第6話 泉 唯留美

私の名前はイズミ 唯留美 イルミ25歳。

Brocadeネットワーク株式会社に入社して3年目。

本当は泉財閥の一人娘なので、婿を取るために社交場などに

積極的に参加する必要があるが、私の中でお婿さんは

決まているので社交場に出る必要などない。


私は高校時代、立川先輩に出会っている。

私の高校時代は泉財閥を大きなプレッシャーに感じ

学校では目立たないように三つ編み、黒縁眼鏡と地味に過ごしていた。

そんなプレッシャーに押し潰され日々を過ごしていたところ、

ある喫茶店で隣の声が聞こえてきた。

『おい、くよくよするなって。プレゼン1個駄目になったからって

死ぬわけじゃないだろう。お前の目標はなんだよ。たかだか

プレゼン1個通ることじゃないだろう。将来の目標に向けて進んでいけよ』

隣のテーブルの会話なのになぜか心に沁みました。

私は何を悩んでいるのだろう。将来のプレッシャー?それが何?

それって死ぬことよりつらいことなの?

全力を出し切っていない状態で悩んでいることが事態が無駄に感じてしまう。

顔を上げると、隣のサラリーマンが

『ごめんね。大きな声を出してしまって。これコーヒーを頼んだら

キャンペーンって言われてもらったチョコレート。良かったら食べて』というと、

私の伝票も一緒にレジに持って行ってしまった。

名前を聞こうと思ったが、今の私では自信が無い。

自信がついたら胸を張って会いに行こう。

そう決めた私はその日から行動を起こしていた。

美容院に行き、眼鏡をやめてコンタクトに変え、俯きがちなっていた姿勢を正し、

まっすぐに正面を向くようになった。

親はとても心配していたが、心配するような悪いことはなく何か人生の分岐点を

過ぎただけだと理解してくれた。ただ、その分岐点で正しい道標を示した人には

とても感謝しているようだった。

時には辛いと感じるときはあるが、そんな時は真空パックで保存された

チョコレートの見て元気をもらっている。


3年前にBrocadeネットワーク株式会社に入社して、立川先輩にOJTを

してもらえるように人事に頼み込んだ。

それはもう必死に頼み込んだ。チョット父が会社の役員と会話を

したみたいだけれど念願はかなった。

そのことが、親会社に伝わり役員にいる女狐の耳にも入ってしまったことが

失敗だったけど。


先輩と一緒にいられる事は本当に楽しい。

先輩は独り立ちしろっていうけどするわけがない。

これは将来、泉財閥を運営するためのリハーサルなのだから。

でもとっても心配なことが起きてしまった。

週末先輩とご飯の約束をしているので、エステに行くために早く帰ったら

その日に先輩は死にかけるような出来事があったみたいだ。

それを聞いたら涙が止まらなくなってしまった。

もう絶対に先輩を一人にしない。どこにでも付いていく。

危ないことが発生してもいいように護衛も手配した。

あの女狐も既に運転手として護衛を雇っているらしい。絶対に負けない。

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