キラキラぷにショタのちょっと不貞腐れたお顔もまた善き哉!


 ふっ……ハーッハッハッハっ、フハハハハハハハハハっ!!


 右を見ても左を見ても、麗しき美ショタ&美少年に成り掛けのショタ! 上を見ると軍服美女! 美形美形美形揃いっ!!


 更にはリアル執事にリアル侍女メイドさん、リアル近衛騎士まで揃っている。こっちもこっちで、王族に侍っているだけあって、実はなにげに美形が揃っているのよね♪


 麗しいシエロたんと、キラキラぷにショタなライカ! おまけにストーカー予備軍ショタグレン! 更に言うなら、某歌劇団男役トップスター風ゴージャス美女アストレイヤ様! 両手に花束、目の保養、眼福とは、まさにこのことよっ!!


 キャッフゥーーーーっ!!!!


 美形祭りが開けるわねっ♡


『おい、正気に戻れねーちゃん。ライカがドン引いてんぞ』


 と、嫌そうな蒼の声に引き戻された。


 おっと、いけないいけない。涎や鼻血は垂らしてないわね? そっと顔を触るが、濡れた感触は無い。かなり緩んでいる自覚はあるけど。まあ、OKでしょ。


「も、申し訳ございません。その、兄上方とお会いできたことが、とても嬉しくて……」


 もじもじと恥ずかしげにライカを見詰めると、


「ふふっ、はじめまして。僕はライカ。君達の……腹違いのお兄様ということになるね」


 クスリと笑顔で自己紹介される。


 うん? あれ? まだドン引きはされていないようだ。ヤだわ、蒼ったら大袈裟ねー?


「はじめまして、ライカ様。わたしはシエロと申します」

「わたしはネロと申します」

「あれ? もう一人、妹がいたと聞いていたけど、今日は来てないの?」


 ぺこりと頭を下げた蒼とあたしの周囲を、きょろきょろ見回すライカ。


 ほう、ネリーちゃんをお探しですか。でも、残念っ! 今日のあたしはネロたんなのよねー?


「申し訳ありません。その……わたし達の母は少々病気がちなので、わたしか妹のどちらかは、必ず母に付いていてあげることにしているのです」


 ……という設定だ。


 まぁ、アレね。クソアマが病気というのもあながち間違いではないけど。ネロたんとネリーちゃんが、同時に同じ場所にいられないことに対する言い訳だ。さすがに、「病人を放って来い」とは言えないでしょうからね。


 ちなみに、ネロたんの留守中は、あのクソアマお気に入りの使用人以外は避難済み。そして、彼らで対処不可能な事態に発展したら、あたしに緊急呼び出しが掛かる。そのように手配している。


 今のところ、緊急呼び出しはされたことがないけど。一応、あまりにも癇癪が酷いようなら、鎮静剤や睡眠薬を一服盛ることも許可しているから……かしらねー? 無論、医師に処方箋は出させているから問題ナッシング!


 まぁ、本来は投薬される本人の同意無く薬を飲ませたりするのは、あんまり誉められたことじゃないんだけどねー? とは言え、あのクソアマ癇癪が酷過ぎだし。身内(めっちゃ幼児だけど!)の許可があるから別にいいでしょ。


「ああ、それは悪いことを聞いたね」


 顔を曇らせたライカへ微笑む。


「いえ。ライカ様に気にして頂いて、妹も喜ぶと思います」

「そう?」

「はい。もしライカ様が宜しければ、妹のネリー……ネレイシアとも会って頂ければ、あの子も喜ぶと思います。そのときには、わたしは同席できないと思いますが。仲良くして頂けますでしょうか?」

「うん。楽しみにしているよ」


 おっし、言質取った♪ネリーちゃんのときには、もっと馴れ馴れしくしようっと♪


「子供同士の挨拶は済んだようだな」


 頭上から降って来たハスキーな声に、


「母上、一体どういう風の吹き回しです?」


 どこか冷ややかに問い掛けるボーイソプラノ。


 う~ん……やっぱり、この親子もあんまり仲が良くないのかしら? それとも、あんまり構われることが少なかったであろうライカが、母親であるアストレイヤ様に素直になれないだけ?


 ハッ! これぞ、実は……『お母さんのこと、本当は大好き♡』なのに、なかなか素直になれない男の子のツンデレというやつなのねっ!?


「なに、兄弟で顔合わせをさせるのも悪くないと思ったのでな。ライカ」

「はい、なんでしょうか?」

「シエロとネロに、勉強を教えてやれ」

「え?」

「誰かに教えるのは、自身の修学課程を確認するいい手段でもある」


 と、戸惑うライカにシエロたんこと蒼&ネロたんことあたしを丸投げしやがりましたよっ!?


「母上の、命令なら……」


 なんて、気が進まなそうに蒼共々、仲良く? お勉強を教えてもらいました。渋々にしては、教え方は丁寧な方。こういうとこは素直で可愛らしいわね♪


 でも、やっぱりライカ君のあの笑顔は愛想笑いだったのね! だが、キラキラぷにショタのちょっと不貞腐れたお顔もまた善き哉!


 まぁ、ライカはネロたんあたし……というより、シエロたんの方を快く思っていない感じかしらねー? んで、シエロたんと仲良さげなネロたんのことも警戒対象に入っちゃったかしら?


 つっても、シエロたんの中身は王子扱いを迷惑がってる蒼だから、政治的なあれこれを警戒する必要は無いんだけどねー?


 ライカは嫌そうだが――――しかし、将来拗れた鬼畜ヤンデレにならないよう、ライカ健全育成計画は勝手に進めちゃうんだからね!


 これからシエロたんとネロリン我々と、ガッツリお付き合いさせてもらおうではないかっ!?


 うん? 本人の許可なんぞ知らん。


 蒼とあたしの、破滅&死亡フラグを叩き折る為に! プラスして、将来ライカが国王になったとき、アストレイヤ様に政務&執務を丸投げするのを阻止する為に!


❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る