では、これより家族会議を始める!


 それから――――蒼と、ネロたんだったりネリーちゃんだったりするあたしと、若干不貞腐れ気味なライカとの交流が始まった。


 ネリーちゃん姿で、ライカにちょっぴり馴れ馴れしい態度を取ったら……やっぱり妹は可愛いらしく、ネロたんでいるときよりも可愛がられている。さっすが美幼女ネリーちゃんの魔性の魅力♪


 まぁ、蒼曰く、『ネリーは王女で、継承権で揉める可能性低いからじゃね?』な~んて言ってたけど。もう、余計な水は差さないでほしいわっ。


 でもでも、妹として扱われるのは悪くない。蒼とは六つ離れてるから、あたしず~っと蒼のお姉ちゃんしてたし。お父さんとお母さんが亡くなってからは、『あたしが蒼の保護者なんだから!』って頑張ってもんなぁ。


 それに……ネロたんは兎も角として。中身のあたしよりも年下なのに、一生懸命お兄さん振るキラキラぷにショタ……ああんもうっ、なんて可愛いのかしら♡


 そんなこんなでしばらくして――――


「では、これより家族会議を始める!」


 部屋から使用人達を全て追い出したアストレイヤ様が宣言した。


 パチパチパチと、蒼と一緒に拍手を送る。


「家族……? いきなりなんです? 母上」

「国王であるレーゲン……お前達の父親のせいで、シエロ王子とネロ王子の立場が微妙だからな。今のうち、腹を割って話しておけ。その方が、後々面倒が少なくて済む」

「はい?」

「シエロ、話してやれ」


 おおう、シエロたんこと蒼に丸投げた!


「え~っと……その、俺……じゃなくて、わたしは」

「話し難いなら、いつもの口調で構わん。言ったろ? 腹を割って話せ、と」

「では、失礼して。ライカ様、俺は第二王子であることを辞退したいと思っている」

「え?」


 ぽかんとした顔で瞬くライカ。


「そもそも、国王……つか、死んだ母親に対するクソ親父の未練だかなんだか知らねーけどさ? 無理矢理第二王子の身分を与えられて、俺は至極迷惑してんだよ」

「……シエロ兄上。そのように地を出して宜しいのですか?」

「いやー、だってアストレイヤ様が構わないって言うから。それに、こんな俺が王子に相応しくないのは事実だろ?」

「ほう、可愛らしい顔をしてなかなか言う。それが君の地か」

「すみません。お聞き苦しいでしょうか?」

「いや、構わん。ネロも、地で話して構わんぞ?」


 あたしは……地で喋るとちょ~っとまずいのよねー?


「では、失礼して。わたしも少々崩して話しますね」


 にこりと微笑んでおく。


「シエロ兄上には、母が多大なる迷惑を掛けています。元々は、寵姫であったシエロ兄上のお母様が気に食わなかったようでしたが……第二王子という身分をクソ親父に与えられたせいで、側妃である母にガッツリと命を狙われる羽目になっていますからね。大変心苦しく思っています」


 本当、厄介なことしかしない連中だ。実は、あのクソアマがクソ親父に嫌われているのって、もしかして同族嫌悪だったりするのかしら?


「ククッ……君も、だったか」

「く、くそおやじ……?」


 あら? なにやら衝撃を受けたような顔のライカ。スラングの意味がわからないのかしら?


「クソ、というのは排泄物のことで、親父というのは父親のことです。つまり、排泄物程に疎ましく思う、もしくはそれ程に厭わしい、煩わしい、苛付くような父親、と。そう言ったニュアンスでしょうか。ライカ様」

「や、あのな、ネロ? そういう意味じゃねーと思うんだが?」

「そう? ライカ様はスラングを知らないかと思いまして。説明してみました」

「あ~、確かにな? その可能性もあるが……おそらく、お前の顔からそういう言葉が出たこと自体にショックを受けてんだろ」

「ふふっ、それはシエロ兄上も同様では?」


 なにげに、天使のように麗しい美ショタの汚い言葉は大ショーックっ!! というか、破壊力抜群のインパクツっ!! ということだろうか?


「ぁ~……ま、王宮じゃこんな言葉使う奴のが少ないだろうから仕方ないんじゃないか?」

「成る程、そういうことでしたか。では、慣れてくださいね? ライカ様」


 確かにねー? リアルな、しかも第一王子様なライカにこんな言葉を使う人はいないか。普段接するであろう周りの世話役も、貴族出身の人達が多いだろうし。


 にゅふふ……育ちの宜しい優等生に悪~い言葉を教えるような微妙な背・徳・感♡


「え?」

「ククッ……二人共、わたし達の前では猫を被っていたということか」

「正妃様であらせられるアストレイヤ様に、乱雑な口を利くワケには参りませんからね。やはり、お聞き苦しいのでしたら、戻しますが?」


 と、チラリとライカを見てそう言う蒼は……シエロたんだったときよりも、前世を思い出して蒼になってから、こんなにお口が悪くなったとお姉ちゃんは思うのよねー。ま、あたしも人のこととやかく言えやしないけど。それに、猫はあったかいもんね!


「いや、わたしは構わん。面白いからな? 二人共、プライベートな場ではそのままでいい」

「は、母上っ!?」


 慌てるライカを放って口を開く。


「では、話を進めます。わたしとネリーの方も、おそらくはシエロ兄上を第二王子にするため……とされる、クソ親父からの実害が出ていますからね。まぁ、確認のしようもないので、本人にその意図があるかは不明ですが。限りなく黒に近いと思われます」

「え? ネロとネレイシアに実害? 父上が? なにを……?」

「端的に言うと、わたしとネリーは王族として必要な教育を全く受けていませんでした」

「はっ?」

「ついこの間、アストレイヤ様が家庭教師を手配してくださるまで。そして、ライカ様に教えて頂けるまで。使用人達に読み書き計算を教わるくらいしかしていません。わたし達は王族としての教育どころか、一般教養すら学んでいませんので」

「ちょっと待って! なんで、そんなことっ……」


−−−−−−−−−−−−


 アストレイヤ「では、これより家族会議を始める!」( ・`д・´)


 茜&蒼「「おー」」(*≧▽≦ノノ゛☆.+゜&(*・ω・ノノ゛☆パチパチ


 ライカ「家族……いきなりなんです? 母上」( ̄□ ̄;)?


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