第13話 別居
本山弁護士の勧めに従って「離婚届不受理申出書」を役所へ提出、受理されて帰宅。
今日の日のためにコツコツ用意しておいた、家出用荷物たちを持って……忘れ物ないわよね?確認しましょう。
私名義の貯金通帳、カード、実印等の印鑑、健康保険証、運転免許証(原付)、マイナンバーカード、旦那と私の生命保険証のコピー、興信所の報告書、その他。
よし!……ホントは旦那の源泉徴収票と通帳のコピーも持って行きたかったけど、隠し場所が分からなかったから仕方ないかー
あと、私の着替えとノートパソコンは実家に送ってるから大丈夫!
実家の両親には事情は伝えてあるし、伸吾からの連絡は一切取るなと本山弁護士が言ってた旨も伝えてる。やっぱり弁護士の肩書は強いわねー、両親もあっさりと了承したもん……
さあ……準備も完了忘れ物無し、後は置き手紙(事故とか事件じゃないよ〜、自分の意思だよ〜って別居の意思表示。これは必須かも)を置いて……これも確認していきましょう……
『伸吾さんと敷田 梢さんの不貞が発覚しました。このような生活は耐えられませんので家を出ます。以後の連絡は弁護士にお願いしていますのでそちらにしてください。本山弁護士 090-◯◯◯◯-◯◯◯◯』
出来るだけ事実だけを簡潔に書いて、感情的になって恨みつらみを書かない。うん、こちらも問題なし、後はテーブルへ置いて念のため写真も撮っておいて(置いてなかった見てないって言わせないためね)……よし全部終わった。終わっちゃった……
伸吾と結婚してこの部屋に引っ越して来て、嘘だったけど少ない給料でもふたりで頑張ってマイホームを建てるんだって話して笑ってた。
この夢はふたりの夢だと思ってたのに……私の独りよがりだったんだね……
「じゃーね伸吾……」
私は気持ちを振り切るように勢いをつけて部屋から出て行った。
「それじゃあ今は実家なの?」
以前一緒に来たパスタ屋さんでみどりが聞いてくる。
尾行のときに逃げたバツとして、昼食5回で手打ちにしてあげた私の優しさを褒めてほしいわ!
「そーよ。あれからまあひっきりなしに伸吾からの連絡があったけど、全無視してやったわよ」
「思い切ったね~、なんだかんだ言っても仲直りすると思ってた……」
「なんで結婚当初から浮気されて、給料半分も着服されてて仲直りできるのよ?」
「だって未練たらたらなの見ててわかったもん」
どこに目を付けてたらそう見えるのよ……浮気が発覚した時点で関係修復は不可能よ不可能!未練なんて最初からなかったわよ……
「それで、今は誠さんと付き合っていると……」
「はあ?付き合ってないわよ!何言ってんの」
「でも食事とか行ってるんでしょ?」
「行ってないわよ……この期間は異性と会わない方がいいって誠が言うんだもん」
そうなのだ、別居が始まって1か月誠とは会っていない……
「離婚したら誠さんと付き合うの?」
「いきなりどうしたのよ?」
「いえね?彼も真希に気がある素振り見せてたじゃない?真希もまんざらじゃない感じだし?付き合うのかなって思ったのよ」
「気があるってそんな……困るわ……」
誠にそんな素振りあったかしら?うそ……そりゃ昔より少し頼りがいも出来てきたけど、そんな……ねえ?
「顔がにやけてるわよ……まったくあんたも分かりやすいわね」
「うっさいわね!っと母さんからだ、ちょっと取るわよ?もしもし、……母さんどうしたのよ、そんなに慌てて……えっ?誠が倒れた!?」
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
風雲急を告げる展開ですね(棒)
ちょっと恋愛さんがウォームアップを始めました。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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