インフラネットワーク系システムエンジニアの非日常

Issa

第1話

『うーん』っと最近疲れがたまりやすくなった体をほぐす。

俺は立川達人タチカワ タツヒト35歳。インフラ系システムエンジニア(SE)だ。

インフラネットワーク系のSEとは、簡単に言うと会社のパソコンが

インターネットに接続するための仕組みを作る仕事だ。


『先輩、これで今日のお仕事終わりですね』

こいつは後輩の泉唯留美だ。

最近はネットワーク機器の設定変更もWチェックをするために

単独での作業が禁止されている。

こんな単純な設定変更だったら10年前は単独で作業していたのに

時代が変わったものだ。

時代が変わったといえば最近はSEに女性が増えた。

チョット前までは3Kと言われ男だけしかいない職場だったが、

こんな綺麗な子がSEとして働いているのだから。


『おう、お疲れ様。作業ログを採取して上がる準備をしよう』

泉は入社3年目だが、すでに部下をつけてプロジェクトを回せる

実力がある。なのに、いつまでも俺とのコンビを解消しようとしない。

まあ、いつまでも作業者という立場だと給料も上がらないから

自然と独り立ちするだろう。


『先輩、今日もL2スイッチでパケットロスが発生してます。

メーカーからバグの情報も無いのに最近多いですね』

パケットロスとはネットワーク上で通信をする途中でデータが欠けてしまう現象だ。

通常はネットワーク機器のバグや、高負荷なネットワークで発生することが多いが

今日は小さな会社でネットワークの負荷もなく、シンプルな設定のため、

パケットロスが発生するとは考えにくい。


『L2スイッチのログを全て採取しといてくれ。後で確認しておく』

既に時刻は22時過ぎ。泉を早く上がらせないとな。


『はーい。了解しました。ってもう終わってます。先輩もサービス残業なんで

しちゃ駄目ですよ。お腹空いたのでご飯いきましょうよ』

やはりこいつは優秀だな。言われる前に先手先手で仕事を終わらせしまう。


『今日は遅いから飯はまた今度な』

たしか泉は実家暮らしだったよな。

若い女性なんだから早く家に帰さないと親御さんも心配するしな。

別にいつも送迎車は手配しているから心配なんてしなくていいのに。。。。

『うん?何か言ったか泉』

『何も言ってません。では早く帰りましょう』

片付け後、お客様と上司に作業完了報告をしてお客様の会社を後にする。


『では、先輩お疲れさまでした』

『おう、気を付けて帰れよ』

泉と別れて実家へと帰路につく。

36歳にもなって子供部屋おじさん状態だ。

都内から30分以上電車に乗る必要があるが、なんでも揃うし

適度に自然もある立川市から離れられない。

そろそろ家を出ないとな。なんて事を考えていたら

最寄り駅に到着した。

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