第114話 兄に見つかった
「お!お前生きてたんだな!兄ちゃんはお前がお貴族様に対して無礼なことをして死んだと聞いてたけどウソだったんだな!!!!!」
やめてっ!大きい声でしゃべるのやめて!!!注目されてしまうじゃない!
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慌てた護衛騎士が兄を捕まえて口を抑え込む。
ふがふが言い続ける兄。これはまずいと思って慌てて路地裏に行き、レオンに頼んで森に転移してもらう。
「なっお前!どうしたんだこんな奴らとつるんでて!脅されてるのか!?死んだことにされてコキ使われてるのか!?兄ちゃんがやっつけてやる!」
「いやさっきゾロに捕まえられて何もできなかったじゃない・・・」
「なっ、それじゃぁお前のいい人なのか!?こんな男が!?駆け落ちか?兄ちゃんに言ってくれれば俺だって親を説得したぞ!」
「違うから・・・違うから少し黙ってよ」
「いーやっ俺は黙らないぞ!俺がお前が死んでどれだけ悲しんだか!親がどれだけ落ち込んでるのか知ってるのか!?死んだなんて笑えない冗談だぞ、葬儀まで上げて!そういえば最後に遺体を見せてくれなかった!王宮とグルだったのか!?」
物凄く泣きながら興奮しながらわめき散らしている。死んだと思った妹が居たらわけもわからなくなるよね。私でもこうなると思う。
「落ち着いてよ・・・私が王宮とぐるなわけないじゃない、監禁されてたんだよ」
「なっ監禁!!!?」
「うん、収納巾着開発したじゃない?兄さんにもあげたでしょ?あれが凄いお金になるらしくてね、王宮に監禁されて作らされてたの。何度も連絡しようとしたんだけど紙とペン渡してくれなくてね。だから今逃亡中なの、街中であんな大声出されるとまた捕まって監禁されてしまう」
「なにぃ!兄ちゃんの可愛いローラを監禁だと!王宮に文句言ってやらないと気が済まない!」
「やめてよ!きっと私を連れ戻す為にはなんだってするよ、そんなことしたら兄さんが今度は捕まって王宮に取ってプラスの能力が無かったら殺されてしまう!!!」
兄は昔から私の事を溺愛してくれている。喧嘩だって強くないし狩りだってそんなに上手じゃないのに、私の前に必ず立ってくれる、そんな優しい兄だ。
「そ、そうか・・・」
そして単純だ・・・騙されて無ければいいのだけど・・・
「兄さんは結婚したって聞いたよ赤ちゃんも生まれるって、もう産まれたの?」
「そ、それが・・・」
これは騙されたな?
「嘘だったんだ!!!」
「嘘って?」
「俺の子供じゃなかった!」
「は?」
「どこかの貴族のお手付きになってたらしくて、でも庶子だろ?適当に見繕って結婚して生きていこうと思っていたらしい・・・出会ってその日のうちに宿に行って、次の日にに妊娠したと言われたから素直に信じてしまった・・・」
これは馬鹿ですわ・・・侍女様の顔も引きつっている、護衛騎士は哀れな顔をしている。
「まって、ずーっと付き合っていた彼女は?」
「それは子供ができたと言われたら責任取るしかないだろ?素直に伝えたら殴られてフラれた・・・」
「そっか・・・凄い綺麗な人だったんでしょ?」
「うん・・・女神さまかと思うほどに」
「そっか・・・馬鹿だったか・・・」
「兄ちゃんのこと馬鹿だなんてひどいぞ!」
「いや馬鹿でしょ!美人がそんなすぐに宿とかありえないよ!それに彼女が居たのに他の女と宿にいくなんてただの浮気者だよ!正直見そこなったよ!馬鹿だよばーかばーか!」
「ひ、酷いぞ!兄ちゃん悲しいぞ!」
「もう兄さんのことはいいよ、父さんと母さんは?」
「落ち込んでる、孫が出来ると喜んでいたのにそれも無くなって・・・」
あー・・・何も言えないな・・・
「父さんと母さんには私がまだ生きてることは言わないでくれる?」
「どうしてだよ!生きてると知っていたら喜ぶぞ?」
「だからだよ、私を連れ戻すために家族になにされるかわからないから・・・だって生きてるのに私の事を死んだことにした王室だよ?信用できる?できないよね?」
「そうだな?」
「?じゃないのよ、なんでそう馬鹿なの!私達家族は騙されたんだよ!王族に!この国に!誰も信用しちゃだめだよ!この国の王族は信用ならない、だから外国に逃げようと思って居るの、兄さんも一緒に行かない?」
「行く、父さん母さんも一緒に行く説得する」
「それなら一度コライユ国に行ってくれないかな?コライユ国に行っても私が生きてる事を父さんと母さんには話しちゃだめだよ?兄さんわかってる?ここで大騒ぎして生きてることが解ってみんなが元気になったら、王宮が何するか解らないからね?誰にも私が生きてるってことは言っちゃだめだよ?約束だよ?」
「わ、わかった・・・」
「気分転換に旅行しないかって誘ってね、コライユ国で落ち合いましょう」
「一緒には行かないのか?」
「理由があって私は今この国に存在してはいけないから、ここに居ること自体知られてはいけないの。ここにいるレオンって人に側にいてもらうから、約束やぶったらレオンに教えてもらうからね!私が生きてるってことは絶対に言ってはだめだからね!」
「えっ・・・?」
「わかった・・・」
「ということでレオン、兄さんと行動を共にしてくれる?どうやって家族旅行について行くかの理由はレオンに任せるとして、コライユ国の首都で落ち合いましょう。レオンの事だから私たちがどこにいるか分かるんでしょ?」
「ええっ・・・」
「その前に兄さんをさっきの路地裏に戻してきて、兄さんが変な事を言わない様に監視しておいてね?」
「そんなぁ・・・」
「その前に私たちをドレ国にもどしてくれる?」
「・・・・・・・・・いやだ」
「戻して」
とあざと可愛く首をコテンと倒して下から見上げてみた。前世の記憶だ。
しぶしぶドレ国の元居た場所にもどしてくれ、レオンもすぐ兄の元に戻って行った。転移魔法楽だな・・・お友達として側にいてくれるといいね?スローライフに必要だよ転移魔法、次は転移魔法のスキル持って生まれたいな。そしたら交易商にでもなって一生楽して稼げそうじゃない?もちろん隠れスキルとしてね?
侍女様と護衛騎士を見て
「勝手なことしてごめん、両親には私が生きてるって知ってもらいたかったんだ。それだとヴェルト国に居られないでしょ?」
「わかってますよ、安住の地を早く見つけましょうね!」
ありがとう、この二人には感謝しかない。レオンには兄が暴走しないように監視して欲しとお願いし、定期的にこちらに顔を出すと言う話でまとまった。
そうなると私たちもすぐさまコライユ国に戻ろうと思ったけど、討伐した魔物を売りさばいてからと思って居るので売りさばくまでこの村でのんびりすることに、いざとなったらレオンの転移魔法で国境近くまで運んでもらえればね?
うん、意地を張りすぎるのも良くないね、程よく楽に、便利に。
ドレ国に戻ったので、今日も冒険者ギルドに寄ってから商業ギルドに。今日の解体場の人達は変らず目がギラついてるし目の下のクマが酷いことになってる。なんだか頑張れとしか言いようがないような風貌になってきている。
まだあるのか?と聞かれたのであると答えると、解体場の人達は何も言わずに魔オオカミを解体し始める。解体しきらないと家族が魔物に殺されるんじゃないかという勢いだ。がんばれ・・・と心の中でそっと祈っておく。
本日も魔オオカミ50匹で1000金貨だ!!!
この3日間で3000金貨は本当によく頑張った!
今日は文房具屋さんに寄ってから宿に戻ろうと思い、商業ギルドを出たら目の前にレオンと兄さんがいた。一体何をやらかしたんだ兄よ。さっき別れたばかりだよ?
全員で無言で宿に戻り、部屋に入ってから理由を聞く。
「なんでレオンと兄さんがここに居るの?」
「ローラのお兄様はすぐ、しゃべってしまってね?」
ギロリと兄をにらむ。縮こまってる、レオンの妄想だと思いたかった。
「それで・・・?」
「まぁ僕の機転でね、うまくごまかしました。ご両親はお兄様がローラが生きてると言ってしまったもんだから、泣き崩れてました。まだ傷は癒えてませんね、とても見てられませんでした」
兄の頭をぐりぐりしながら話を聞くことにする。
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