第22話:ピクニック
(ホノカ視点)
今日は家族でピクニックすることになった。
場所はネンコ村とニャロ村の間にある花畑。
家族で団欒なんて久しぶりだ。
最近はずっと忙しかったからな〜。
手加減の練習したり、モンスター育成したり、モンスター狩ったりとバタバタしていたからな。
「ホノカ、準備した?」
「にいしゃま、まだ〜?」
母上とユーガが急かしにきた。
部屋の前じゃなく階段から話してるな。
「今行きます!」
「早くするのよ」
「はやく〜」
「行くぞ、ウル四郎」
「わん!」
部屋を出て、玄関にはおらず、外で馬と一緒に待っていた。
兵士6人が護衛として一緒に行く。
「おいで、ホノカ」
「お願いします、父上」
俺は父上と一緒に騎乗して、ユーガは母上と一緒に騎乗している。
皆んなの騎乗が完了する。
「では、向かうぞ!」
父上の掛け声により馬が一斉に発進する。
まるで騎馬隊だ。
「ホノカ大丈夫か?」
「大丈夫です!むしろ楽しいです」
俺がこう返すと父上は嬉しそうに笑った。
「はやい、はやい」
ユーガも楽しそうだ。
「わん!わん!」
ウル四郎はしっかりと付いて来ている。
俺が乗っていてる馬と並走して楽しそうだ。
「では少しスピードを上げるぞ」
父上が馬のスピードを上げる。
「負けないわよ」
母上も上げる。
もの10分くらいで花畑に着いてしまった。
(ネタタビの園)
此処に初めて来たな。
馬から降りた若い兵士が父上の元に来た。
「我々はあたりで護衛しております」
「頼む、何かあったら報せてくれ」
「はっ」
若い兵士は馬に乗ってどっかにいった。
母上は兵士達が行くと花畑に寝転がった。
「あー!気持ちいい!」
「わー!」
ユーガも一緒になって寝転がった。
「それー!」
父上まで寝転がった。
ん?三人して俺を見てくる。
「おいで」
「にいしゃま、おいで〜」
父上とユーガが俺も来るように促されてしまった。
「え?」
行きたいけど…恥ずかしいような…
俺が迷ってると母上が起き上がって手を広げる。
「ホノカ、来なさい」
すると父上とユーガも一緒に手を広げる。
「来い!」「こいい!」
もう行くしかない。
「はい」
そうだよな。俺は二人の子供だもんな。
恥ずかしがることない!
三人が怪我しないようにソッと…
二人の腕に飛び込む!
ボフン
「「「「あはははは」」」」
楽しい…
良い匂いだ。
花の匂いもそうだけど…外なのに家族の匂いが充満している。
「幸せだ」
「えぇ、そうね」
本当にそうだ。
「ホノカ」
「何ですか?父上」
「ホノカは将来やりたいことはあるか?」
急になんだ?
今のところ、特にないな…
この世界の神を攻略するのも一瞬だけ考えてたけど、邪神と戦って、弱まったのが定説らしいし、出来たとしても神と闘いなんて…この世界の信徒さん達に怒られそう…
そうだな…
「家族と…この領内を守れように賢く、強い立派な貴族になりたいです」
あら?なりたいことを言ってしまった。
「お前ならなれるよ…間違いなく」
「えぇ…そうね。ホノカならなれるわ」
父上は俺に微笑み、母上は涙目になりながら微笑んで俺の夢を肯定してくれた。
そんなに嬉しかった?
「ぼくも!ぼくも!」
ユーガも聞いて欲しそうに手を上げる。
そして父上が今度はユーガに聞く。
「ユーガは将来何をやりたい?」
「ユーガはにいしゃまとおなじくらい、つよくなりたい!」
俺の所為でユーガもなりたいことを言ってしまった。
「ふふ、あぁユーガもなれるよ」
「ユーガもなれるわ」
二人ともユーガのこと撫でて笑っている。
ユーガは褒められて嬉しそうだ。
「ホノカとユーガの良い話も聞けたし、そろそろお昼にしましょ」
母上はピクニックバスケットを持ち上げた。
中身はおにぎりか。
うちの先祖は伊の大陸出身らしいからな。こういうときはおにぎりなのか。
「「「「いただきます」」」
前世のおにぎりと比べると…美味しく…微妙…だ…
ユーガは満面の笑みで喜んでいる。
「おいしいね!」
「そうだね、美味しいね」
のんびりとご飯を食べ、食い終わった母上が立ち上がる。
「ご飯も食べたし、遊びましょ!」
「「え?」」「あそぶー!」
「私が追いかけるから皆んなで逃げなさい!」
母上が急に鬼ごっこを開始した。
ユーガは早々に捕まったけど、母上と一緒に俺たちを追いかけてきた。
楽しそうに笑ってる。
「まて、まてー」
母上にタッチされた父上が鬼なったり、ユーガにタッチされた俺が鬼になったりと楽しい時間を過ごした。
こうして楽しい時間は過ぎていき、帰ることになった。
母上は疲れたのか、父上と…てか家族全員で同じ馬に乗っている。
だからゆっくり帰っている。ユーガはぐっすり寝ている。
「ホノカ…」
「?」
「私もお前達家族と領を守れるように頑張るからな…」
「…父上はもう充分頑張っていますよ」
「ええ…貴方は凄い頑張ってる…これからも頑張ってね」
「二人ともありがとう…」
◇
(グレンダの部屋)
グレンダはしゃがみ込み、更に咳をする。
ゴホ、ゴホゴホ、カハ
「とうとう…」
咳を押さえたグレンダの手には血がついていた。
グレンダは血のついた手をハンカチで拭き、そのハンカチを自分の机にしまう。
グレンダは息を整えてから、クーガの書斎に向かう。
書斎に着くと扉を叩く。
コンコン
「入ってくれ」
「入ります」
グレンダが入るとクーガは仕事の手を止めて、立っていた。
グレンダは部屋に他に誰もいないことを確認する。
「グレンダ、どうしたんだ?」
クーガの質問にグレンダは笑顔で答える。
「お願いがあるの」
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