『焦る負け組』

 眠れない。6日の仕事を経ての休日を迎えた夜。本当はぐっすり寝てしまいたいが、目が冴えている。

 日中のカフェインの過剰摂取のせいだろうか?おそらくはイエス。

 さっさと睡眠薬を飲んでしまえば、そのうち寝られる。

 だが、俺は今、エナジードリンクを飲んだ。

 家の冷蔵庫にある適当な飲み物がそれしかなかったからだ…というのは嘘で。

 焦りがあるからだ。文章を書きたい。漠然とした思い。

 先週はエッセイを含め文章を書いていない。忙しかったからだ。

 一週間文章を書いていないとなまる。実際、キーボードのタイピングがおぼつかない。

 それに。文章の転がし方も分からなくなっている。このエッセイの書き出しから全て拙い。

 

 ああ。アイデアもないのに。

 文章を書きたいという思いばかりが先行している。

 仕事をしていても、全然手につかない。どんな文章を書こうか悩んでいる。

 なんとなく、『負け組の文学』を書いてみたいと考えていたのだが。

 そもそも『負け組の文学』とは何か?それが分からない。しかし、このワードが頭を占領してしまっている。

 

 俺は所謂、『負け組』であり、『弱者男性』であり、『落伍者』である。

 この属性を使って、フィクションを作りたい訳だ。

 しかし。裸のままの俺で描いてしまうと、それは私小説寄りのモノになる。

 それは詰まらないモノだろうし、フィクションとしては拙い。

 ひと捻りが必要な訳だ。そのひと捻りが降りてこない。

 こういう時はアイデアを寝かせてしまう手もあるが―鉄は熱い内に、という言葉もある。

 

 困ったモノだ。

 アイデアが毒のように体を蝕んでいるのだ。お陰で貴重な休みの頭を寝不足で過ごそうとしている。

 かと言って、今、良いモノを創れるかと言えば、自信がない。

 気持ちばかりが先行しているからだ。こういう時は大抵、駄作を創ってしまうのが俺で。

 エッセイで頭を冷やそうかと思って、キーボードを叩いているのだが…まったく落ち着かない。この文章並に落ち着きがない。

 

 焦り。欲求。疲労感。

 この3つが渦巻いているのが今の俺だ。

 焦りと欲求。こいつらは文章を書いてしまえば。作品を創ってしまえば。解消できるかも知れない。

 しかし。疲労感は寝ないと解消出来ない。

 

 いや。疲労した状態でしか書けない文章もあるかも知れない。

 いくらフィクションと言えども、書く時は魂を込めなければ、それらしい文章は書けない。

 俺は『負け組の文学』を志向している。負け組ってのはいつでも疲れ果てているものだ。

 ならば。今がチャンスなのかも知れない。疲れたキャラを産み出すチャンス。

 だけどなあ。頭がふやけているのも事実で。今、無理して書いたら、後で後悔する出来のモノができるかも知れない。

 

 …なんて。

 ウダウダ悩む前に書き出した方が良いのかもな。

 うん。このエッセイはここで打ち切ろう。

 とりあえず、寝不足気味の頭で捻り出せる作品を書いて。

 さっさと寝ちまおう。

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