第15話:召喚

(ホノカ視点)


 今、マルタの授業を外で受けている。

 父上は兵士達の訓練をしている。

 母上はユーガと知育玩具でお遊び中だ。


「魔法の属性は家系でほとんどが決まります。勿論例外もあります、それは上位種による「加護」によるものが殆どです」


 ほー…上位種って、龍族とか妖精族とかのことか?

 後で聞こ。


「稀に親族とは全く違う属性の者が産まれます。この場合には二つ場合があります。

一つは片方もしくは両方の親が魔法を使えないが属性が実は有った場合、

もう一つは浮気により属性が違うかです。

このどちらかを見極める方法は髪色、耳紋、魔力鑑定があります。」


 ほう…てことは俺は調べるまでも無いな!

 母上にそっくりの顔、父上にそっくりな髪色。

 でも…俺の属性はどうしよ?

 

 父上は炎のみ、母上は回復、弟のユーガは炎、風の二種。風は父上と母上の両方の家系にいたらしい。

 ユーガの属性が何故わかるかというと、「職業変更」のスキルで見れた。

 実際には職業は変更していないけどな。


「ホノカ様、復習です。

主属性と副属性はわかりますか?」


「はい。主属性は炎、水、風、土、雷などの属性をいいます。

副属性は空間、時間、付与、回復、死霊などの属性をいいます」


「よくできました。

私の職業ですが主属性の水と風の魔導士ですが、氷の魔法扱えます。

そして付与魔法の適正が低くても主属性が使えるなら武器に主属性を付与する事ができます。

今日は私の魔法見せながらホノカ様の魔法属性を調べていきます」


 どうしよう、この国の最大の属性6つはやりすぎかな?

 でも魔剣使いの最低の4つだと選べないな…

 焦って、属性を決めて、あとで必要な事態になったときに困るよな…


「私が詠唱したら、それを復唱してください。いいですか?」


「はい」


「我が力よ、

風を玉にせよ

風魔法 ウインドボール」


「我が力よ、

風を玉にせよ

風魔法 ウインドボール」


「見事です。その風球は的に適当に打ってください」


「わかりました」


 的を壊さない為に、的に当たり前に石で風球を吹き飛ばし、微風だけが的にかかる。


バン


「凄いですね。的に一発で命中…

それでは続けていきますね」


 驚いているけど、変に的から外して魔法に石をぶつけれないと大惨事になるのでこれでいい。


 それから俺は魔法を調べてるフリをして、何とか7つに決めることができた。


 決まった属性は炎、風、土、雷、影、付与、回復の7つにした。


「全て、コントロールが完璧…」


 的も無事で本当に完璧だ。


「ホノカ様、先程から魔法を使用していますが身体に異常はありませんか?」


「少し眩暈がします」


 本当は何ともないけど、疲れていないと怪しまれる。

 魔力欠乏症?とかいう魔法の熱中症みたいなやつの初期症状が眩暈らしい。

 この世界はEP《エネルギー》がゼロでも魔法が撃て、でも撃ってしまうと死んでしまうらしい。


「そうですか、では今日の魔法の訓練はここまでにしましょう」


「わかりました」


 授業がまた早めに終わってしまった。

 巻きでやりすぎたな。


 授業も休みみたいなので暇だ。

 

 マルタにちょっと森を見に行くと言って出てきた。

 だから森に行って、召喚魔法を使おうと思う。

 召喚魔法を7つの魔法に何故選んでないかというと俺のテイムしたモンスターを召喚したら大パニックなるからだ。


 でも誰も見てないところで召喚すればいいだけだし、この前みたいなハプニングがあったときににサポートしてくれるモンスターがいれば安心して闘える。


 だから今うちにテイムしたモンスターを召喚して、一部をこのトライーガ領内に住まわせておこうと考えた。


 テイムできるモンスターは最大100体までだ。

 俺がテイムしているのはたった10体だ。

 その中には「ミソクリ」屈指の神獣が3体も含まれている。

 何で神獣を3体もテイム出来ているかというと、一体は以前所属パーティのメンバーが引退したとき、俺にテイム権限を譲渡してもらった。

 残り2体は今のパーティで協力してテイムした。権限は相談して、俺に譲ってもらった。


 皆んな神獣を目当てに狙われるのが嫌だったり、テイムしたモンスターとシリーズが合わなかったりと色々理由があった。


 そしてそのテイムした神獣とモンスターがコイツらだ。


「神狼 フェンリル」name.コギ丸

Lv.100,000,000(カンスト)

 コイツは神獣随一のスピードを持ち、索敵に優れ、仲間を強化することもできる。

 コギ丸は俺の爺さんが飼っていた犬の名前だ。

 あいつが元気かな…


「不死鳥 フェニックス」name.イグニス Lv.100,000,000

 コイツは神獣のなかで、ステータスの平均値が低いがHPとMPが一番多く、更にフェニックスの炎は最高位のポーションと同じ効果を持つため、コイツは最強の超耐久サポートだ。


「王獣 グリフォン」name.オラージュ

Lv.100,000,000

 コイツは法術が風のみだけど、全ステータスが高く、敵を弱体化させるスキルも豊富に揃えてある。

 屈指のアタッカーだ。


「黒竜 バハームト」name. シュヴルツ

Lv.1,000,000(カンスト)

 ゲーム中に6体しか存在しない、神龍に生み出されしワイバーンのうちの1体で四対の翼を持ち、飛行、遊泳に優れ戦えない場所はない。


「黄竜 麒麟」name.黄華

Lv.1,000,000

 同じくゲーム中に6体しか存在しないワイバーンのうちの1体。

 翼はなく、空を駆ける。あらゆる天候に順応し、属性耐性、状態異常耐性にも優れている。


「キングアーマインセクター」name.カブ五郎 Lv.1,000,000(カンスト)

 バロンアーマインセクターの最終進化系で個人的に神獣を除くモンスターで一番テイム難易度が高いモンスターだ。

カブトムシのような見た目をしている。


 神獣とモンスターはカンストするレベルが違う。

 ゲームの設定とパワーバランスが理由だ。


「ジェネラルウルフ」name.ウル四郎

Lv.1,000,000

 ソルジャーウルフの最終進化系でソルジャーウルフの幼体がハスキーみたいで可愛いからテイムした。


「エンジニアオーク」name.トン三郎

Lv.1,000,000

 オークの分岐進化系。鍛冶スキルを覚えさせると進化可能になり、ソロのときに鍛冶の手伝いをしてもらっていた。


「稲荷神」name.コン次郎

Lv.1,000,000

 化狐の最終進化系。

 テイムスキルをレベルupするためにテイムしたモンスターだ。


「茶釜狸」name.タヌ太郎

Lv.1,000,000

 化狸の最終進化系。

 コイツもテイムスキルをレベルupするためにテイムしたモンスターだ。



 以上この十体が俺の「テイムモンスター」だ。

 この世界では「従魔」と呼ぶらしい。


 戦力になるのは神獣三体だけだ。

 最高位ワイバーンですらゲームではサポーターの代わりにしかならない。


 「ミソクリ」ではソロプレイは勿論楽しめるが、中盤だけだ。

 終盤になって「無の大陸」ではとサポート効果を有するモンスターを30体は必要だ。

 アップデートがあるまでテイムできる数は10体までだった。

 100体になってからやっと真面にソロプレイができるようになった。

 神獣は一体でもいれば戦力としては十二分だ。


 まぁ、厄介なこともある。

 神獣はテイムするとカンストしてあるレベルが半減してしまう。

 他にもゲームの進行上一体しか存在しないし、連れて歩くことができないうえにプレイヤーが神獣に挑戦しているときは召喚できない。


 モンスターにそういうのは特にない。


 この世界なら神獣はもちろん最終進化したモンスター達はかなり強い。

 俺のテイムモンスターがいればなんとかなる。


 早速召喚してみよう!

 まずはグリフォンのオラージュを召喚しようと思う。


「召喚神法術“神獣召喚・オラージュ”!」


シーン


 あれ?


「召喚神法術“神獣召喚・オラージュ”!」


シーン


 え?なんで?

 この世界の水準なら神獣に挑めないと思うんだけど…


「“神獣召喚・オラージュ”

“神獣召喚・オラージュ”!!」


 嘘だろ?

 何で召喚できないんだ?

 やっぱ誰か挑戦中なのか?

 じゃあ今度はフェニックスのイグニスを!


「召喚神法術“神獣召喚・イグニス”!」


シーン


 イグニスも駄目?じゃ、じゃあ次は…


 結果はあまり良くなかった…


 神獣と一個体しかいないのモンスターが召喚できなかった。


 召喚出来たのは個体が複数存在するモンスターだけだった。だが…


 だが…はぁ…

 だが召喚出来たのに、レベル1、スキル無し…しかもなんか産まれたてっぽい。


「くぅ〜ん」「こん」「ぷご」

「へっへっへ」「きゃしゃ」


 全員見たことない幼体、赤ちゃんって感じだ。


「よしよし」


 はぁ…レベルupにスキル習得大変なんだよな〜…


ぺろ


 茶釜狸のタヌ太郎が心配してほっぺを舐めてくれた。


 そうだな。


 悪いことがあると落ち込んで悩むのは俺の悪い癖だ。

 レベル、スキルは初期化してしまっているが、進化した状態ならある程度は楽な筈だ。


「ありがとう。タヌ太郎」


「くん!」


 幼体だから茶釜も蓋だけでちっちゃくもこもこしてる。


「もこもこして可愛いな」


ガブ


「いて」


 コン次郎がタヌ太郎を撫でてる右手を噛んできた。


ぷい


 ヤキモチだな。可愛い奴め。


「よしよし、おまえも可愛いぞ。コン次郎」


ぷい


「ほらおいで」


 座って膝くるように促す。


「こん…」


「怒ってないからほら…」


ぺろぺろ


 俺の膝に来るかと思ったが、俺噛んだ右手を舐め初めた。


「ははは、優しいなコン次郎」


ブーン、スタ


 待ち切れなくなったのかカブ五郎が俺の頭に乗ってくた。


「すぴーすぴー」


 あれ?甘えたかったんじゃないの?

ま、いっか…って?!


 タヌ太郎とウル四郎がおれの膝で寝てる!いつのまに…


「ぷご」


 トン三郎が御座りして待機してる。

 偉いな。

 オークの幼体はイボイノシシみたいな見た目だけどこいつは完全に見た目がうりぼうだ。

 「ミソクリ」のオークは大人になるにつれ人型になっていく。

 設定だとイノシシや豚に子供を紛れ込ませて、敵対種族から守るためだったかな?


 「ミソクリ」でのトン三郎は巨人の腰の位置くらい大きい。


「ほら。ご飯だ。今はこれで勘弁してくれよ」


 アイテムボックスから牛乳を取り出し木皿に移して飲ませる。


「くん!」「こん!」「ぷご!」「わん!」


 待機していたトン三郎、俺に撫でれてたコン次郎と寝てた二体は起きて牛乳を飲むが、カブ五郎は寝てる。

 樹液がいいのか?普通のカブトムシの幼虫は何を食べるだろう?

 ちなみにバロンアーマインセクターは幼体のときから成虫の姿をしている。


 んーとりあえず果物ゼリーでいいかな?


「ほら」


もちゃもちゃ


 頭に乗った状態で手にゼリーを置いて、カブ五郎に食べさせてみたら食べてる。

 この食べさせ方大変だな。


 今日はもう日が落ちてきたな…

 コイツらの育成は明日からだな。

 俺の訓練が終わり次第、コイツらの育成をやっていこう。


 あとは待機場所か…

 レベルを上げてないから、やっぱり家に置かないとな…

 少しこの森で待機してもらって、家に着いてから召喚しなおすか…

 これなら召喚魔法も使えることにしとけばよかったな…


「お前ら」


「くん!」「こん!」「ぷご!」「わん!」「きゃしゃ」


「ちょっとだけ此処に待機していてくれ、俺が家に着いたらすぐ召喚するからな。」


「くん!」「こん!」「ぷご!」「わん!」「きゃしゃ」


 わかってくれたみたいだな。


「じゃあまたな」


 俺はテイムモンスター、従魔達を置いて家に帰る。


 家に帰ると父上が邸の前で待ってくれていた。


「ただいま帰りました」


「おかえりホノカ。

…身体は大丈夫か?」


「はい、遅くなってごめんなさい」


「大丈夫、怒っていないよ。マルタから森に行くと聞いていたから気にしなくていいよ。

何よりお前くらいの歳は元気と体力あるなら遊んでいいだ」


 父上は俺を抱っこしてくれた。


「だから森は楽しかったようで良かったよ」


 へ?


「可愛い狼だ」


 は「は!?」


 ウル四郎何で此処にいる!??


「珍しい毛並みの狼だな」


 父上がウル四郎を撫でる。

 ウル四郎は嬉しそうに撫でられている。


「どうしたの?」


 母上までユーガを連れて来た。


「あら可愛い狼」


「ホノカが森から連れて帰ってきたようだ」


「そうなの?」


「え、いや…」


「ちゃんと面倒見れる?」


「はい!、…」


「わんわ〜ん」


 ユーガも気にいってしまった…

 別に悪くないけど…


「名前はどうするんだ?」


「…ウル四郎です」


「ウルシロウか、良い名だな」


「よろしくね、ウルシロウちゃん」


 ウル四郎、お前は明日のレベル上げは厳しくするからな。

 目でウル四郎に忠告するが…


「わん!」


 コイツ、絶対にわかっていない…

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