎士も司祭様もびっくりした顔をしている。


「居場所が分かった方が誘拐された時や攫われた時、すぐに居場所が分かった方が楽なことがはるかに多い、犯罪者にも当てはまる。これはとても極秘な事だ、だから居場所をわかるようにしないと言うことは無理だ。ただ調べて追いかけたりするような事はしないと誓おう、私意外な」


ぇーやだなーうーんでもなー王太子以外何もしてこないなら?うーん・・・


「それに居場所が解るのはローラ自身の為でもあるぞ、極秘でも勘づく奴は居る、そいつらが何をするかは解らない。保護して欲しくないと言うのであれば保護はしないが、予想できるであろうトラブルからも守ってやることはできない」


守ってやることはできないって、なんで上に立つ人ってこうしてやって当然って言い方するんだろうか?王太子だからしょうがないのか?これが前世のエンペラーだったら・・・許せるな?でもこの人は違う。なんか宰相はむかつく。王子はもうね・・・


「それにローラは普通の転生者と転移者とも違う、女神の愛し子までついてるのはこの国始まって以来の出来事だ、正直何がおこるかわからない、予想がつかないから前もってコントロールしておきたいと思って居るんだ、兄君も含めてな」


コントロールって言っちゃってるし、この人腹芸できないタイプでは?王太子向いてないのでは・・・


「なら別の国に行きます」


「なぜだ?この国に居れば守ってやると言ってるのだぞ?」


「うーんその守ってやるって何様なんですかね?誰から守るんですか?私が守ってほしいのは貴方ような話の通じない、こうしたほうが良いと思い込んでる自分勝手な人達が私をどうのこうのしようとする所から守って欲しいんですけど?」


司祭様が遠目からでも水浴びしたんですか?ってぐらいに濡れそぼってるし顔色がもう土気色通り越して大丈夫?生きてる?って顔を色をしているし、護衛騎士に至ってもう逃げようという雰囲気も感じられるし、兄も方に置かれた手から力が失われて行くのが解る。しょうがないじゃない、嫌なものは嫌なんだよ。


王様だろうが貴族だろうが、私の自由を奪うことはできません!幸いなことに色々とスキルを頂いておりますし!この国から出ようと決意してると


「そうか・・・それは残念だな・・・この国でとれるカカオを今後国外に輸出するのはやめよう、この国でしか食べれない様にしよう。そうだな?それがいいそしたら国に観光客もくるかもしれないな?とりあえず今は大盤振る舞いで他国に沢山輸出をしてカカオ中毒者を沢山作ろうではないか!良い案だな宰相?」


「そうでございますね、その法案通るようにいたしましょう」


うっ・・・・・


「そういえば不毛の地を勝手に緑地にして住み着いてる輩が居ると聞いているが、緑地化した褒美として、緑地化した場所に家を建てる手配をしようと思って居たのだが・・・残念だな」


くぅ・・・・・すでに監視されているし家の問題が片付く!


解ってるよ!誘惑には負けない!家がもらえるなんて思っちゃだめだ!カカオになんて負けない!私はカカオに負けない!私はカカオに勝つ!


カカオを引き合いに出すなんてなんて卑怯な人なんだ!こいつは信用ならない、今日全財産ですべてのカカオを買い取ってこの国を出てやる!


キィーーーッっと王太子の顔と宰相の顔をにらみつけて、出ていくと言おうとしたら。


「王家御用達のカカオを毎日届けても良いと思ったんだが・・・」


ああ”ー!?王家御用達のカカオ!?


「それとスイーツも」


これは心得てますね・・・私をこの国に留めることを心得ていらっしゃる・・・


「少し考えさせてください」


と一言出すのが精いっぱいだった。侍女様の為にも今後の為にも、一時の感情で物事を決めてはいけないと思ったので、いったん持ち帰ることにした。


私一人ならこの国を出て行ってた、スイーツにだって釣られず、カカオにも釣られず、自由を選んだと思う。


でも、侍女様のお腹には赤ちゃんが居る。私だけの自由を選択することはできないから、侍女様と相談したいと思う。赤ちゃんの事を思ったら私の自由なんて些細なことだ。生まれてからの方がもっと大変だろう、だから定住できる場所は大事だと思う。


住民板に居場所が解ってしまう仕組みがあるのは知らなかったけど、これもまた異世界の人が発案したことだろう。


宿に戻る途中はとても無言だった。兄はなんとなくぷるぷるしている、とんでもない妹を持ったと思ってしまって居るのだろう、私が王太子に取った態度がどうのこうのと言う感じではないっぽい。


護衛騎士は逆に私がとった王太子への態度でゲッソリとやせ細ったように見える、あんなに鍛えてある筋肉が全部やせ細ってしまった様だ。


私は特に考えもせず、何とかなるだろうという楽観的な考えの元、宿に帰りつく。


帰ると侍女様が待ち構えていたようで、お帰りなさいと言ってくれる。思わず侍女様に抱き着いてしまった。私だってそれなりに緊張はしていたんだよ!


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