『仕事に行きたくない』
小田舵木
『仕事に行きたくない』
時間が無いが筆を執る。そして書きたいことは一つしか無い。
仕事に行きたくない。
恐らくは万人が平日の朝に思うであろう事である。
こと、連休の
まったく、寝起きの憂鬱というのは厄介である。
寝ぼけた頭に強い思いがある。反証する前にその感情に囚われるのは必然である。
まず、単純に。面倒くさい。
昨日まではボンヤリと朝を過ごしていて、なんなら二度寝が出来たというのに。
今日は。無粋な目覚ましに起こされて。決まった時刻までに会社に行かなくてはならない。
ああ、憂鬱だ。
仕事を控えた朝のメシは不味い。
何を食おうが味がしないのだ。それをエナジードリンクで無理やり流し込む。
メシを食えば。身支度を整えなくてはならない。
これもまた面倒臭い。私は男なので大した準備は無いが―それでも面倒くさい。
一段落着くと。
そこから地獄の待ち時間が発生する。
「仕事行きたくねえなあ」とか思いながら、出勤までの時間を潰さなくてはならない。
私は今。その地獄の待ち時間に筆を執っている。
何かをせずにはいられなかったのだ。
しかし、だ。筆を執ったは良いが、書きたいテーマが出てこなかった。
出勤前に脳天気なエッセイでも書いて気分転換をしようと思ったのに。
こんなエッセイを書いてしまっている。後悔しても遅い。もう540文字、原稿用紙1枚強の文章を書いちまっている。
いや。今日はまだ、マシな日なのかも知れない。
いつもなら。文章を書いてる暇さえない。中途半端に時間が余る。
どうしようもないからスマホを弄るが。アホなサイトを見ていても仕事の事で頭が一杯になってしまう。
何故、出勤前に仕事の事を考えなくてはいかんのか。
しかしだ。人間、一日の概観のような事を考えながら朝を過ごすもんで。
今日に限って言えば。一日の大半を仕事をして過ごす訳だ。自然と仕事を想起せずにはいられない。
仕事ってヤツは楽しくない。
いや、楽しいって方も居られるだろうが、私に限って言えば苦痛そのものだ。
私はまだ、入って早々の新入社員である。右も左も分からん。それが苦痛の度合いを高める。
人が忙しく働いている中で。何も分からず立ち尽くすあの苦痛よ。
いい歳こいた大人なのに。何も役立てないあの苦痛よ。
何をしていても何をしているのか分からない苦痛よ。
ああ。出勤前に無駄に憂鬱になってしまった。
それもこれも、こんな文章を書いたせいである。
だが。文章書きというのは厄介な生き物で。こういう風に自分の感情を文章に
あと、30分もしたら家を出なくてはいけない。考えるだけで憂鬱だ。
仕事の事を考えながら歩く道ってのは、苦痛だ。あの道がすっかり嫌いになってしまった。
そろそろ時間がない。
無駄にボヤくのは止めよう。
だが。どう希望を持てというのか。
まあ?今は連休の間である。2、3日働けば、また休みである。
しかし。カネの無い私は連休にも別のバイトを入れている。休みはかなり削れる。
希望などないのだ。
絶望しながら仕事にいくしかない。
カネを稼ぐためという大義名分がなければ。こんな事はしたくないのだが。
ま。仕方あるまい。
黙って仕事に行くしかない…
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