第21話 重ねる想い
「おまたせ誠」
「俺もついさっき来たところだから」
お決まりのセリフを言い合って誠の腕に私の腕を絡ませる。今日はこのまま予約しているイタリアンレストランで夕食を済ませて、ホテルのバーでお酒を飲んでそのままそのホテルでお泊りする……
「私はお家デートでも良かったのに……手の込んだ事して、来年からのハードル上がっちゃうわよ?」
「そこは程々で勘弁してもらうとして、今年は記念ということでこれくらいはいいじゃないか」
「私は嬉しいけど……無理はしないでね?」
これからも長い付き合いになるのだから、見栄を張って疲れてしまわないようにしないと。
「まあ、婚約して最初の真希の誕生日だ、少しは見栄を張らせてくれ」
「まったくもう……しょうがない人ね」
呆れてしまったがそのまごころが嬉しくて、絡めてる腕をちょっと強く抱き寄せる。
あの日、二人の気持ちを確かめ合ったあの日のあと、私達は正式に婚約をした。
「やっぱりねぇ〜こうなると思ったんだ。てか、お互いに唾付けるの早いわね……」
「唾付けるとか言わないで!純愛よ純愛!」
「バツイチがなに言ってんのよ」
バツイチ言うな!
「「再婚禁止期間」があるからすぐには再婚できないのよね?期間ってどれくらいだっけ?半年?」
「昔は半年だったらしいけど今は100日だって。だからって期間が明けてすぐに結婚ってわけじゃなくて、ちょっと恋人期間を作ろうって誠が言ってくれたのよね〜」
「ハイハイご馳走様。でも女だけ「再婚禁止期間」があるって不公平よね」
「令和6年に禁止期間が廃止されるらしいよ?」
「へー良いことじゃない?」
まあ不公平だからって理由じゃないみたいだけど、私には直接関係ないしね。
「で?ケンカの原因はなによ?」
みどりが投げやりに聞いてくる。なによもうちょっと親身になってよ!
「伸吾のときの慰謝料と財産分与をふたりのマイホームの頭金に使いたいって……」
「誠さんがそう言ったの?それはないわ〜」
「いえ、私が言ったの……」
「は?」
「だから私が言ったのよ!だってお金はお金じゃない!なのに誠のやつ「そんなみっともない事出来るか!」とか「マイホームは俺達ふたりの夢だろうが!」とか言って突っぱねるのよ!ひどいと思わない?」
みどりはスマホをポチポチしてる。あー!この子全然聞いてない!ふたりの危機なのに!
「ちゃんと聞いてよ!お昼代出したんだからね!」
「あーハイハイ、聞いてますよー」
「聞いてない!」
「聞いてますって……とりあえず、真希?」
「なによ?」
「あんたソッコー謝っといで?そんで抱いてもらいなよ、それで解決だから……」
「な?なに言ってんのよ!私が謝るの?」
なんでよ!私が悪かったって言うの?ありえないから!
「だって、誠さんはあんたとふたりで最初から最後まで頑張りたいって言ってくれてんでしょ?それをあんたは、他の男からふんだくったお金を使って楽しようって言ってんのよ?どっちが悪いとかじゃないけど、少なくとも誠さんは男らしくない?」
そんな!誠がそんなふうに思ってくれてたなんて……それを私はそこにお金があるからって、楽しようなんて甘えたこと考えて……
「誠!ごめんなさい!今からすぐ会いに行くから捨てないで!!」
「私は何を聞かされたんだろう……男探そう……」
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
ラストが近付くとダイジェスト風になってしまう。私の悪い癖ですね……もっと構成力を付けないとです!
ということで次回が最終回になります。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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