第13話 影の報告①
私は影、名前は秘密、性別も秘密
数年ぶりに、イルミナ食堂に来客があったと聞いて、私が派遣されました。彼女にどのような隠れスキルがあるか、どのような人となりしているかを調べることが今回の仕事です。
隠れスキルは特殊なので普通の鑑定道具では鑑定できません。鑑定スキル持ちもいますが、国の法律として本人の認証がなければ鑑定はしていけません、けど隠れスキルは鑑定スキルでも鑑定できません。
ではどうやって鑑定するかといいますと、血を数滴いただいて隠れスキルを鑑定する道具があるので、それで鑑定します。その道具は不思議なことに、隠れスキル以外のスキルは鑑定できません。鑑定結果が出るまで、その対象に影は張り付いて、隠れスキルを所持してても、問題ないかを監視いたします。
血はささっと、サラ様が寝ている間に少々頂いております。そのうち鑑定結果がでるでしょう。鈍感・・・眠りの深い方で助かりました。
サラ様の監視を初めて約2日。性格においては特に特筆する部分も無く、反逆者になりうるか、一国民として生涯を過ごすかは、まだ判断するには足りないと思って居ます。人間はストレスなどで簡単に人格が変わってしまうので、簡単に変わってしまう人物であるかも判断をしないといけないのです。
一つ言えるのは、今はまだ卵以外にあまり執着を見せてない。逆を言うと卵さえ与えておけばいいように動く・・・良い国民であり続けるかもしれないと思いましたが、まさかそんな簡単・・・単純・・・卵が大好きだということだけはわかりました。卵しか食べてないなと思います。
テイマーとしての実力は、人格はさほど問題ないように見えても、一瞬テイムできてしまうのは、疑問がのこります。いわゆるのテイマーとは少し違うようにも見えます。経過観察が必要そうです。
ゴブリンをテイムした後に、ゴブリンの腰布をはぎ取ろうとし、においが無理だと思ったら川に連れて行ってゴブリンを入浴させてる人を私は初めてみたので、非常に戸惑いました。なぜ腰布を取ろうとしたのかも気になります、なにかしたかったのでしょうか?とても気になります。
ただの変質者って場合もありますから、そこもしっかりと報告しないといけないので、観察が必要です。ただ、におい袋が、秘密を解き明かす、一獲千金などの単語が聞こえてきたので、ゴブリンの腰布をはぎ取ろうとしていたので、まさか・・・そんな・・・?その臭い匂いを売るつもり?それとも商売の商機をみつけた?と思って居ますが、腰布になぜそこまでの可能性を見出しているのかさっぱりわかりません。
まさかゴブリンの腰布を使って匂いテロを起こそうとしている?過去にそのような人物がいたという記録が残っているので、危険人物として注目しておかなくてはいけない可能性を捨てきれない自分も居ます。
ゴブリンの腰布は確かに臭いですが、匂いは体臭だと気づいていないのでしょうか?そんなおまぬけさん居ないですよね?
そしてきわめつけはスライムです、王家直属の影にはありとあらゆる分権がございます、その中の一つに禁書を扱うと言う物があるのですが、一般の方には知られていない魔物も一般的に知られている魔物も、事細かに書かれている秘蔵書があるのですが、その中にスライムも書かれているんです。
秘蔵書に書かれてるスライムの特徴とは一致しないスライムが突然登場して、思わず密かに大興奮してしまいました。だってスライムがハトを捕食してしまったと思ったら ”ぽん” という音がして見た目が違うハトが生まれてるじゃないですか!こんな出来事は私の人生の中でトップ5に入るぐらい、大興奮したのでした。思わず近づいて触りたかったです、願わくば私もバージョンアップしたい。
この出来事はすぐボスにお知らせいたしました、ボスの方から宰相様に連絡がいくと思います、そこからどう判断されて、何を私に指示をしてくるかはわかりませんが、おそらくこのまま監視続行という形になるでしょう。なぜなら、サラ様は少し変わってる卵大好き少女だからです、今のところはね。
そして気づいたことがもう一点、サラ様のことを監視しているのが私だけではないということです、これはレオ様なんですが、まさかご本人自ら監視されてるとは思いませんでした。どれだけサラ様のこと好きなんでしょう・・・なんだかあの執着を見ていると、サラ様の行く末はもう決まってるような気もしますが、あの見事なかわし方を見る限り、普通の少女ではない気もします。
レオ様はいつ寝てるのか、いつ食事をとるのか、いつ休憩をするのか、とても気になっております。ほかの方が監視する場合もあるのか、非常に気になります。レオ様は私に気づいてるのか、気づいてないのかわかりませんが、今は気づいてないという結論に至っております。これもボスにお伝えいたしました。
レオ様は上級貴族の方なので、レオ様がストーカーになってると知れたら、国王様と宰相様もスッパイ顔になりそうな案件ですね。嫡男じゃないだけ良かったとおもいますが、嫡男より優秀な方とも聞いております。
サラ様夜食事をしている時に、この街を出るといったときには、レオ様慌ててましたね、でも翌日の朝には馬車を用意してすり抜けられたのを見たときは、笑いがこみ上げ・・・・・とてもお可哀そうにと思ったのものですが、レオ様もぬかりないですね、サラ様の性格をよくわかってらっしゃる。表の馬車はデコイで裏から出ると予想していたようです。ストーカー・・・ゴホン、少し賢いなと思いました。それに気が付かないサラ様も変わらずぽんこつ・・・素直なお方だなと報告書に書かせて頂きたいと思います。
そして野営した時にとても驚いたのは、隠れスキルに空間収納をお持ちだということは解っていたのですが、突如見えなくなったのにはびっくりしました。私が監視していたことに気が付いて巻かれたのかと思ったのですが、気配があるのとレオ様が変わらずストー・・・そばにいらっしゃったので、様子を見ていたのですが、しばらくするとレオ様が近づいて行ったと思ったらレオ様も消えてしまいました、しかし気配があります。
これは何かとても高度な魔法をサラ様が行使されたということでしょうか?私の知識には自身の姿を消すような気配遮断スキルはあっても、その周りも見えなくするようなスキルは存じ上げません。密かに新しい魔法ではないのかと興奮しております。これもボスに即報告です。
クマに襲われた時も、とても上手とは言えない魔法でしたが、魔法の出る速度や途中考えてるそぶりなどを見ると余裕のある戦闘に見えました。植物の種を使った成長スキルを行使して、クマ倒し、クマの毛皮をにんまりと撫でてるのを見て、ゴブリンが潰されてしまった時の悲壮な顔とは真逆の顔です。何を考えてるかはとても分かりやすい顔をしています。
クマに襲われた時にレオ様が鬼の形相でクマをにらみつけていた事、そしてサラ様に解らない様に助けていたことも報告書に書いた方がいいのか迷うところですが、サラ様に関係することはすべて報告しようと思います。
その後、羊に乗って爆走していなくなり、私は唖然としました。影としていろんな方の監視をしてまいりましたが、なりふり構わずこんなにも追いかけたことは一度としてございません。慌てるレオ様を横目に私も必死に移動しましたが、もう駄目だと思った時に、サラ様が魔羊から振り落とされているのを見て、わざと逃げたわけでもなく、サラ様にとっても予想外の出来事だったのだと、位置づけました。
その後また魔羊さんが爆走し、私も引き離されてしまったのですが、おそらく次の町に向かったと思われます。こんなに走るのはいつぶりでしょうか。地獄の特訓を思い出せばへのかっぱです。
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本日もお読みいただきありがとうございます
夜にもう1話アップする予定です
♡☆、フォローはげみになります
ありがとうございます
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