第14話
13時までに時間があるな。
俺は動きやすい格好に着替えた後、今日の身体調査で使用する持ち物を確認した。
まずはストップウォッチと、あとは久しぶりに使用するバットとグローブ、ボール。
『何か壊してもいいものってないの?タツがどのぐらいの攻撃力があるか
確認しておいた方がいいよ』
ショワからアドバイスをもらってけど何か都合よく壊せるものってるかな。
しかも外だからといって、大きな音が出るのはまずいよな。
これなんて良いじゃない。と指をさした先には
大量のテニスボールがあった。
使用しなくなったボールは捨てようと思ってたからこれでよいか。
実家の車を砂川口の駐車場に停める。
やはりここは空いていていいね。
桜も散って日曜だけど丁度人も落ち着いた時期かな。
駐車場を見ると、先日乗ったLのマークの高級車の他に
昭和記念公園の駐車場には不釣り合いな
女神のエンブレムの高級外車が停まっていた。
横目で見ながら目的地のこもれみの丘に行くと
姫美と泉が睨みあっていた。
美人系と可愛い系の芸能人にいてもおかしくないレベルの二人の睨みあいに
通り過ぎる子供がたまに、何しているの?なんて声をかけると
速攻母親らしき人が子供を連れ去っていく。
『二人とも、13時前なのに集まってくれてありがとう』
一触即発状態の二人に声をかける。
『いいのよ。二人で遊んだ思い出の地に呼んでくれたのだから
思わず早めにきてしまっただけよ』
公園に不釣り合いな今からパーティに出でもおかしくない、高級そうな紫の
ロングドレスにストレートの黒髪がとても似合っている。
『先輩、今日はお誘いありがとうございます。会社で言えない相談を聞きにきました』
いつも元気な泉も今日は会社での装いではなく、可愛いピンクのワンピースに
カーディガンを羽織って余所行きな服装である。
それに比べおれは動きやすさ重視といえジャージである。
明らかに二人に不釣り合いな恰好だ。
『ここだとチョット人が多いから、そこの木陰にいこう』
二人を促して進んでいくと、八王子と青梅が突然現れてついてきた。
『ここのベンチに二人とも座ってくれ』
ベンチに俺が持ってきたタオルをひきながら二人に進める。
『達人は座らないの?』
俺は二人の前で説明するため立つ必要があることと、
少し長くなるから二人には座って聞いて欲しいということを伝えた。
『そっちの二人ももっと近くにきてくれ、あと守秘義務契約は
結んでいると思うけどこれから話すことは他言無用で頼む』
八王子と青梅に声をかけて準備ができたところで、俺はこの4人にショワが
見えるように念じた。
その瞬間、八王子と青梅が臨戦態勢を取った。
『やめなさい八王子』、『青梅さんやめてください』
金曜日の再現のようなことを姫美と泉は口にした。
『ですがお嬢様、この生物は先日の物とも違い、私の命をかけても
お嬢様をお守りすることができません』
八王子が危機感を口にすると、
『達人がわたしに危害を加えるはずないでしょ』
窘めていた。
『ごめん。少し説明してから紹介すれば良かったな。この妖精みたいのは
ショワっていって昨日俺と契約?した俺の相棒だ』
そういうと4人はそれぞれ何言っているの?といった表情をした。
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