第12話 復讐の準備 2


「ねぇ伸吾、今度ね給料明細貰ってきてほしいんだ」


「どうした?藪から棒に……」


怪訝な顔で伸吾が聞き返してくる、


「ほら、のマイホーム購入のためにそろそろ本腰を入れたいから、控除とかいろいろ調べたいんだー」


「そうか、じゃあ今度貰ってくるな……」


「お願いね」


 それからひと月ナシのつぶてで明細は持って帰ってこない、良いけどね?そうなると思ってたし。


「なぁ真希〜」


「あっ……伸吾ぉ駄目だよ?」


「なんでさーほらぁ」


「明細書……あん、明細書持って帰って……あっやん来てよぉ」


「チッなんでこんな時にそんな萎える事言うんだよ」


 エッチ断る時の切り札に使ってるし、おかげで最近は誘っても来なくなったわ。

 そのせいか、伸吾の有給取得が最近は週一に増えてるようで、近々正式に報告が出来ると興信所から連絡があった。


 さすがにもう尾行はしていないんだけど、伸吾が有給を取るたびに律儀に報告してくれる誠と、食事をしたりお茶をしたりする頻度が増えてきてる。

 言っとくけど、いかがわしい事してないわよ?普通に食事やお茶して、ついでに離婚関係のあれこれを質問してるだけだもん!


 なんでかしらね?誠ってば離婚に関してよく知ってるのよね……離婚したことあるのかしら?

 冗談混じりに聞いてみたら呆れながら、


「そんなわけないだろーが、最近勉強し始めたんだよ。お前昔っから勉強とか駄目だったからな……」


「失礼ね!駄目だったんじゃなくて苦手だっただけよ!」


「まあ今回は勉強してるみたいだから、分かんない事は俺に聞け……」


あらやだ、頼り甲斐ある事言うようになったのね……





 興信所から報告書を渡された。分かってた事だけど内容は真っ黒。

 浮気相手はあの時の娘、敷田しきた こずえ 22歳。短大を卒業して現在の会社に入社。入社後すぐに伸吾から口説かれて不倫関係にって……ちょっと待って?ひぃのふぅのって結婚してすぐじゃんか!信じらんない!

 会社の女性社員の間では結構有名で調べるのが楽だったとは興信所の調査員さんの弁。なら少し割り引きしなさいよ!


「女性社員間では有名って、俺等男連中内では仲の悪さが有名だったのに……女って怖いわー」


「どっちもどっちよ……私は旦那のせいで男性不信になりそうだわ……」





「これほどなら慰謝料は結構取れると思いますよ。結婚して2年ですので相場としては100〜200万程ですけどほぼ上限で行けると思います」


 とは弁護士の本山さんの弁。ちなみに上記は私の意向でちょっとくだけた口調にしてもらったもので、普段はさすがにもっとちゃんとしてると思うよ?


「必要な書類は先程説明させてもらった通りです。ご主人の銀行口座の開示請求は拒否されることを想定して、「弁護士会照会制度」か裁判所の「調査嘱託制度」を利用することも視野に入れておきましよう」


「よろしくお願いします」


「それと、別居をお考えと伺っていますが?」


「そのとおりです。出来るだけ早く家を出たいです」


「それでしたらお住まいの役所へ「離婚届不受理申出書」の届け出をお勧めします」


離婚届不受理申出書?なんで?離婚したいのに?


「えっと……私は離婚したいんですけど?」


「はい、ですがその前に慰謝料や財産分与の協議があります。それを行う前に離婚届の提出をされてしまうとちょっと困ったことになりますので、それをさせないために先手を打って「離婚届不受理申出書」を届け出しておきましょう」


なるほどね~。勝手に離婚届を出されて慰謝料も財産分与も無し!とかされたらたまったもんじゃないもんね。


「はい分かりました!早速今日の内にでも届け出します!」


「これからが本番です、頑張っていきましょう」





◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


伸吾くんはお預けが出来ない性分です。

そして、いよいよ復讐の開始です。

サクサクいけたらなぁと思います。

ただ、変なことに筆がノッちゃうと脱線します。


次回も読んでいただけると嬉しいです。

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