第118話 ようやく出会えたね
夜はまだ長いしもう一度町に行こうかな?嫌メンドクサイな。そうだ兄と一緒に神経衰弱をやろう!兄なら絶対に勝てると思う!
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兄に神経衰弱というゲームをしないかと誘う。嬉しそうにいいぞとうなずいてくれた。神経衰弱と聞いた侍女様と護衛騎士ががぜんやる気になっている。レオンも興味がありそうにしているから、説明は侍女様に任せて私は準備をする。
念入りに混ぜ込み、いざ5人での神経衰弱だ!
兄とレオンは最初は戸惑いながらやっていたけど、慣れてきたらしくどんどん札を取っていくようになった。特にレオンの記憶力が普通じゃない。何者なんだ?
そして意外なことに兄も結構札を取っていて、1回目のゲーム、兄はまさかの2位だった。1位はレオン、3位は侍女様4位が護衛騎士で、5位が・・・
変だぞ?
みんなが楽しそうにもう1回!と言ってくる。2回目の順位はまさかの兄が1位だった、え?兄さん?
皆興奮してきたのと、もっと難しくしたいと言うので、それなら数字を増やそうと言うことになり、25までも数字を48枚まで増やした。これでカードの数は全部で100枚だ。100枚の神経衰弱とか・・・私には難しかったけど、意外なことにレオンと兄が良い線行ってる。護衛騎士は私と早々に脱落して、侍女様は負けまいと必死に食らいついている。
兄が記憶力良いとは・・・でもなんであんなに馬鹿なんだ?何事も比例しないということだろう。残念な代表の一人なんだろう。
夜も更けてきて私は眠くなったから、お先にシャワーを浴びてベッドに入り眠りにつく。4人はまだまだ遊ぶようだ、護衛騎士はどこからか取り出したお酒を飲んで眺めてるだけだけどね。
翌日はほんの少し朝寝坊をした、兄はまだ寝ている。みんな何時まで遊んでいたのか?起こさない様にそーっと行動する。外を眺めてみるとハトが張り付いていた。ハトは本当に神出鬼没だね?どこ行ってたの?と窓を音を立てない様に開けてハトを中に招き入れる。
兄の方に寄って行って頭をつつこうとしているから、静かに阻止しておいた。邪魔されると気になるのか余計つつこうとしている、これはなかなか良い性格をしているようだ。
ハトと攻防戦を繰り返してたら兄が目を覚ましてしまった。ギロリとハトを思わず見てしまう。悪いことをしたと少しだけ思ってるのか、そっぽを向いてる気がする。一応悪いという感覚もあるのだろうか?ハトになったことないからわからない。一つ言えるのは意外と感情豊かってことだよね、ハトだけではなく動物全般に言えることだけど。
部屋で朝ごはんを食べて、とうとう町を出る日だ。特に思い入れは無いけど、解体師のぎらついた目は印象に残っている。これで食糧難が収まるとは思えないけど、一時しのぎにはなるだろう。
町を出て北の方に向かって歩く。両親は普通にコライユ国に出国して欲しいとお願いしたから、今すぐ国境付近に移動しても意味が無い。
私はどうしようかな・・・新しい国に行って少し下見をするか?
侍女様に相談すると、横で
”えっ?俺には相談してくれないの?俺たちの両親だぞ?”
という顔をした兄がこちらを見ているけど無視することにする。侍女様は
「このままこの国で狩りをしながら稼いでいくのも良いけど、初めての国ならご両親を安心させるためにも早めに新しい国にいって家を用意するのも良いかも知れませんね」
と助言してくれる。
たしかに、お金の事ばかり考えてたな。お金が無くてもスローライフはなんとかなるだろう。ではレオンに新しい国。リケーネ国との国境付近の森まで転移してもらおう。
レオンに頼むとちょっと待っててくださいねと言ってなんだかぼーっとしている、こうやって私の生活をのぞき見しているんだろうな?と思ったけど何も言うまい。はっきりと聞いたわけでは無いけど、転移スキルと千里眼か何かを組み合わせて、行きたいところに行けるのだろう。
国境とか関係なくいけるね、そりゃ王族に奴隷契約させられるか殺されるかだね。暗殺簡単すぎるよね。
行きますよとレオンが行ってすぐに移動した見たい。森の中だからあまりよくわからない。レオンが狩りもしたいだろうからと、少し魔物が多そうな場所にわざと移転したと言う。よしやるか!
魔オオカミの普通の群れと魔シカの群れ、そのほかファルコ達に追い込んでもらった魔物たち、魔イノシシはウリ坊が居たらと思ったけど、居ないイノシシばかりの群れだったので迷わずどんどん討伐していく。
みんな元気いっぱいに狩りをしている。私はのんびりと座ってハトのテイムを何回もためしている。
魔物は侍女様、護衛騎士と兄に任せて、どんどん狩ってもらう。レオンは私の横に居る。ハトはうまいこと一緒に朝から居たのでそのまま転移してきてしまった。ラロはしらない・・・
今日も大量に狩りが出来た。レオンの転移スキルのおかげだ。魔物の群れが居る所に転移してを繰り返したから、一杯狩れた。護衛騎士がレオンを引き込みたくなるのもわかる。
魔物を全て収納巾着に入れて、国境付近の町に向かい宿を探す。今日は1日狩りをしていたからシャワーでもあびてさっぱりしたい。ハトのテイムは結局できなかった。
町に入り侍女様が聞いてくれた宿に向かう。部屋は二つツインを取る。レオンはいつも今世の兄の部屋に寝に戻ってるらしい。便利だなー
今回の部屋割りは男女で別れることになった、侍女様の提案だけど、喧嘩でもしたのだろうか?不満そうな顔をしている護衛騎士と状況を飲み込めてない兄の顔を見て二人なら大丈夫だろうと思って今日はパジャマパーティーだとはしゃぐ。
パジャマパーティー?と少し首を傾げられたけど、気にしないでおこう。侍女様には仲の良い女子たちが夜にパジャマを着て恋話をしたりたわいもないおしゃべりをする会だと伝えておいた。
先に軽くシャワーを浴びてからみんなと待ち合わせして屋台の広場に向かう。今日の朝まで居た町とは大違いで大変にぎわっている。そういえば魔物除け装置を国境付近にはあまり置いていないと言っていたから、食糧難になることなく、逆に住みやすいのかもしれない?
隣国で狩りをしてこちらに持ってきて売ってる人が居るのではないだろうか?買取値段違いすぎるもんね?私なら必ずそうすると思う。
久しぶりの活気ある広場に屋台が沢山ある!何を食べようかと見て回る。そんな中ひときわいい匂いがする場所がある。この匂いは・・・この匂いを私は知っている。ここで出会えるのですか?いいんですか?とフラフラと突然歩き始めた私を侍女様が怪訝な顔をして見ている。
行列がなされてる、そりゃそうだ、あたりまえだ。何も言わずにスッっと最後尾に並ぶ。たとえ1時間待つことになっても私は並ぶ。
ドリンクの屋台だったからすぐに順番が来た。甘い匂いに釣られたのかみんなが並んでいる。ようやく手にしたそのドリンクはこげ茶色をしている。
皆の顔を見ると、兄だけがギョっとした顔をしている、侍女様と護衛騎士はカレーで慣れたのかなるほど?と言う顔をしてて、レオンはいつもの通りの顔をしている。
一口口に含む。ぱぁーーーっと口の中に広がる甘味、圧倒的な甘み!そしてやってくるほんの少しの苦み。でも圧倒的に甘い。一口飲んで口の中に居座るかと思って居た甘味が一瞬で消えてしまった。おかしいこのドリンクのポテンシャルはそんなものじゃない。もっと必死に口の中にしがみ付いてくるだろう?いつだって飲んだ後はずーっと口の中が甘くて幸せだったでしょぉ?もっとくらいついて来いよ!と思いながらまた一口飲む。
美味しい
ただそれだけだ。
今私は決意した、この飲み物の原材料が手に入る場所に住むことを。多少不便でも絶対この飲み物を買える場所に住むと。
今まで忘れていたけど、ようやく出会えたねチョコレート様。
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