第20話
電話を切り受付に向かおうと思ったが
制服の女子高生と二人っきりはまずいと思った俺は泉に話しかけた。
『泉、すまんが一緒に受付にいって欲しい。例の女子高生がきているようだ』
『え、来るとは思ってましたが月曜日の朝一に来たんですね。分かりました
一緒に行きましょう』
泉を伴って受付に行くと、受付嬢が冷たい視線を送ってきた。
『立川さん、泉さんを連れてきたのは正解です。流石に女子高生と二人の状況で
レセプションルームに案内なんてできないですよ』
『すいません。何番のレセプションルームが空いてますか?』
『今なら3番が空いてます。案内はしないので勝手にいってください』
なんか怒っているような気がするが、月曜日の朝一訪問する人が多い時間帯なので
手が離せないのだろう。
泉と若葉さんを連れて3番のレセプションルームに移動した。
『飲み物だけど、最近は注文するのでなく各自でドリンクを持ってくるんですよ。
飲みたい物を言ってくれれば、持ってくるので教えてください』
俺は緊張しているようだったので、まずは飲み物でも飲んで落ち着いてもらおうと
話しかけた。
『では暖かいお茶をお願いします』
『先輩、私が用意しますよ』
『いや、泉がいなくなるとレセプションルームに二人っきりになってしまうので
俺に準備させてくれ。泉は何飲みたい?』
『分かりました、暖かいお茶をお願いします』
『了解、直ぐに戻ってくるので若葉さんの相手を頼む』
そういっておれはドリンクを取りにいった。
『若葉さん、その制服英蘭よね?』
先輩に飲み物を取りに行かせていることに少し腹をたてている私は
強めに聞いてしまった。
『はい。よくご存じですね。英華蘭美女子高等学校に通ってます』
『今の時間は授業中だと思うけど大丈夫なの?』
『はい、公欠扱いにしてもらってます』
『そんなに直ぐに公欠にするなんて、教育指導の武蔵野先生は
もういないの?』
『え、なんで武蔵野先生のこと知っているのですか?武蔵野先生は
私の家の事を理解しているので便宜を図ってくれてます』
『そうなんだ。武蔵野先生も丸くなったのね。私も英蘭出身なの。
卒業してもう7年になるわ』
『7年前に卒業した泉さん!?もしかして伝説の女王の一人ですか?』
『私が伝説になっているなんて初耳だけど女王出身よ。本当の伝説の女王は
私が知る限り一人だけ。私なんて伝説なんで呼ばないで』
『いえ、泉さんは二人いる伝説の女王の一人ですよ。圧倒的なカリスマで
全校生徒だけでなく親や教員も従えていたと聞いてます』
『大げさになっていると思うけど、当時の英蘭は一致団結はしていた。
そしてその女王出身の私が信頼し、憧れている先輩をパシリに使った
状況だけどどうする?』
俺がレセプションルームに戻ると若葉さんが震えていた。
『あれ、空調の温度設定低かったかな?暖かいお茶を持ってきたから
これでも飲んで温まってください』
そういってお茶をすすめた。
『先輩、お茶ありがとうございます。場は温めておいたのであとは
よろしくお願いします』
場を温めるとはきっとアイスブレイクをしてくれたのだろう。
流石泉だ。年齢が近いから楽しく雑談でもしたのだろう。
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