第20話 交わる想い

◇ 結城 誠 Side ◇


 真希が綺麗になった……と言うと語弊があるかもしれない。元々容姿は優れたやつだった、それが東との生活でくすんでいた。そのくすみが取れて元来の輝きを取り戻しただけだから。


「────って、みどりがそんな事言うのよ?フフ」


「へぇ、牧田さんらしいな」


 あとよく笑うようになった、陽気に、朗らかに、可愛らしく、そしていたずらっぽく。

 再会したときに感じたやつれた感じの東 真希がなくなり、俺が知ってる頃の飯島 真希が戻ってきた感じ?


「それでね?母さんが遊びにおいでって」


「退院してから会ってないからなー」


 ちなみにここどこだと思う?って俺いくつに見える?に匹敵するくらいウザいな……ここは俺ん家、真希が離婚してから休み毎に部屋の片付けなどをしに来てくれるようになった。

 通い妻と思うだろ?でも手は出してねぇよ!


「真希奢るから昼めし食いにいかねぇ?」


「あん、お昼ご飯作っちゃっていいかしら?材料用意してるし」


「あーいつも悪いな今度晩飯奢るよ」


「あら、楽しみにしとくわね!」


 これは告白したらいけんじゃね?……よし俺も男だ!ここは気合で言ってやる!


「真希」


「どしたの誠?」


「あーうーん……そのな?」


「なに?」


「いや~昼ご飯なにかな〜と思ってな?」


「焼きうどんだけど……」


「そっかー楽しみだなー」


「変な誠」


 フフフ……ヘタれだな俺は……告白の先にある結婚という現実に少し躊躇した。成長してねぇな。





◆ 飯島 真希 Side ◆


 ビックリしたぁ、告白されるのかと思ってドキドキしちゃった……


 伸吾と離婚してから、週末ごとに誠の家に掃除や食事を作りに来るようにしてる。

 私は誠に恋してるんだと思う、誠も私を意識してくれてる……それは分かる。でもそこからどうしたら良いのか分からないのよ!


 2年間に及ぶ結婚生活という名の恋愛放棄のせいで、ここから先の恋愛の駆け引きとかがまったく分からなくなったの……ほら夫婦なら駆け引きとかなしでエッチしたり……とか?出来るけど……さすがにねぇ。


 なのでここは乙女心として待ちの姿勢で行こうと思うのよ。

 出来るだけ邪魔にならない範囲で一緒に居て、偶に隙を見せる。あとは誠にお任せします……なんだけど誠がなかなか手を出してくれないのよねー。


 告白?私から?ムリムリそんな恥ずかしいこと!だから誠待ちなのよ!

 あれ~?私って学生時代は結構イケてたはずなのに……まさか恋愛力なくなっちゃった?


「おまたせ~」


「おー美味そうじゃんか!」


「やっぱり焼きうどんはお出汁ベースよねー」


「このお前特製焼きうどんも、ずいぶんと久しぶりだなー」


「「こいつにはかつお節ーって……あ」」


 お互いの手が触れた……その手を誠が握り締める。あっ大きな手……でも握り方優しい……


「真希……」


「はい……」


「離婚したばっかりのお前にこんな事言うのは間違ってるかもしれない……」


「誠……」


「でも、以前に躊躇してお前を掻っ攫われた。だから俺は躊躇わないと決めた……真希お前が好きだ、結婚を前提に付き合ってくれ……」


 あぁ誠……ホントに男らしく立派になって……昔みたいにごまかさずに、こんなにはっきりと気持ちを伝えてくれるんだ……


「はい……私もあなたが好きです……2回目だけどそんな私で良かったら、あなたのお嫁さんにしてください」


 顔を近づける、唇が1回2回と軽く重なる。唇を離してお互いに見つめ合ったあと、お互いを深く求めるように絡め合う。そして誠が私を優しく押し倒す……あぁ焼きうどん冷めちゃうなぁ。









◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


真希さんと誠くんが結ばれました。

もうちょいジレジレしたほうが良かったですかね?



次回も読んでいただけると嬉しいです。

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