第5話

結局家に着いたのは1時過ぎ。

しかもそのあと、母親と姫美が深夜に関わらず

何が楽しいのか話が終わらない。

運転手さんも涙目ですよ。早くお開きにしましょう。


流石に今日は眠い。

欠伸をしているところに元気な声が響いた。

『おはようございます、先輩。今日はとても眠そうですが

ログの解析を遅くまでしていたのですか?』

昨日のことを何も知らない泉が俺に聞いてきた。

昨日の出来事を話そうとしているところに、西砂マネージャから

会議室に呼ばれた。

『泉もこい。AA社に関することで共有することがある』

泉も誘い、会議室に入ると既に西砂マネージャは着席していた。


『立川君、昨日は大変だったね。泉君も呼んでいるということは

一緒に話を聞かせても問題ないということかい?』

『はい。AA社の案件は泉と一緒に対応していたため、情報の共有が必要と考え

この場に呼びました』

『何か重々しい感じですが、昨日何があったのですか?』

西砂マネージャと泉に昨日の詳細と、その後警察署に任意同行された件を報告した。

『本当に大変だったね。AA社はなんて言っているの?』

『AA社の港様は我社への責任は無いと言ってくださってます。

港様の上司の反応を確認するためにも、本日も訪問したいと考えてます』

『それがよいね。午後にでも確認してきてね』

西砂マネージャとのやりとりを大人しく聞いていた泉は突然泣き出した。

『先輩、一歩間違えば死んじゃってたかもしれないんですよ。あまり無茶しないで

ください』

いきなり泣き出したのでビックリしたが、そんなに心配してくれて良い後輩を持ったと

思っていた。

泉が落ち着いた後に自席に戻った時に泉が

『先輩、今日の午後は私もついていきます』

と宣言されてしまった。

まあ、心配かけたし仕方がないだろう。



午後AA社に訪問すると、情報システム部の部屋はあらかた片付けられていた。

『立川さん、三日連続で訪問ありがとうございます』

『昨晩はご迷惑をおかけしました』

いつもの社交辞令のあと、AA社の状況を確認した。

『誰もケガもなく、壁に穴が開いただけなので、AA社では大事にしません。

また、当然御社への瑕疵は無いと判断しております』

『ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします』

『また、あのL2スイッチですが、あの後パケットロスが発生しなくなってます。

私の主観ですが、あの謎生物が影響していたのでは?なんて妄想してます』

『流石にそれはないでしょう』

なんてことを言っているが、実は俺もあの謎生物が影響していると考えていた。

確定ではないが、運動に関する情報だけを収集して力を蓄えている=

情報というパケットを食べることによりパケットロスが発生していたのでは?と。


とにかくこれで本件は一旦完了ということになった。

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