第14話:猛特訓

(ホノカ視点)


 先日起きたハプニング対策で俺や兵士達の訓練がハードになっている。


 朝起きたら父上と兵士達と一緒に領内の走り込みをした。

 俺と父上は大丈夫だが、ドノンを含む兵士達は疲労で倒れていた。

 それでも皆んなは立ち上がって、訓練をしていた。


 午後から「魔剣使い」として訓練を開始する。

 更に明日は魔法の特訓らしい。


 今日はユーガも母上と一緒に俺の訓練を見に来ている。

 因みにマルタもいる。


「にいしゃま〜」


 ユーガに手を振られたので振り返す。


「こらホノカ、よそ見するな」


「す、すみません」


 父上に怒られた。

 しょうがないだろ!可愛い弟に手を振られた振り返すだろ!


「とうしゃま〜」


「ユーガ〜」


 …


「…オッホン、えーとだな…」


「父上?」


「ンン…すまない…」


「はい」


 そうだよね?俺の事を怒っておいて自分は許されるなんて変だよな?


「今日は実戦に近い闘いをするぞ」


 エレンと若い兵士が前に出てきた。


「ホノカ、今からお前はエレンと闘う。その間にお前に石を投げる。」


「剣も木剣ではなく、刃を潰した剣を使う。準備はいいか?」


「はい!」


 俺が返事をするとエレン達が構える。


「ドノン」


「始め!」


ガキン


(エレン「重い!子供の一撃じゃない!」)


 んー、どんぐらいで倒せばいいのかな?

 身体に五撃入れたでいいかな?


 一旦距離を取ったな、逃がさないよ。


「ちっ…」


 舌打ちするなよ…


 あ、石きた。


スパン、スパン、スパン

 

 最初から同時に投げてもらってもいいのに。


ガキン


 エレンには悪いけど、遅いんだよね。


「はぁ、はぁ」


 もう息切れしてる。


 また。


スパパン、スパン、


 お、まだくる。


スパパン

 

 この程度意味無い。


「うそだろ」


 これくらいで驚かれても嬉しくないな。


ガキン


 連携の練度がなっていないな。


 剣が離れてから石を投げる。

 石を投げ終わってから剣で攻撃。

 

 今日初めてって感じで、練度が低いせいで攻撃に意外性がない。


「エレン」


 父上が目でエレンに指示を出したな。


「“身体強化・活”」


 強化スキルの許可か。


「おおおおおおお」


ガキン、ガキン、ガキン、ガキン、ガキン


 んー、剣の連撃は増えたけど、投石の攻撃が減って、攻撃回数は変わってない…

 攻撃密度は増えてるから、まだマシか?


 「ふっ、ふっ…」


 疲れているエレンに申し訳ないし、もう決めるか…


シュン


「どこ…」


ドン、ガン


 エレンの腹を剣圧で石をぶつけ、トドメでエレンの顎をまた剣圧で石をぶつけて終わりだ。


「うっ…」


バタン


「そ、そこまで!」


 ドノンが試合終了の掛け声をする。


「ホノカ、疲れたか?」


 父上が労ってくれた。


「大丈夫です!」


「そ、そうか…」


 父上だけじゃなくて、ドノン達も引いているな。


 やり過ぎたか?

 でもこれ以下にしたら、逆に手加減する隙が無くなるんだよな…


 あ、エレンが担がれて運ばれていく。


「スキルは何か覚えれたか?」


 え?


「し「身体強化」を覚えれました!」


 あ、ミスった。

 急にスキルの話するんだもん…無理だよ…

 条件満たしていないのにそんなポンポンスキル習得できるわけないのに…


「意外と少ないな」


 へ?


「あれだけ動いていれば、「縮地」や「跳躍」のスキルを覚えてもおかしくないのに…」


 この世界ではスキルを覚えやすいのか?


「「魔剣使い」はスキルの経験値が多く必要とするのか?」ボソ


 その仮説はない。と思うけど…


 というかスキルはもう沢山習得しているからな。


 エクストラスキルは15個、

「全武器術」Lv.MAX

「全主属性魔法」Lv.MAX

「全副属性魔法」Lv.MAX

「全遁術」Lv.MAX

「全属性耐性」Lv.MAX

「状態異常耐性」Lv.MAX

「即死耐性」Lv.MAX

「精神干渉耐性」Lv.MAX

「時空停止耐性」Lv.MAX

「職業変更」Lv.MAX

「法術作成」Lv.MAX

「HP自動回復」Lv.MAX

「EP回復促進」Lv.MAX

「VIT減少量軽減」Lv.MAX

「巨大化」

 こんな感じで…

 エクストラスキルはコモンスキルが合体したスキルやクエストをクリアしたら貰えるスキルだ。


 そしてコモンスキルは50個で、

「身体強化」Lv.MAX「硬化」Lv.MAX

「跳躍」Lv.MAX「威圧」Lv.MAX

「回避」Lv.MAX「縮地」Lv.MAX

「体術」Lv.MAX「盾術」Lv.MAX

「索敵」Lv.MAX「感知」Lv.MAX

「隠密」Lv.MAX

「追跡」Lv.MAX「索敵」Lv.MAX

「テイム」Lv.MAX「波動」Lv.MAX

「闘魂術」Lv.MAX「気功術」Lv.MAX

「多重詠唱」Lv.MAX「高速詠唱」Lv.MAX 「無詠唱」Lv.MAX

「双印」Lv.MAX「印省略化」Lv.MAX

etc…


 こんな感じ、

 戦闘系のスキルはこの通りほぼ揃えてるからな…

 生産系も殆ど揃えてるからな。


「ホノカ」


「はい」


 まだやるのか?

 次ので二つくらい増えたことにするか…


「今日からお前は一人で訓練しなさい」


 え?


「お前はもう既にかなり強い。兵士達の訓練ではお前の成長速度には合わない」


 成る程…


「あと訓練場所はトゥースの森で訓練しなさい。あそこの動物やモンスターならいい訓練相手になる筈だ」


 トゥースの森ってこのネンコ村のすぐそこにある森だよな。


「クーガ!じゃなくて領主様!

トゥースの森は大牙山おおきばやまに近いんだぞ!

ホノカ様が強いからってあそこは危な過ぎる!」


 ドノンが本気怒ってる。

 ドノンのこんな顔初めて見た…


 そんなドノンに怒気を向けられた父上は至って冷静だ。


「わかっている。だからホノカ、決して山に行ってはいけないよ」


「は、はい」


 ドノンはまだ納得していないようだ。


「領主様、あんたが一番わかっているはずだ…あの山ヤバさを…」


「これは決定事項だ…ホノカなら大丈夫だ」


 父上に説得されるドノンは一瞬を俺を見た。


「…続きは夜だ」


「あぁ」


 まだまだ納得していないようだ。


 大牙山か…聞いたことな…

 此処らへんで危ないっていったら洞窟のダンジョンだと思うけど…でもこのダンジョンもきっとレベル低いよな?

 もしかして…アレのことか?


 俺が不思議に思っていると、父上が頭を撫でてくれた。


「ホノカ、山の事はあとで説明してあげるからな…」


「はい、わかりました」


 母上が来てくれた。

 ユーガはお眠りのようだ。


「ホノカ、大丈夫ですか?」


 母上が凄い心配した顔をしている。

 いつもは飛び跳ねながら喜ぶのに…具合悪いのか?


「はい!訓練もまだまだ出来ますよ!」


「本当ですか?何処か痛い…苦しい所はありませんか?」


「?、無いですよ!この通り元気です!」


 母上を安心させる為にサムズアップしてみた。


 そうしたら少し笑ってくれた。


「ふふ、よかった…本当によかった…」


 母上は抱えたユーガごと、俺を抱きしめる。

 俺は母上を抱きしめ返す。


 今は何故かその抱擁を子供らしく受け入れれた気がする。

 

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