小さい子に寂しい思いをさせてるのは心引けるけど・・・すまぬ、ちみっ子よ。
バンっ!! と、扉が蹴破られ、見知らぬ騎士が数名押し入って来た。
「ご無事ですかっ!? ネロ様っ!!」
「え……っと、はい?」
「さあ、こちらへ」
いきなりな展開に驚いていると、さっと見知らぬ騎士に抱き上げられた。ほう。ナイスな上腕二頭筋をしている。コヤツ、なかなかできるな……多分。
「司祭という立場を利用し、ネロ様を害そうとした者を捕縛せよ!」
と、あっという間に捕縛される変態。
「お怪我はありませんか?」
「あ、はい。わたしは大丈夫ですが……」
どちらさん? タイミング良過ぎじゃね? と思っていると、
「わたしはアストレイヤ様のご命令で、影よりネロ様の護衛をさせて頂いている者です」
おおう、アストレイヤ様のところの人でしたか。
影から護衛ねー? 多分、監視役も込みってとこかな?
自分で言うのもなんだけど、あたしって側妃の産んだ、本来ならば第二であるべきなのに第三扱いされている王子殿下ってポジだし。そんな絶妙に扱い難い子供が、政権を握っていると言っても過言じゃない正妃に近付いているんだもの。監視が付くなんて当然のことだろう。
「それは、アストレイヤ様のお手を煩わせたようで。申し訳ありませんでした」
そう言うと、わたしを抱き上げている彼の顔が
「わたしは、あなたがアストレイヤ様へ毎日花を持って行っていたことを知っています」
「?」
まあ、あたしの監視をしていたのなら当然だと思うけど?
「あなただけ、なのです。ネロ様。王族の中で、唯一あなただけがアストレイヤ様へ感謝と敬意を表し、アストレイヤ様のことを気遣ってくださった」
おおう……あのアストレイヤ様の激務を知って心配していたのは、同じように働いていた人達だけということか。マジでクソだな、国王レーゲンっ!!
まあ、ライカ王子はアストレイヤ様の実子で、もしかしたら構ってくれない両親……母親に、寂しい思いやら不満を募らせているのかもしれない。けど、アストレイヤ様が国王代理として仕事してくれないと、確実にこの国は詰むのよねー。
小さい子に寂しい思いをさせてるのは心引けるけど・・・すまぬ、ちみっ子よ。ま、あたしが言えた義理じゃないけどね。
「あのままではいつか倒れてしまわれると皆が心配をしていたときに、ネレイシア様が現れたのです。最初は皆、側妃のお子であるネレイシア様のことを警戒していました。けれど、怪しい素振りは無く、あなたの持って来る花は全て、アストレイヤ様を気遣う為の花だった」
ぁ~、まあ、アストレイヤ様へ持って行くお花は本当に本当に気ぃ遣ったからなぁ。
ぶっちゃけ、捨てられても構わないと思いながら持ってってたし。最悪、アストレイヤ様を害すると思われて王妃宮を立ち入り禁止にされてもおかしくなかった。さすがに王女としては、
「もう、何年も姫が楽しそうに笑うお顔を見ていなかったというのに・・・あなたといるときに笑顔になられた姫を見て、我らがどれ程あなたに感謝したことか」
んん? 姫? って、もしかしてこの騎士さん、アストレイヤ様がご実家から連れて来た腹心の人だったりする?
・・・って、待って!
これ、もしかしなくてもネロたんとネリーちゃんが同一人物だってバレてない? まあでも、王妃様が本気で調べようと思えば、簡単にわかるか。
隠し通せると思っているヒス女のが馬鹿なのよねー?
クソ親父が知っているかは不明。知っていて放置しているのか、そもそもヒス女とあたし達に全く興味がなくてどうでもいいのか。
「出過ぎたことを申しました。申し訳ございません。ネロ様」
あたしの表情を読んだのか、騎士さんが謝罪する。
「いえ、助けて頂いてありがとうございます」
「・・・どうか、無茶なことはなさらないでください。あなたになにかあっては、アストレイヤ様がお心を痛めます」
という感じで、アーリー救済? はアーリー本人と会うことなく、お城へ連れ帰られて、軽い事情聴取を受けた後に
ちなみに、
「祈りの間とやらで二人きりになった途端、怖い顔でいきなり服を脱がされそうになったから、護身用に持っていた麻痺薬を振り掛けてしまいました。なにがあったのか、わかりません」
と、ぷるぷる怖がっている振りをして、目を潤ませながら訴えておいた。
きっと、怯えた顔の美幼児の証言の効果は抜群だろう。せいぜい罪が重くなればいいと思う。
それはさておき。これじゃあ、ちゃんとアーリーを助けられたのかが不明なままだ。また情報を集めなきゃね!
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