イケボにつられて不思議な路地に迷い込んだギャル・朝顔菊莉(ククリ)が、これまた不思議な子猫や鼠に出会います。そして彼らを助けるために、冒険を決意するのです。
和の要素がある雰囲気で、世界観がしっかりと創られています。子猫賢者が様々なことを丁寧に説明してくれますので(この子猫はとってもキラキラした目で話してくれますよ!)じっくり浸らせてくれます。
何より物語を前へ前へと動かしていく主人公の勢いが心地良い! 彼らが諦めている物事に対して、ルールが何だと向かっていく様には気分が高揚しました。ルールには抜け道がある。頭の切れる相手と駆け引きするシーンなど、その辺りのやり取りも丁寧に描かれていますので、ハラハラしながら楽しめます。
敵である相手にも、理解できる背景があるのがとても好き。ついそっちに気持ちが持っていかれそうにもなりました。
ぜひ彼らの冒険の結末を見守ってみてください。
お薦めします(^^)!
不思議な声に導かれて迷い込んだのは、素敵なファンタジーの世界……ではなく、ゴミ山と悪臭の景色がループする、常夜の世界だった!?
けれど、この場所は「天神様の細道」と呼ばれていて、「黄泉竈食」なんてものも存在する、和風に神秘的な場所なのです。
どこかで聞いたことの有る、日本の不思議な伝奇、伝承、神話に登場するモノが、そこここに散りばめられ、JC(女子中学生)視点でそれらがすんなりと理解出来て物語は進みます。
和風ファンタジーの世界観に浸りつつ、物語を辿ると、老成しつつも子供っぽい一面も見せてくれるイケメン黒猫や、心優しく好奇心旺盛なネズミちゃん、明るく前向きで正義感の強いヒロインなど、魅力的なキャラクターが次々に登場し、彼らの抱える事情や想いが、更に物語に深みを与えてくれます。
互いを思い遣る優しい彼らが迎えるのは、どんな結末か!?
彼らの幸せを願いつつ、一緒に読んでみませんか♪
ルールだから。
決まったことだから。
それが現実。
こんな言葉ならリアルには溢れていますが、本作の主人公ククリさん(ギャルに憧れるギャル未満)が迷いこんだのは、不思議な路地。夜が支配する世界。
そんな世界の理(ことわり)
つまり、ルールをククリちゃんは時に迷いながら。時に真っ直ぐにぶち壊してくれます。
語彙崩壊しますが、それが本当に格好良いの。
そこで、喋る「猫ではない」と主張する猫と出会います。
そんな14歳の女の子と猫の異世界バディもの……と簡単にカテゴライズできないのが本作の魅力でしょうか。
古事記、日本書紀のような古典の要素も。ファンタジーな要素も。ライトホラーの要素、さらにSF要素までミックスしたような、不思議な世界観。まさにミックスカルチャー。
そして、物語はこの路地を。猫の住居と、さらには目的地のあの場所……これぐらいでしょうか。めまぐるしい場面展開はなく。非常にゆったりと、空気は流れていって。それが本当に心地良い。
気付けば、ククリさんの自由な物言いが大好きになり、
考え過ぎのニャンコを、もっと応援したくなります。
もしかしてこの一人と一匹って、子どもと大人の対比に見えなくもない。
難しい言葉を捏ねくり回して、思考を停止。
ダンジョンから抜け出せない。
でもちょっとして勇気と。
そして相棒の存在があったら、可能性は無限大。
どんなことだって、できる気がしますね。
個人的には日本書記に登場する「白山姫(菊理媛神)」
読みはククリ姫。
イザナギ(生)とイザナミ(死)をとりもつ、仲裁の神であるとされています。
まさしく本作のククリ嬢のようですらありました。
これは、余談です。
児童文学として。
書籍――紙の本で読みたい。
そう思わせてくれる一作でした。
カッコいいギャルを目指す朝顔菊莉は、不思議な路地に迷い込みます。
「稀人よ……」という誰かの声に導かれ、辿り着いた先は夜の世界。
そこで出会ったドブネズミは「何かあったら黒猫を頼って」と教えてくれます。
菊莉は、ゴミ捨て場にいた小さな黒猫の子猫にナツメと名前をつけました。
ドブネズミも仲間に加え、三人(?)で似非調娘(にせつぎこ)なるラスボスに立ち向かうことになるのですが、その攻略法が面白い!
普通の冒険物とはひと味違った頭脳戦です。
作者の言う通り
「頭は良くないけど頭が柔らかい女子中学生と、頭は良いけど頭が固い子猫とのバディもの」
日本神話や民話などをベースにした世界観を楽しみつつ、彼らの冒険を応援してあげてください。
ハートフルなダンジョンものへようこそ!
「ルール? 校則? どこまでセーフ? どこからアウト?」
このギャルっぽい問いが物語の主題になるなんて。
大冒険がしたい少女ククリちゃんが迷い込んだのは未知の道のさらに奥、常夜と呼ばれる夜が明けない世界。仄暗い路地を進めば人語を話す可愛らしいネズミ、ゴミ山の上を住処にする黒猫……進むほどに不安と焦燥が募ります。
ルールなんてくそくらえと言い切り、それを破ったことで咎人(とがびと)となった彼女らを救おうとする義に厚いギャル、ククリ。
豊富な知識と論理的な思考力を持ちながら、誰よりもルールに縛られている黒猫、ナツメ。
小さくて怖がりだけど勇気を振り絞って危険を教えてくれる優しいネズミ、ツキミ。
常夜と現世の境で三人が相対するものは……?
「三人一緒にここを出る」と誓ったククリちゃんの決意、どうか最後まで見届けてください。
タイトルおよびサブタイトルは、いかにも『ギャル』風ですが、実際のストーリーはといえば、記紀神話等、日本の古い伝承を元にしたとても作り込まれたある種の異世界が舞台。
その世界に文字通り迷い込んだギャル『ククリちゃん』がその世界の住人達と、元の世界に戻るお話。
ダンジョンモノというより、本当に普通に『現代人が迷い込んだ異世界』で冒険する話です。
タイトルやサブタイトルで見るほどにギャルっぽいということもなく、文章もとても読みやすいです。
まだ途中ですが、主人公の『ギャルっぽい』前向きな性格が、素敵なラストシーンを見せてくれると期待させてもくれます。
ちょっと冒険、のつもりがとんでもない場所に入り込んでしまった少女ククリ。そこで不思議なネズミと猫に出会います。ククリは二人(?)を救うため、冒険へと足を進めて行くのです。
黒い子猫のナツメ、この子が本当に可愛いんですよ。「我が輩」の一人称が「ニャニャニャイ」に変わったり、クールなキャラが急変したり。そんなナツメにククリはメロメロになるんですけどね、読んでいる私もメロメロです。
一方のククリ。とんでもなく自分勝手なギャルかと思いきや、人情に厚い勇敢な女の子なのです。彼女の語りで物語は進行して行きます。彼女の心境がとてもみずみずしく表現されていて、軽やかで読みやすい!これも作品の魅力です。
無条件に応援したくなる二人は、不気味で不条理な世界から抜け出すことが出来るのでしょうか。
ほっこりとドキドキの緩急が堪らない和を感じるファンタジー、お勧めです!