第4話

シューシューという音と共にウサギモドキは消滅した。

その瞬間、頭に色々な数字が浮かび上がった。

HP 15

MP 0

STR 24

ATK 24

VIT 15

DEF 12

INT 12

RES 5

DEX 8

AGI 16

LUK 30


何だこれ、ゲームの画面みたいだな。

俺が好きなゲームはFFだがそれに似ている。

『立川さん、怪我は無いですか?』

呆然としている俺に港様が話しかけてきた。

『ええ、大丈夫です。港様の頭に数字とか浮かびあがりましたか?』

『何言っているのですか?それよりこの状況はどうしましょうか』

頭に数字が浮かび上がっているのは俺だけのようだ。

『とりあえず警察でしょうか?』

港様は大事にしたくなさそうだが、壁に穴は開いてるし、

事務所がかなり散らかってしまっているので警察を呼ばないわけにいかないと思う。

『わかりました。上司に相談後、警察に連絡します』

と言って、あちこちに電話をかけ始めた。


俺も上司に報告しておかないと。

『もしもし、西砂マネージャですか。立川です。AA社で信じられない事が発生したので

今日は帰りが遅くなるかもしれません』

『いつも冷静な立川君がそんなに慌てるなんて何があったんだい?』

『詳細は明日報告させていただきますが、AA社で突然変な生き物が暴れて

事務所が滅茶滅茶になってしまい警察を呼ぶことになりそうです』

『それは大変だね。詳細は明日聞かせてね』

そういって電話切り、家族にも同じような説明をしたところでサイレンが聞こえてきた。

どうやら港様が警察に連絡したようだ。


『湾岸署の江東です。何があったか説明をお願いします』

パトカーから降りてきた警察官は説明を求めた。

私服ではなく、制服なんだな。なんて事を考えているうちに

港様が警察官に事情を説明した。

『信じられないですね。その生き物の痕跡は何か残ってないのですか?』

『何もありません。あ、壁に穴が開いてます。その生き物が角で開いた穴です』

任意同行ということで警察署で同じような説明をして解放されたのが

0時を過ぎた頃だった。

これじゃ家に帰れないな、なんてことを考えていたら突然声をかけられた。

『達人、玲さんに頼まれて迎えにきたわよ』

振り返ると、そこには幼馴染の錦姫美(ニシキ ヒメミ)が立っていた。

そばにはLのマークの高級車が停まっていた。


玲さんとは俺の母親の名前だ。

湾岸署と姫美が働いている会社は近いから母親が頼んだのだろう。

俺の知らないところでかなりの情報交換をされているらしい。

『悪いな、こんな時間なのに迎えにきてもらって』

『今日は遅くまで役員会議があったし、問題無いわ』

姫美は俺が働いている会社の親会社で役員をしている。

父親がその会社の設立者で1代で急成長させた。

それを小さい頃から見ていた姫美も実力で最年少役員として活躍している。

俺とは大違いだな。

『なんか大変だったみたいだけど、大丈夫なの?』

『ああ、怪我はないから心配しなくていいよ。』

『そうなの、雰囲気が違って見えるけど。気のせいかしらね。

実家まで送るわね』

といって、運転手に行き先を告げる。

『家に着くまで寝ていていいわよ』

今日はいろいろな事が起きたので、お言葉に甘えさせていただくことにした。

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