第25話奮闘と陰謀

 昨日あった事件を聞きつけ、トライーガ領内の村からモンスターとの戦闘経験が豊富な狩人や元冒険者が集まった。

その数12名だ。

 これで戦力は40名となった。


 作戦内容に変更はなく、40名が集まってから戦闘を行うことになってる。

 そして今は作戦の確認と士気をあげるためにクーガが演説を行っていた。


「皆もの、まず感謝する。未知のモンスターと闘うことは危険だ。しかし君たちは恐れずこの作戦に参加してくれること感謝する。

次に未知のモンスターと闘うことで報酬に目が曇り、作戦の無視は絶対に許さん。

最後に絶対に我々で勝利を手にするぞ!!!!」


「「「おーーー!!!!」」」


「ここからは私が班のメンバーの発表と作戦の確認をする。領主様が指揮をする第一班からだ。呼ばれたものは返事をするように、兵士隊 フキン」


 呼ばれた者達は前に出ていく。


「はい!」


「同じく兵士隊 エオル」


「はい!」


「ネンコ村 カイズ」


「おう!」


(十数分後)


 点呼は暫く続きやっと最後の二人へとなった。


「ミャン村 ヤーカ」


「はい!」


「ニャロ村 ヴァイロウ」


「うっす」


「以上第四班12名となる。ではそれぞれの班長に従うように」


「「「はっ!」」」「「「おう!」」」



(ホノカ視点)


 今俺は「隠密」と光神法術を使用し姿と気配を消しさり父上達の動向を伺っている。


 父上の第一班は顔合わせをし作戦内容の細部を確認にしている。


「右配置はクーロード殿が未確認モンスターを見つけ次第、赤の発煙筒を打ち上げてくれ」


「承知致した」


 この武士みたいな人はクーロードさん、元B級冒険者で今はトライーガ領の村で剣術指南をしているらしい。職業は武士ではなく騎士だ。


「左配置はトシヤが」


「わかりました。トライーガ卿」


 この黒髪、碧眼イケメンはササキ騎士爵家の四男でレベル65だ。この人の父親が戦争のときに父上に救われて、その恩で三男、四男、五男を駆り出したくれたらしい。今は商会勤めだけど戦争は勿論、兄弟全員が冒険者としてモンスターの討伐経験をしていてB級冒険者だ。


 なんで知ってるかって?さっき別の人に話しているのを聴いたから!

 あと日本人っぽい人とか名前なのかは、日本をモデルにした伊の大陸という大陸があって、トライーガ領だけでなくペンドラゴン王国に伊の大陸出身のご先祖がいるらしい。


「後方配置はゼンダが」


「はっ!」


 この人は弓術師でうちの兵士隊でドノンのキツイ訓練にも耐えて、剣も扱えてかなりの猛者だ。


「前方は私がやる。そして今呼ばれたものはモンスターがいない場合は白の発煙筒を打ち上げてくれ。…

では第一班出陣する!」


「「「はっ!」」」


(3時間後)


「見つからないな…」


「クーガ様…」


「ああ、わかってる…」


 ん?止まって如何したんだ?


「そこ隠れているの者!出てこい!」


 何!?バ、バレた?!

 そんな筈ない、スキルはカンストしてるし、光神法術“プリズムミラージュ”は神、星級のアイテムじゃないと認識できないはずなのに…


「出てこなければ敵とみなし矢を射る」


 気づいてる!!ここは出るしかないか。


「す…「すみません!」」


へ?


「すみません!領主様!どうか俺をモンスター討伐に参加させてください!」


 あ…あぶねーーー!危うく姿をだすとこだった!!そうだよな、神法術を見破ることはできないよな!ハッハッハ…

ハァ…


「君はネッカ君だね?」


「はい!」


 この人はたしかモンスターに襲われて生き延びた人だったな…


「悪いが君の要望には答えられない」


「そんな!どうかこの通りお願いします」


 土下座してる。

 ここまでするってことは死んだ人は大切な人だったんだ。


「駄目だ。イグイ殿に説明されているが、君達、狩人組の若者はモンスターとの戦闘があまりにも(経験が)無さすぎる。闘うのは未知のモンスターだ…君は足手纏いなんだ」


「はい…だからなんでもします!荷物持ちだって、囮だって、なんならみなさんの盾にもなります!」


 凄い覚悟だな…

 でも大人達は冷たい視線を彼に向ける。


「わかっていないようだね。役目がないんじゃない。必要ではない…いや邪魔なんだ。」


「…」


 彼は悲しい顔で大人達、全員の顔を懇願するように見るが大人達は一切顔色を変えず、彼の顔を見つ続けるだけだった。


「悪いがこれ以上、邪魔をするならばここで君を処断する」


 父上の元から怖い顔がさらに怖くなる。


「…」


 彼は恐怖で身体を震わせた。


「我々にはやらなければならないことがある。君の我儘に他のものを危険に晒すきとはできない。だから消えなさい…」


コクコク


 彼は逃げるように去っていた。


 そして大人達は黙々とモンスターの捜索を再開した。



ボン


ボン


 異常なしの白煙が上がる。


「白か…」


「クーガ様。もう少しで襲われた場所周辺です」


 狩人の一人がクーガへ報告する。


 トライーガ領内の大牙山には所々に色のついた布が木の枝に巻かれていて、

狩猟と山菜取りが重ならないようになっている。

 さらに、山菜取りが熊やモンスターを見つけたときの目印にもなっている。


「あぁ。わかった

皆もの!気を引き締めよ!いつモンスターが来てもおかしくない!奇襲を警戒し互いを守れ!」


「「「はっ!」」」「「「おう!」」」


「変ですね…」


 兵士隊の一人がクーガに声をかける。


「そうだな…あまりにも静かだ…」


 実はクーガ第一班を含め他の班もモンスターは勿論、獣にすらあっていない。

 これは何もホノカが気を気かけせて先回りして倒しているわけではない。


「まるで嵐の前の静けさですね」


「…そうだな」


「我々なら勝てますよね?」


「…そうだな」


 クーガは兵士の言葉を適当に返事をしてしまう。

 それ程に、山の静けさが不気味なのだ。


「クーガ様!」


「どうした?」


「此方へ…」


 兵士に案内され場所には…

 人一人の量とは思えない血溜まり、人の頭の上半分と肉の残った骨。


「…」


 あまりにも惨状に言葉を失う討伐隊。


「黄色の狼煙をあげろ…」


「は、はい」


ボシュ〜ボン


「皆、近くにまだいるかもしれない。今一度気を…」


 下がってしまった士気を戻すためのクーガの激励は途中で止まってしまう…


ガルルルル


 なんとそこには見たこともない血まみれのモンスターが鎮座していた。


 その姿は前傾姿勢で立ち馬のような骨格で腹は鱗で覆われ、顔は馬ではあるが鋭い牙と耳がなくエラがあり、前脚は鋭い爪が3本づつ、後脚は猫のような肉食動物の脚になっていた。


 この世界には存在しないモンスターだ。勿論「ミソクリ」にも…


ビクン「ゴワァアアアアアア!!!」


 モンスターは何かのスイッチが入ったかのように叫び出す。


「戦闘体制!!!!」ボシュ〜ボン


 クーガが指令をしたと同時に発煙筒が打ち上がる。


「ゴワァア!」


 モンスターは爪で近くの討伐隊の冒険者に襲いかかる。


(カン)スパッ


 何かが弾く音がし、冒険者は腕を傷つけられてしまう。


「っくそっ!」


「やれるか?!」


「勿論だ!!」


「ゴギャアア!」


 モンスターは再び討伐隊を襲いかかる。


ガキン、ガキン


 右を兵士二人が受け止め、左はクーガが受け止める。


「なんてパワーだ…」

「チ、圧される」「こっちは二人係だぞ!」


「喰らえ!」


シュン


 モンスターの後ろから狩人が矢を放つが、モンスターは瞬時にその場を離れる。


「後ろだ!」


 クーガは狩人に警告するが…


(カン)ザッシュ


「グワアア」


 再び何かが弾く音がして、狩人は背中を切りつけられてしまう。


「痛っ、くぅ…」


「エオル!怪我人を救助を行え!フキン、クーロードは私と一緒にひきつけるぞ!残りの二人は負傷者の治療を!」


「はい!」「承知!」「はっ!」「おう!」


 フキンとクーロードは共に“挑発”スキルを有している。


「「“挑発”!!」」


 しかし、モンスターは二人に見向きもしない。

 そのまま怪我を負った狩人に追撃を行おうとする。


「“剣牙”!」


グサ


「ギラャアアアアアアア」


 クーガは剣に炎の付与がなんとか間に合い攻撃を加え、モンスターの肩に傷を負わせる。


ギロ


 モンスターはクーガの方向を睨み、攻撃しようとする。


 冒険者と兵士が追い打ちをかけ、モンスターの攻撃を阻止する。


「”シールドバッシュ“!」「“剣爪”」


「ガアアアアア」


 モンスターは崩れた体勢で無理矢理に反撃する。


 クーガがそれを受け止める。


ズズズズ…


 クーガは力負けをして押されてしまう。


「「「“溜め射ち”」」」


ズドン。


 三つの矢が森から放たれる。


「クーガ!応戦に来たぞ!」


 ドノンの班と元A級冒険者の班が合流した。

 クーガはモンスターから離れ、ドノンの隣に立つ。


「遅いぞ」


「文句言うな!これでも最速で来たんだ」


「やるぞ!」


 クーガはドノンの返しに安心し、つい笑ってしまう。

 すぐにモンスターへと向き直して気合を入れなおす。


「おう!」


「コイツのスピードはかなりのものだ!三人組になり互いに背中を守りつつ、コイツを逃がさないようにするぞ!」


「「「は!」」「「「おう!」」」


 一瞬にして顔を見合わせて即席のスリーマンセルが完成していく。


「行くぞ!」


 モンスターとの戦いは激戦に激戦を重ねた。その戦いもやっと終わりを迎えた。


「はぁ、はぁやっと片付いたな」


「そうだな、こいつ自己回復持ちだったしな」


 この世界では「HP自動回復」スキルを持ってるいるものはごく僅かしかない。

 そのため正式な名称が知られていない。


「負傷は14で死者0いい結果じゃないか」


 クーガは今回の被害状況に満足そうに語のるのは、戦闘復帰をできないレベルの怪我は3名だったが、村の薬師から回復薬を貰えば問題無くこれからも戦うことは可能だ。


「そうだ…イグイ班は何処だ!一体何処で油を売っているんだ!?」


 ドノンは思い出したように周りに聞くように叫ぶ。


「アイツ逃げたんじゃ無いだろうな」


「それはない。もし戦いに参加しなければ彼の狩人組での発言力がなくなるのは彼も理解できてるはずだ。」


「その事で大事な話がある」


 クーガとドノンがイグイの話をしているところに元A級冒険者の班長が深刻そうな顔でやってくる。


「ゼエン殿、大事な話とは?」


「実は…」


 彼は来る途中に後方の班が黒の発煙を打ち上げたを気づいた。


 黒の狼煙は班の壊滅を表す。


 彼はそれに気づいていたが、前方の班が戦闘開始をしていて、死者や重傷者を庇いながら戦うより、前方のモンスターをまず倒し、後方のモンスターを倒さなけばならない。


「何っ…?こんなやつがまだいるのか?」


「皆のもの!!重傷者を担ぎ急いで撤退するぞ!!」


 ドノンは驚愕し、クーガは撤退を支持する。


「どうしたんですか?」


「話は後だ!いいから撤退をするぞ!」


 討伐隊は訳もわからないまま撤退の準備を進める。

 しかし…


「なんで?」


「…クソ!」


「三体だと?」


 時は既に遅かった。


 全く同じ姿をしたモンスターが三体が討伐隊の退路を塞いでいた。


「皆な者!剣をとれ!」


 クーガは討伐隊に戦闘支持を出すが、殆どものが望みを失った顔をしている。

 剣を持つ気力すらない。


「来るぞ!」


 モンスター達は一斉に討伐隊に向かっていく。


「うおおおお!」(「すまないホノカ、ユーガ、グレンダ…」)


クーガは死を覚悟し、技を繰り出す。


「“剣爪”!」スカ


スタタタ


 モンスターは討伐隊を無視するように討伐隊の中を突っ切っていく。


「な…な、何だ?」


(ホノカ視点)


 危ない危ない。3体討ち漏らしてしまっていた。


 だってこの武器、あ使い難いって…


 ゲーム時代の武器だから大きさが大人のままだから、この可愛らしいちっちゃなお手手だと持ち難いにも程がある。


 文句はこんぐらいにしよう。


 父上達の援護をしていて後方から「ウギャアア」なんて悲鳴が聞こえたきた急いで向かったらモンスターが20体ぐらいいるし、死者もでていた。


 死者は蘇生してから、また重傷を負ってもらった。

 壊滅した班が無傷で倒れていた怪しまれるから許してほしい。あとで回復促成剤を飲ませてあげるから。


 あのイグイって狩人組のおっさん逃げ脚早かったなー。

 思い切り叫んでるのに逃げ切っていたから凄いよな。


 叫びすぎて何言ってるかわからなかったけど。


「見つけました!」


 おっと、父上達が来てるな。

 モンスターは空間魔法で別の場所に移してっと、これでよし!

 隠れよ。



(トゥースの森:深夜)


 二人の男が森の中で密談をしていた。


「は、話が違うぞ!?モンスターは俺を襲わない筈だっただろ!?」


「はぁ…静かにしてください…」


 一人はフードを深く被り、周りを警戒している。

 もう一人の叫んでいる男は狩人組のイグイだ。


「報酬は倍払って貰うぞ!?」


「討伐隊に死者が出ていないのに払えるわけないありません」


「約束が違うぞ!?死者はいる筈だ!」


「いいえ。重傷者はいましたが死者は一人いませんでしたよ。話はこれで」


「ふざけるな!!いいのか領主にお前の事を言うぞ?」


「いいのですか?貴方の事もバレんですよ?」


「別に構わなねー、こうなったらお前も道連れだ!言われたくなかった出す物出して貰おうか!」


 イグイは無謀にもフードの男を脅し、金銭を要求する。


「はぁ、わかりました」


「ふっ、わかればいいんだよ」


 イグイは油断せずナイフを抜けるようにする。

しかし、


「な、なんでだ?」


 イグイがナイフを少し抜いたときにはイグイの胸にフードの男のナイフが突き刺さっていた。


「大人しく引いて入ればまだ生きれたものを…」


 男はその場を立ち去りながら水晶のような魔導具を懐から取り出す。


「こちら…です。…はい。利用価値が低くなり処理しました。……はい…はい。わかりました。調べてきます」


 男は山の方向へと消えていく。

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