めっちゃ残念な子を見る目で見られた。


 翌日。


 ネリーちゃんでは毎日のように会っているけど・・・ネロたんとしては、お初となるアストレイヤ様とのご対面!


「お初お目に掛かります、アストレイヤ様。ご挨拶が遅れたこと、お詫び致します。そして、いつもわたしと妹のことを気に掛けてくださって、感謝しております。先日のことについても、騎士を派遣してくださったこと。誠にありがとうございました」


 丁寧に挨拶をすると・・・


「わたしとしても、ネロ王子を失うことは避けたい。これからは気を付けろ。二度目は無い。ネレイシア姫共々、その身を大事にしろ」


 おおう、釘を刺されてる?


「ありがとうございます」

『白々しい会話が、なんかコワい……』

「シエロお兄様も、ご心配をお掛けしてすみませんでした」

「……あれは、本当に寿命が縮むかと思った。頼むから、あんな無茶はしないでくれ」


 曇らせたご尊顔ですら麗しいシエロたんこと蒼に、にこりと微笑む。ふっ、必要ならあの程度の無茶なら構わないし、幾らでもするわ! だから……ごめんだけど、約束はしてあげない。


「では、早速。シエロはわたしの手伝い。ネロは授業を受けろ」


 と、蒼と分かれて少し離れたところで先生を紹介され、授業を受けることになった。


 授業なんて、久し振りね~。何年振りかしら? な~んて思いながら・・・


「歴代国王陛下のお名前を、知っているだけ書き出してみましょう」


 という課題を出された。ふっ、そんなの知らぬ! な~んて、言わないけど。一応現国王であるクソ親父と前国王である祖父の名前だけ書いてペンを置いたら、めっちゃ残念な子を見る目で見られた。やー、だって習ってないのよ。そんなん知らんくても普通に生きてけたからね!


「では、次は知っている国の名前を書き出してみましょう」


 うむ。これも、大して知らぬ! と、潔く近隣の国を三つ程書いてペンを置いた。またもや残念な子を見る視線。


 まあ、アレだ。王子としては残念極まりないという評価なのも判る。ここは、駄目な子だという評価を甘んじて受けてやろうじゃない。


 一応、今日も数学と理科のテストを受けたけど、こっちの方は高校相当からの問題が出された。昨日のあたしはネリーちゃん設定だったし。今日はネロたんの学力を測る為だから仕方ない。


 無論、ぱぱっと全問正解。すると、びっくりされた。でも、偶に得意な科目が偏る天才はいるという風に納得された。


 ってことで、壊滅的な歴史と地理を中心に授業内容を組まれた。外国語と教養、マナーなどに付いては、後日別の教師が教えるそうだ。


 ま、勉強は苦手じゃないからどうにかなると思うけど、マナーや教養が問題かしらねー?


 今はまだ子供だから許されている部分があると思うけど、これから王族の礼儀作法を王子なネロたんの分と王女なネリーちゃんの分を叩き込まれるかと思うと・・・


 ちょい憂鬱って感じかしら? 二、三回程見ればマナーやら礼儀作法は覚えられると思うけど、幼児のこの身体でその動きを完璧にできるかは、別問題。


 そして、シエロたんこと蒼に負担を掛けないようにするには、ネロたんとネリーちゃんであたしが頑張らなきゃねー。


 それに加えて、破滅・死亡フラグ対策として、ある程度は自由に動ける時間も欲しい。アストレイヤ様の目を掻い潜ることのが、難易度高い気がするわ。


 まぁ、一応はアーリーの異端審問官フラグは潰せたから……今のところは、逼迫ひっぱくしている人はいないかな?


 現状。一番切迫しているのは、政務浸けのアストレイヤ様なのかもしれないわね。


 基本的に、アーリーを除いた【愛シエ】ゲーム関係者のおおよその不幸……というか、ヤンデレ闇堕ちの原因は、クソ親父こと現役国王のレーゲンのせいだからなぁ。


 ちなみに、ゲーム開始時に隣国の国王(予定)であるクラウディオのことは知らん。


 ほら? 一介の王子であるネロたんことあたしが現隣国王太子のプライベートを調べることなど不可能。まぁ、表面上の情報はなんとなく入って来るけど、基本鵜呑みにはできない適当な噂話だし。奴は、もう何年かすれば成人くらいだろうか? 子供じゃない上、既婚者(まだ予定)で命の危機が無いなら自分でどうにかしやがればいいと思う。


 とりあえず・・・婚約者持ちで結婚してもモテモテ浮気三昧な上、奥さん(予定)も一緒に嬉々として愛人の調教に加わるという、理解ある? 感じに順風満帆なリア充野郎は爆発しろっ!!!!


 顔のいい両刀野郎は大概、最終的には「女の子がいい」だとか「飽きた」なんてクソなこと宣って、同性の不憫受けな恋人をポイ捨てるに決まってるのよっ!? あたしの見て来たBL作品は大体そうだったのよ! 偏見かもだけど……それで、新たなラブが始まっちゃったりもするんだけどね! 不憫受けはスパダリに溺愛されればいいのよ!


 ・・・と、それはさておき。


 現状では第一王子で王太子(予定)のライカ、シエロたんのストーカー護衛騎士(予定)グレン、異端審問官(フラグを潰した)アーリーの闇堕ちは防げそうかも……? と言ったところか。


 アーリーをどうにか保護できれば、あとは王宮や離宮をうろうろしてればなんとかなりそうな気はするのよねー?


「……ロ様、ネロ様!」

「あ、はい。なんでしょうか?」

「本日の授業は終了です」

「そうですか。ありがとうございました」


 考えながらパラパラと捲っていた教科書や筆記用具を片付ける。


「授業が終わったか。では、わたしとシエロも休憩を取ろう」


−−−−−−−−−−−−


 蒼「ねーちゃん、なんで予習とかして来なかったん? 時間あったよな」(੭ ᐕ))?


 茜「え? 下手に予習すると、普通に全問正解しちゃうから?」(*^▽^*)


 蒼「クッ……この天才めっ!?」(*`Д´*)

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