第7話

今日は金曜日か。泉と飯の約束をしているから

早めに上がれるように仕事を調整しないとな。

『先輩、今日のご飯楽しみしてますね』

『ああ、おしゃれなご飯屋なんて知らないから、とりあえず

個室タイプの居酒屋を席だけ予約しといたよ』

『え、個室なんて私を酔わそうとしても駄目ですよ。

酒の強さは親譲りでなので』

くだらないやりとりをしていたが、予定通り定時で上がることができた。


『先輩、なんでここに女狐じゃなくて錦さんがいるんですか』

俺と泉がそろって案内された個室に行くとそこには既に姫美が座っていた。

『あら奇遇ね。今日は飲みたいと思っていた気分なの』

奇遇というか、俺が予約した場所をなぜ知っている。

もしかして俺のスマホは盗聴されているのか。

『そんな事はしないは、玲さんに聞いたのよ』

ナチュラルに人の思考読むのを辞めてほしい。

『まあ来てしまったものは仕方がない。この前送ってもらったし一緒に飲むか』

『えー、今日は先輩と二人っきりで飲めると楽しみにしていたのに』

泉には悪いことをしたが、後でフォローしておけば良いだろう。

『個室っていっても4人席タイプだから、女子二人で並んだ方がいいだろう。

俺と並ぶと狭いしな』

『あら、そんな事気にしなくていいわよ。いつも通り私が隣に行ってあげる』

『何を言っているのですか。今日は私とご飯の約束をしていたので、私が隣です』

二人して言い争いを初めてしまったので、やはりここは俺が一人席だな。

やっとファーストドリンクが来た。

『まずは泉、AA社のお仕事お疲れさまでした』

『ありがとうございます先輩。次の仕事も二人三脚で頑張りましょう』

姫美は面白くなさそうだ。お前はもっと大きな仕事をしているだろう。

『達人はそろそろうちに転社しなさい』

酔っぱらっているのか、姫美が変なことを言い出した。

『何を言っているのか分からないが俺はネットワークが絡む仕事をしたいんだ』

何度か言っていることを再度口にした。

姫美となぜか泉も不満げな顔をしている。

俺はネットワーク機器を触っているのが好きなんだ。


少し酔いが回ってきたのでいい時間だし今日はこの辺でお開きにしようと

会計ボタンをタブレットで押しても反応しない。

これはこの店の無線LANで障害がでているのか?

なんてことを考えていたら、突然店に悲鳴が響き渡った。

『きゃあー』

それを聞いた瞬間個室のドアを開けると、そこには二人の黒服が立っており

お互いを牽制していた。

『八王子辞めなさい』、『青梅さん大丈夫ですよ』

と、姫美と泉がそれぞれ口にした。

『この悲鳴の原因は?』

姫美が八王子と呼ばれた男に確認した。

『突然店にコウモリのような生き物が飛んできて一人の女性に噛みついてます』

こんな都心の店にコウモリ?とみんな不思議に感じたところで

いきなり木刀のような物を持った女子高生が乱入してきた。

『一般人は下がってなさい』

3匹いたコウモリのうち2匹はあっという間に女子高生によって倒されたが

残りの1匹はこの前のウサギモドキのように俺の突っ込んできた。

『危ない』

と女子高生が叫んでいたが、この前のウサギモドキを倒してから

やけに体の調子がいい。このコウモリも止まって見えるぐらいだ。

そのため俺の目の前に着た瞬間、蚊を殺す要領で両手で叩いた。

『え、素手で神威を』

なんか女子高生がつぶやいたが俺はこの前のウサギモドキと同様に

頭の中で数字の羅列がでてきたことに気を取られていた。

HP20

MP1

STR30

ATK30

VIT20

DEF15

INT13

RES6

DEX10

AGI20

LUK30

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