第1話 タレコミ 1

 

 いつもの時間に起きてこない……結婚して2年、偶にあるのよねこういう日。普段は凄く寝起きが良いのに、こうやってなかなか起きてこない日が。そしてそんな日はやたら機嫌がいい。


「おはよう真希!」


「おはよう伸吾、今日はゆっくりね?」


「そうか?ははは、いい朝だな!」


 こんな感じ、今日も機嫌いいわね……

 普段は私に急かされてブーブー言いながら朝の準備をするのに、こういう日は率先して準備をする。


「じゃあ行ってくるよ!今日は遅くなるから先に休んでなよ?」


「はいはい、いってらっしゃ〜い!頑張ってね!」



 旦那を送り出して、今日は遠征に行かなくても良い日なので掃除をいつもより念入りにやっちゃおう!

と思ったらみどりからメッセージが、


『真希〜慰めて〜』


『どったの?』


『彼氏と別れた!』


『また?今回何ヶ月よ?』


『半年保った!頑張った私!』


『はぁあんた、そろそろ落ち着きなさいよ。ホントに』


『お説教いらな〜い。慰めなさいよ〜』


『はいはい、ならランチ1回で慰めてあげるわよ』


『有料ですか!がめついなー』


がめついですって?褒め言葉だわ、なんとでも言いなさい!目標までまだまだ長いのよ!


『なんとでも言いなさい。それでどうするの?』


『いいよ!出すから慰めて!みんな冷たいのよ?呆れるだけで慰めてくれないの〜』


『了解!がっつり慰めてあげる!』






 みどりのおすすめのパスタ屋さんで待ち合わせしてランチタイム。


「それで?なんで別れたのよ?」


「あいつ浮気してやがったのよ!」


「あらら……」


「信じられる?この私と付き合ってて他の女に手を出すなんて!」


 みどりは性格はこんなだけど、女優ばりに美人なのに性格がこんなだから、男が疲れて別の女に癒やしを求めるの。性格がこんななばかりに……


「みどり、顔もスタイルも育ちも良いのにね?」


「そーよ私はほぼすべてを持ってるのに、なんで男はすぐ逃げていくのよ!」


 そういうところよ?と教えてあげたいけど、今日のオーダーは慰めろとの事なので、機嫌を損ねるようなことは言わないでおく。


「あまりにも完璧すぎるから、気疲れしてしまうのかもね」


 うーんちょっと持ち上げすぎたかしら……さすがに謙遜するわよねー。


「そうかも〜さすが真希!よくわかってるわ〜私が完璧過ぎて男が別の女に癒やしを求めてしまうのね……」


 わ〜自分で言っておきながらなんだけど、めちゃくちゃ分かりやすいおべっかだったのに、なんのてらいもなくよく乗っかるわね。

しかも、後半はなぜか真実突いてるし。


 なんかどーでも良くなってきたけど、今食べてるカルボナーラ分くらいは慰めてあげないとね……





 なんとか私の頑張りで機嫌も持ち直したみどりとの食事を終わらせ食後のコーヒーを飲んでいると、


「そういえば、今日ってさ伸吾くん休みなの?」


「今日は平日よ?フラれて曜日感覚まで狂ったの?」


「辛辣ね……ならあれは他人の空似だったのかしら……いえね?伸吾くんに似た人が普段着で喫茶店でコーヒー飲んでたのよ」


「普段着ってないわよ。今日も普通にスーツ着て会社に行ったもの」


 いやありえないでしょう?と笑っていると、みどりもニヤーと嫌な笑みを浮かべてる。あーこの子がこの顔をしてるってことは、よほど似てるか本人かね……


「それでね、写真撮ってみたんだけど見てみて、よく似てるから!」


「あんた、凄く嬉しそうね?そういう所よ?男が逃げていくのは……」


「いいから、見てみなさいよ!」


 みどりがズイッとスマホを私に突きつける。

 そこに写っていたのは白いポロシャツにジーパン姿で喫茶店のテーブルでコーヒーを飲んでいる旦那だった……




◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


新連載第1話です。

今回は旦那の浮気からの復讐ものです。

コンテスト出品予定作品になりますので、

応援していただけるとありがたいです。


次回も読んでいただけると嬉しいです。


宣伝!作者の前作です。NTRからのラブコメです。

ご興味があれば、読んでいただけると大変喜びます。


https://kakuyomu.jp/works/16817330664277862919



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