第6話 許せないなぁ 1
合流してからも、しばらくなにもする気にならず押し黙っていたら、さすがに気不味くなったのか、
「おい真希、呼び出しといてどうしたんだよ?お前友達も連れて来といて紹介くらいしろよな!」
私の気持ちを慮りなさいよ……
「誠こっちが友達のみどり、みどりこっちが誠ね……あとは若い人同士でお話してて?もうちょいしたら復活するから。多分……」
みどりの方も自己紹介したほうが話が早いと判断したのか、
「誠さんでいいですか?私は真希の友人の牧田 みどりです。実はちょっとショッキングな事実が判明したかもなので、しばらく放置してあげたほうが落ち着けるかもです」
「結城 誠です。牧田さん、真希になにがあったんですか?差し障りなければ教えていただきたいんですけど……」
「私からはちょっと……真希が復活したらその話もすると思いますのでしばしお待ち下さい」
あーなんかお話も弾んでるみたいだから、私は退散しようかしら……
「こらこら、真希?どこに行こうとしてるの?」
「いやー、後は若い人に任せて私は退散しようかなと……」
「お前ホントにどうしたんだよ?てか痩せた……というかやつれたか?」
そりゃあほぼ毎日のように遠征して、家事して、華も彩りもない生活してるけど……夫婦の夢に満ち溢れた生活をしてるはずよね?そうよね伸吾?って
「うがー!誰がやつれたのよ!痩せた?で止めときゃいいでしょうが失礼ね!」
「あっ復活した……」
「で、女子ふたり連れて来といて居酒屋ってのはどうよ?」
誠の私達に対する扱いの悪さに物申すと、
「やかましいわ、どうせ厄介事なんだろうが?奢るだけでもありがたく思え!」
「ふーん、ある程度話は読めてるみたいね?」
「主任の浮気かなんかだろ?嫁に黙って有給使って、普通に出勤したフリするなんて他に考えられるか?」
フン鋭いわね、誠のくせに言い当てちゃって……でもこれは読めないでしょう?
「あと、あんた給料いくら貰ってる?」
「はぁ?なんで教えなきゃいけないんだよ!」
まあそりゃそうよね……
「実は……────
─────というわけなの」
恥を忍んで事情を説明すると、
「そりゃ酷い……その額でふたりで生活なんて、そりゃやつれ……痩せるわ……」
「ですよねーちょっと酷いですよね!」
誠とみどりが同情してくれている……同情するなら金をくれ……古いか。
「通帳記入してもその額だということは第2口座だな……でもそれだと給与明細に記入されるんだけどなぁ」
「あっそうだ給与明細って印刷するの有料ってホント?」
「はぁ?そんなわけ無いだろ。そりゃあ経費削減で全員分の印刷はなくなったけど、欲しいやつは普通に印刷してるぞ?」
「それも嘘かぁ……」
マイホームの夢を見て頑張ってたのって私だけだったのかなぁ……
なんか許せないなぁ、許しちゃ駄目だよね?
「ふたりともお願いがあるの……聞いてくれる?」
◇◆◇◆
お読みいただきありがとうございます。
伸吾くんの嘘がバレました。
まあ結構穴のある嘘だからいつかバレてましたよね。
バレたタイミングが最悪ですけど……
次回も読んでいただけると嬉しいです。
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