第18話

姫美が思考状態になってしまったので俺は休憩をすることにした。

荷物から水筒を取り出し冷たい麦茶を飲んでいると

『先輩、私も飲みたいです』

と、俺が飲んでいる水筒をうばいゴクゴク飲み始めてしまった。

俺の水筒は、フタがコップになるタイプではなく

フタをあけると飲み口があり、直接飲むタイプだ。

『泉、オッサンの水筒を直接飲むなよ』

『いいじゃないですか、私はこの水筒から飲みたかったんです』

そんなやり取りを泉としていたら、姫美が目を開けた。


『うるさいわね。泉さんはお金が沢山あるようなので、

そこの自販機の飲み物を丸ごと買ってくればいいでしょ』

いきなり姫美が泉に文句を言い出した。

『錦さんだってそこの売店の品物全て買ってくればいいじゃないですか』

関係ない話をし始めたので、二人を止める。

『姫美、考えがまとまったなら教えて欲しい』

『・・分かったわ。まず神威討伐をあなた一人で行うことはしない。

これはあなたが危険というだけでなく、そもそも神威の討伐には

既に専門の組織があるからよ』

なんか最近聞いたワードが出てきたぞ。確かあの女子高生が組織って

言っていたきがするな。ただの中二病を患った女子高生じゃなかったんだな。

『日本では、神威討伐組織というのものが既にあり通称神伐なんて呼ばれているわ』

おいおい、組織名はともかく通称は凄いな。

何も知らないと神様を討伐するように聞こえてしまう。

『その現当主は若葉 加羅真(ワカバ カラマ)。金曜日会った

若葉 亜麻奈(ワカバ アマナ)の父親よ。昔から日本は化け物が多く

それを討伐する組織よ。一般人にはあまり知られていない話ね。

お父様が設立したBrocade株式会社が小さい頃は知らなったけれど

国内外で大企業と呼ばれる規模になったときに、とある社交場で聞かされ、

今では筆頭スポンサーをおしつけられているわ。儲けている新興会社は

目をつけられてしまうの。ただ、そんなものをおしつけられても

問題はないけれどね』

なんか一般人の俺が聞いてはいけない話をし始めてしまった。

まあ、俺以外の3人は既知の事なのか驚いている様子もない。

『泉財閥なんて嫌な役割を押し付ける側の筆頭で昔から日本を牛耳って

きている財閥ね。ただ、今の総帥は子煩悩でそれほど厳しくはない

みたいだけれど。それより2番手の幸財閥が面倒ね』

『父は変なことはしません』

あれ、泉は今日お父さんとの食事を断ってこの場にきていたはず。

ってことは泉財閥の総帥の行動を邪魔したってことになるな。

聞かなかったことにしよう。

『話を戻すわね。その既にある神伐に協力させるのよ

幸いなことに今の筆頭スポンサーはBrocade株式会社よ。文句は言わせない』

姫美が悪い表情で言い切っている。

『私も賛成です。先輩が危ない現場に一人でいくより、神伐と一緒であれば

危険が減るし。いざとなったら肉の壁にして先輩が逃げればいいです』

普段の泉からは想像できないことを悪い表情で言い切っていいる。

『達人はとりあえず、週明けも普通に働きなさい。ゴールデンウィーク前には

新しい部署を用意するわ』


『なんか楽しくなってきたわね。この二人ならタツを絶対に裏切らないし

いいと思う。でもいつかどちらかに刺されると思う』

なんかやばい二人に相談してしまったのではと後悔をしていると最後の方が

聞き取れなかったが、ショワが太鼓判を押してくれたようだ。


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