凛ちゃんは、成仏できない。

序盤はラブコメ風味。
後半は怒涛のシリアス展開。
小説としての構成も素晴らしかったですが、何より映像が浮かぶような素敵なシーンが随所にあり、とてもドラマティックでした。

特に好きだったシーンをネタバレしない程度に上げておきたいと思います。

【女子高生が屋上から中指立てながら飛び降りるシーン。】
このシーンが最高に好きでした。
文章しかないのに、まるでスローモーションのように映像が脳内で描かれましたね。

是非、映画化してほしいです。

最初はラブコメかな？と思いました。定番シチュエーションの嘘告とか、地味で目立たない男の子が学年トップの美少女と次々デートしたりとか。

しかし、最後まで読み進めた今では、本作はまさしくホラー小説だと考えています。
しかもただ怖い、というのではなくどうしようもなく苦しく悲しいホラー小説ｓです。

ぜひ最後まで読みすすめてください。

この作品の怖さはひとことでは言い表せません。どこか私たちの普段の生活に地続きなもののように感じます。

この作品にはたくさんの少女たちが登場します。もちろんキャラクターとしてはそれぞれに可愛いらしいですが、だれひとり完璧な人間はいません。みんな、どこかで間違えます。その結果の連鎖がひとりの少女を追い込みます。

とても考えさせられる作品でした。

このお話は、スプラッタな展開も殺人も起きない、一見、ホラーっぽくないホラーです。人と人との関係性の中で生まれ漂う不条理などについてのホラーであり、日常描写や登場人物たちの何気ないやり取りの中に、どこか不気味さが感じられます。
幽霊の凛ちゃん（女子高生）がいるのですが、とても可愛いのですよ！　放っておけないタイプというか。世話焼きさんというか……。
そんな凛ちゃんに、颯太は約束をしているのです。

主人公の颯太を中心に、周囲の女の子たちの青春群像劇でもあります。
彼女たちはそれぞれに、悩み事や心の中に抱える闇があります。それは完全に消えるものではなく、心の片隅にいつまでも残るものなのかもしれま…続きを読む