ルールというダンジョンに囚われた全ての人達へ

ルールだから。
決まったことだから。
それが現実。

こんな言葉ならリアルには溢れていますが、本作の主人公ククリさん(ギャルに憧れるギャル未満)が迷いこんだのは、不思議な路地。夜が支配する世界。
そんな世界の理(ことわり)
つまり、ルールをククリちゃんは時に迷いながら。時に真っ直ぐにぶち壊してくれます。

語彙崩壊しますが、それが本当に格好良いの。


そこで、喋る「猫ではない」と主張する猫と出会います。
そんな14歳の女の子と猫の異世界バディもの……と簡単にカテゴライズできないのが本作の魅力でしょうか。

古事記、日本書紀のような古典の要素も。ファンタジーな要素も。ライトホラーの要素、さらにSF要素までミックスしたような、不思議な世界観。まさにミックスカルチャー。

そして、物語はこの路地を。猫の住居と、さらには目的地のあの場所……これぐらいでしょうか。めまぐるしい場面展開はなく。非常にゆったりと、空気は流れていって。それが本当に心地良い。

気付けば、ククリさんの自由な物言いが大好きになり、
考え過ぎのニャンコを、もっと応援したくなります。

もしかしてこの一人と一匹って、子どもと大人の対比に見えなくもない。
難しい言葉を捏ねくり回して、思考を停止。
ダンジョンから抜け出せない。

でもちょっとして勇気と。
そして相棒の存在があったら、可能性は無限大。
どんなことだって、できる気がしますね。

個人的には日本書記に登場する「白山姫(菊理媛神)」
読みはククリ姫。
イザナギ(生)とイザナミ(死)をとりもつ、仲裁の神であるとされています。

まさしく本作のククリ嬢のようですらありました。
これは、余談です。


児童文学として。
書籍――紙の本で読みたい。
そう思わせてくれる一作でした。


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